マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 中央公論新社 (2006年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784124034981

みんなの感想まとめ

絶望的な情景を描き出す短編集は、著者の波乱に満ちた人生を反映した作品です。狂乱の20年代から世界恐慌を経て破滅に至る過程が、彼の独特のテイストで表現されています。初めての翻訳作品として、村上春樹の影響...

感想・レビュー・書評

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  • 絶望的文学の申し子らしい短編集。『グレート・ギャツビー』などの長編よりも、より彼のテイストが濃い。今作は、狂乱の20年代に華々しく生き世界恐慌とともに30年代に入り、破滅的な最期を迎える彼の人生の象徴ともいえる。

  • だいぶ昔に読んだと思うのだけど、改めて。表題タイトルは自身のフィッツジェラルド体験の中でとても大切で印象的。

  • 初めてのフィッツジェラルド。短篇5つとエッセイ1つ。ハッピーエンドはなく絶望的なのが良い。アメリカ南北の歴史、1920年頃の時代背景について興味を持った。
    残り火 ★5
    氷の宮殿 ★5
    哀しみの孔雀 ★4.5
    失われた3時間 ★4.5
    アルコールの中で ★4
    マイ・ロスト・シティー ★3.5
    ※インタビュー ★4

  • 初期・中期・晩期の傑作短編のうちまだ日本語訳が出ていなかったものを詰め合わせた短編集+ニューヨークという街に関するエッセイ。短編はみごとに5本全て、まごうことなきバッドエンド。しかし「哀しみの孔雀」のハッピーエンド版(おそらく当時出版社に強要されて仕方なく修正したもの。訳して載せてくださっている)が2,3ページ分付け加えただけなのにクソしょうもない作品に見えるようになってしまうことからは、バッドエンドでしか表現できない美しさのようなものがフィッツジェラルドの作品を支えているように感じてしまう。それは彼の人生そのものともいえるかもしれないが。
    個人的には残り火は非常に印象深い作品。物語に一切の救いは無いが、不思議と、俯きながらでも振り返りながらでもいいので残りの人生を歩いて行こうと思えるようになる。とても20代前半で書ける代物ではない。

  • 初のフィッツジェラルド。
    モダンな中に雰囲気の中にどこか儚さを感じる。
    栄光と挫折、光と影。読み応えのある短編集だった。

  • 初めてのスコットフィッツジェラルド、初めての村上春樹翻訳本。
    うっすらと村上春樹節が出ていたり、出ていなかったり、、フィッツジェラルドの自伝的エッセイ。
    本人の、波のある人生を送ってきたからこそかけるような、どこか痛々しく、寂しく、虚しく、絶望的な情景。
    でも素敵だった。

  • フィッツジェラルドの素晴らしい短編を読むと「他に読むべき小説があるのだろうか…」と思わされてしまうくらい。べっとりとした自意識過剰や、自分と世界の不調和を声高に宣言しなくても、人生を描くことはもちろんできる。爽やかな風が吹き抜けながらも、どこまでも破局の予感に満ちていて、その落差が大きいほど効いてくるという構造。女性看護師が『風と共に去りぬ』を読んでいた。

  • 村上春樹が初めて翻訳した作品集の改訳版。5つの短篇と表題作(自伝的エッセイ)、及び春樹によるフィッツジェラルドへのオマージュからなる。いずれもアメリカ文学を読む楽しみに満ちている。例えば、南北の違いに想を得た「氷の宮殿」を読むと、あらためてアメリカの広大さと、地域によって背負っている歴史の違いを感じる。また、フィッツジェラルド自身の浮沈を投影したかに思われる「哀しみの孔雀」も2通りの結末が紹介されていて、興味深い。もちろん、作品としての良さは「ハッピーエンド版」は、オリジナル版に遠く及ばないのだが。

