愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 878
感想 : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124034998

作品紹介・あらすじ

アグレッシヴな小説作法とミステリアスなタイトリングで、作家カーヴァーの文学的アイデンティティを深く刻印する本書は、八〇年代アメリカ文学にカルト的ともいえる影響を及ぼした。転換期の生々しい息づかいを伝える、鮮やかにして大胆な短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 洋書でここまで読みやすい本は初めてでした。
    洋書特有の具体的な表現がないのに加え、
    カーヴァーによって削れるところはとことん削られたからかと。
    余計な脂肪がなく、品を感じる。

    そして村上春樹さんによる和訳の雰囲気は
    江國香織さんの作風を感じました。
    静かな緑に囲まれたカフェのテラス席で読むのに最適。

    ロマンチックテイストとはまた違い、
    滑稽で飾らない感じ。
    このテイスト好きだな。

    すごく心に残るというか、
    その時のしんとなる心の静寂を味わうタイプの作品。
    中でも「出かけるって女たちに言ってくるよ」が好き。
    脳に浮かぶ情景乗車に対して彼らの自由さと強欲さが滑稽で。あとイケてる女の子たちが見える見える。


  • 初めて読んだ作家だったが、今まで読んできたどの作家とも質を異にする作品だった。この本は短編集であり、この変わったタイトルはここに収録されている一つの短編のタイトルを取ってつけられているが、この本のどの短編においてもこのタイトルが相応しい。テーマは勿論「愛」であるが、浪漫や感動を全面に出す比翼連理の姿や愛に対する憧憬の様な物は皆無である。大抵は愛の修羅場や悲しい結末が扱われているが、そうなる経緯のようなものは悉く除外されている。読み始め段階から既に修羅場、若しくは既に破局しているので、物語を途中から読み始めたような雰囲気があり、出来事の前後や結末の解釈は何通りも可能であろう。ただ、一つ一つの短編の中で愛の形を様々な方向から描いている。その描き方というのが非常に冷めきっていて、簡潔な文章でカラッとしている。三人称で語られるのが殆どだが、語り手が登場人物と寄り添う感じもなく、まるで虫の世界で行われている光景を見下ろすような物で、共食いをしようがどうしようがただ刮目しているだけな感じがある。内容はとても読めた物ではない胸糞なものから、愛の惨劇をイロニカルに例えるものやら、少しでも前に進もうとするものやら、昔を思い出すものやら。中には読後に少し心に微熱を帯びるような僅かな感動を覚えるものもある。全てを読んで感じたのは、愛とは決して美しい物ではないということだ。生きていく上で、愛の表すものというのは様々な色が混じり合う中でグロテスクになってしまうのであろう。アダルトなリアル恋愛小説だと感じた。
    非常に刺激的な読書体験だった。簡単な文章で、登場人物も多くを語らずしてここまで濃密な世界観を形成し、多分に含意を持つような物語が描けるものなのかと感じた。個人的にはもう少し描写の除外を無くして欲しい感じはしたが、そうしていたら衝撃度は下がったかもしれない。他のこの著者の作品も村上春樹訳で読んでいこうと思う。

  • ハンティング、釣り、夫婦(家庭)の不和の話が多い短編集。

    気が滅入ってくる感じと、「人生こんなもんだよな」という思いが交錯した。

    しかしやや退屈だった。

  • 足もとに流れる深い川が非常に好きだ

  • 短篇集。一つの短篇はあっという間に読めてしまう。とはいえかなり好み。「深刻な話」や「静けさ」は登場人物が最後、何かの覚悟を決めるような感じがあって好き。

  • 「映画と一緒に原作も」シリーズ第3弾。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が大好きなんですよ。どこもかしこもブラックユーモアで塗り固められているので、そこここから崩壊が始まっていって、いよいよ最後の最後に台無しの総崩れする傑作。

    この映画のなかで舞台劇が演じられているのですが、その劇が『愛について語るときに我々の語ること』なんですよねぇ。映画も本も久しぶりでした。

    この本のお話が分かるような歳になってしまいました。浮かない中年男に許された唯一の逃げ場所は……。レイ・カーヴァー、まじかぁ、それ書くかぁ、つ、つい振り返ってしまったじゃないかぁ、なんにもない断崖ゼツペキでしたよ。

    したらあーた、東京MXテレビで放映された映画ったら、肝心な部分、エドワード・ノートンの『世紀の屹立』からエマ・ストーンとの屋上での語りあいまでごっそり15分間丸々カットされているじゃないですか! どういうこと? 地上波では放送に耐えられないってこと? クレーム対策? そりゃ最初っから壊れてるんだ、どこ削っても問題ないんだが、だからどこも削れないんだよなぁ、もうなんかすごくショック……。

    2度と見んぞ『キネマ麹町』め!

  • ほんとに個人的な主観で、何かを批判する意図は全くないですし、私の浅学さを露呈するだけなのはわかって所感を書くと、

    結局、私にはよくわからなかった。

    という感じです。

    内容としては、ただひたすらに袋小路に陥っている人間の様を描いている感じで、ところどころの描写が見事なのはわかるんですが、恐らくそれをきちんと受け入れることができる精神的余裕がないがために満足に理解できていないのだと思います。

    将来的にまた読んで、もう少し味わいを感じれればいいですね。

  • カーヴァーの3冊目の短編集らしい。

    一番気に入ったのは『ダンスしないか?』
    君たちダンスすればいいのに、と言ってみようかなと男は思った。そしてそう口に出した。「君たちダンスすればいいのに」
    のところが気に入りすぎて、1位になった。


    次に気に入ったのは『静けさ』
    彼は私の髪を指で梳いた。ゆっくりと、まるで何か考え事をしているみたいに。ずっと彼は私の髪を指で梳いていた。恋人がやるように、そっと優しく
    の部分が好きで2位になった。
    髪を梳いてるのも梳かれてるのも男というのが面白い。(ちなみに2人はゲイでもない)

    語られるべきなにかが朧げに伝わってくる感じが気に入った。

  • 難解な短編集だった。
    袋小路で行き詰っているのに状況を打開しようとしない人たちの話が多かったと思う。そんな彼らと距離を置くような視点で語られる物語は、鬱屈した気持ちを吐き出すような結末を用意してくれるわけもなく、出口のない迷路にいるみたいだった。(つまり人生は出口のない迷路なのかもしれない)

    こうやって書くとまるで面白くなかったようだけど、そんなことはなくて四両編成の両毛線の車中、前のめりで読み進めた。ラーメン二郎を食べるために前橋~小山間を往復したのだが、足利や佐野の元気な高校生たちに囲まれながら、自分は難解な短編と向き合って合計三時間を過ごした。電車のなかで本を読む時間が本当に好きだ。

    『足もとに流れる深い川』という話が好みだったかな。

    友人たちとキャンプに行き、女の死体を発見したがすぐには通報せず、数日キャンプを楽しんで片づけをしてから警察に連絡した夫。一時は夫の行動に理解した妻だったが、何かがおかしい。幼いころに近所で起こった事件の記憶も彼女を刺激する。けれど、家に帰れば彼女は夫に抱かれる。息子が帰ってくる前に。

    明るい話じゃないし、不道徳な感じもあってすごくいい感じだ。答えを用意してくれないところが素晴らしいと思う。突き放されたような気分にしてくれて痛快。

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