  • フィッツジェラルド
    絶望文学の寵児

    哀しみの孔雀は読んでいて辛かった
    ハッピーエンド版があってよかった。。。

    1920年代、束の間の狂乱
    行ってみたいな〜

  • 2回目読了。名作。時の洗礼。特に残り火。

  • ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

  • 残り火、哀しみの孔雀が好きです。

    インタビューの『30を過ぎたら、人は生きているべきじゃないよね』という言葉、29歳のとき全く同じことを思っていたのでどうにもこの発言が頭に焼き付いてしまった。

  • ブックオフできれいなものを見つけて購入した。表紙の写真が素敵だった。
    村上春樹さんの思い入れがよく伝わってくるエッセイから始まる。
    その他は小説の短編と、フィッツジェラルドのインタビューが含まれている。
    エッセイ「フィッツジェラルド体験」では、例えばヘミングウェイに比較すると、フィッツジェラルドは、端的に言えば、その域まで達することはなかった、と言っているように読んだ。
    何となくその言わんとするところが分かるような気もするが、どちらの作家も詳しく比較して考えてみたことがなかったので、はっきりと言葉にできない。
    ただ、この作品集の短編を読んでいて、村上春樹さんが「intimateで個人的な世界」と言っているように、確かに、色々な意味でこれらの作品世界は「個人的な」ものなのかもしれないと思った。
    ひとつには、これらの短編はどれもフィッツジェラルド自身の生涯の各場面を反映していると思われたこと。私小説的というのだろうか。作者自身、仕事がうまくいかず、酒におぼれ、家族も病を得た。ただこの点じたいは、作品の評価にマイナスにはならないとは思える。むしろ、初期のまだ成功していたころでさえ、後世の絶望を予感させるような作品を書いていることを興味深いと思った。
    これ以上幸せにはなれない、と思う心理が、ずっとつきまとっていたのだろうか。
    また、これらの作品は、アルコール依存であったり、事業の失敗だったり、とても生活臭のある、物質的な困窮からの悲劇になっていて、何か新しい価値観などにかかわるものというより、現実生活から想像できることのきれいな切り取り、のような印象もある。
    ただもちろん、短編小説として、例えば「哀しみの孔雀」など、うまくまとめられた物語ではあると思った。
    もう少し米国の歴史、もしくは文学史などを背景にして読めれば、また詳しい魅力がわかるのかもしれない。

  • 人生の苦しい部分を切り取ったような物語ばかりなのだけど、読後はなんとなく優しい気持ちになる。苦しいことも辛いこともあるけれど、優しく生きていける場所がどこかに残っているはず。

  • 例えばヘミングウェイのあの畳みかけてくるようなクリスプ(張りのある)な文体に比べると 新聞のコラムに派手な話題を提供する謂わばコンヴェンショナル(月並み)な流行作家というのが彼の置かれた位置だった 極めてインティメート(親密)で個人的な世界である そして見事に人の辿る滅びの道を描き切った作家はアメリカには他に類を見ない 彷徨ほうこう 放埒な生活 おやこ父娘 その比類なき美しさは見紛うべくもない 恐らく夭折し こわね声音 虹彩こうさい そうごう相好を崩して がんしょく顔色無いほど てんよ天与の美味 こうえん香煙 看過 聖域侵犯 恢復の見込み 抗い難い必要に駆られたらしく 巨大な脆い鱗となった う呻めき 無意識の衣におお掩われている 睦み合っていたあの過ぎ去りし日々 遅蒔きの野菜 潤い 鎧戸 小径 酒壜さかびん 一九二〇年のあの不安気な空気はしかと確として金色に光り輝く絶え間のない歓声の中に没し去り 廃墟の空にはエンパイア・ステート・ビルがぽつんと 私はニューヨークという都市の致命的な誤謬、そのパンドラの箱を眼の当たりにしたのである。 リンカーン暗殺の後で絞首刑に処せられた そしてミネソタ州セントポールの町で籐とう家具の工場を始めた さけい左傾

  • 読み終わった後、特に思うところはなかったのだけど、時間が経てばたつほどこれらの小説の持つ魅力にじわじわとやられている自分がいます。笑
    どの短編も一度読んだだけなのに、頭に残って離れず、折に触れて思い出してしまいます。特に残り火と氷の宮殿は…この二つの短編に会えて良かったなぁとしみじみと実感しています。おすすめです。

  • 各話、冒頭の文章から引き込まれた。
    時代が時代の話なのと彼自身の身分とかそういうのが
    しっかりと出ててるものばかりで面白かった。
    現実的な話でそしてどこか寂しいというかなんというか。
    「虚」があるお話でした。また読みたいと思うし他の作品も見たいってなる。村上春樹の訳もなかなかよかったかと!

  • 2018/12/08

  • 「氷の宮殿」が好きだ。うだるような、気だるい空気の南部と、ぴしっと筋が通った北部の冷酷さの対比。

    フィッツジェラルドの描く人間は、どこかもったりしている。

  • 村上春樹翻訳のフィッツジェラルドもの。フィッツジェラルドの人生そのものなのだが、村上春樹の語り口調で、何か変な感じ。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。『風の歌を聴け』(1979年)で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。『羊をめぐる冒険』(1982年)で野間文芸新人賞受賞。『ノルウェイの森』(1987年)がベストセラーとなる。海外でも高く評価され、2006年フランツ・カフカ賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞を受賞。その他受賞多数。

「2016年 『村上春樹とイラストレーター 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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