ワールズ・エンド(世界の果て) (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 中央公論新社 (2007年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784124035063

みんなの感想まとめ

人生の微妙な瞬間や人間関係の葛藤を描いた短編集は、読者に深い余韻を残します。作品を通じて、日常の中に潜む気まずさや、時に怪異的な要素が巧みに表現されており、どの作品も独自の視点でキャラクターの内面を掘...

感想・レビュー・書評

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  • どん詰まりではないにしろ、人生のワンシーンワンシーンには気まずい瞬間があり、それはハッピーエンドになるわけではない。

    時が過ぎるのを待ち、それは読者に余韻として残る。嗚呼つらい。

  • とても興味深く面白い短編集だった。どうしてこんな人物を書くことができるのだろうと感心する。変なやつで、いやなやつなんだけれど、どこか気持ちが分かってしまうような、そんな人物。 彼の他の作品も読んでみたくなった。

  • 要するに、小説を書くということは、どのように私が世界を見ているかということを書くということなんだ。要するに純文学とはなんというかという問いに答えるのにひとつ、すなわち、日常世界を自分が見えている世界を如何に解像度高く書けるかってことなんだ。だから本当の純文学ってモノはどこから読んでもいい文章のはずだ。直感的に私のセンサーに引っかかる。

    文壇遊泳術 まるでフルーツ盛り合わせのような短編
    これに関しては、主人公の性別が疑わしく思った。まあ作者が男性だから僕、としたのか。他の登場人物も性別がぼやけている。
    だって、「──ちょっとお酒が入って涙もろくなっまとき、ヴァージニアは僕のことをアリスと呼ぶ──」という記載。。。女性では?
    この、文壇遊泳術、という、文豪の間を、何とか繕ってすり抜けていくスリルは、まるで、僕の人生のすり抜け方のようにおもう。そしてもしかしたらこの本は人生の生き方になにか役立つかもしれない。僕のような大事を企んでいる人間にとっては。

    サーカスと戦争
    これは面白い。この小説だけで星五だ。

    真っ白な嘘
    つくづく読ませる文章だと思った。怪異的だったが。

    便利屋
    面白い本を書くとはこういうことか!

  • 表題のワールズエンドと最後の緑したたる島が、どん詰まり感を強く感じる作品でした。

  • 文学ラジオ空飛び猫たち第12回「ワールズ・エンド(世界の果て)」ポール・セロー著 ~異国の地、居心地の悪い場所~

    ダイチ
    個人的にはめちゃくちゃ好物な小説。これだけ居心地の悪さをリアルに描ける技量がすごくてはまってしまいました。決してハッピーではない複雑な感情を味合わせてくれるのが小説だと思うし、苦々しく切なく終るところが本当にいいです。
    ハッピーエンドな終わり方を小説に求める人には合わないかもしれないです。妙にリアルに、どこか何かに対して居心地の悪さを感じていて、言葉にできない人には共感できるところがあると思います。この感じ、わかる!ってなるかもしれないです。異国ではなくとも、居心地の悪い場所というのは実生活のなか結構あるものだと思います。

    ミエ
    不思議な魅力がある小説です。読みやすいし、おもしろいし、でもハッピーな話ではない。社会の不都合な部分を書いているのにやけに爽やか。絶望的な話が多いけど、そんな世界を魅力的に思えました。村上春樹さんのあとがきを読むと、ポール・セローが異国を旅する中で実際に体験したことも書いているそうです。やはり異国であったり、未知の世界を教えてくれる小説はおもしろい。
    ハッピーエンドではないですが、心に残る小説だと思います。でもラジオで取り上げた『ワールズ・エンド』にしても『緑したたる島』にしても、良くも悪くも人間らしさのある主人公に愛着を持つのではないかと思います。あっさり読めるけど、すぐには忘れられない小説です。

    ラジオはこちらから↓
    https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/12-eiqrqv

  • わたし、レイモンド・カーヴァーやグレイス・ペイリーを翻訳紹介してきた村上春樹の目にはかなりの信頼を置いてきたので、ポール・セローのこの短編集も見つけてすぐに手に入れてたのですが。
    誰も知り合いのいないイギリスの街に家族と移住して人生の成功を疑っていなかった男が家族をうしないつつある自分に気づく表題作や、フランスにホームステイしたイギリス人の少女が、戦争体験と家族の絆をふりかざす支配的な父親に断固として歯向かう「サーカスと戦争」なんかは、けっこう好き。人生は確かなものという確信の脆さを露わにする感じがカーヴァーに似ている。
    でも、セローの短編のもうひとつの流れにある、文壇士や海外暮らしの滑稽さを笑うような一連の短編には深みが感じられない。意地悪く描いている対象と同じものを作家自身について感じてしまうんだよなあ。

  • アイロニックに満ちた短編集で面白かった。特に緑したたる島が良かった。読みながら感じていた事は村上春樹さんのあとがきに全部書いてあった。

  • 旅先であんまり大胆な行動(駆け落ちとか)をしてはいけない、と思い知らされます。

    ポール・セローの短編集です。
    本作の翻訳者である村上春樹さんもいっているように、本書に収められたストーリーは原則的に<異国にいる人々>の話である。それぞれの主人公たちは、母国を離れたことで引き起こされる奇妙だが、妙にリアリティのある体験に遭遇している。
    ポール・セロー自身、数々の旅行記を執筆している。異国に赴くという興奮と、環境の違いよる戸惑いや、そこから繋がる不安感を現した作品なのかもしれない。
    (なお、ワールズ・エンドは実際にロンドンにある地名であり、翻訳者である村上さんも、そこに実際に住んでいたことがある)

    表題作の「ワールズ・エンド」では、ロンドンに一家で移住した引っ越した主人公が、天国だと思っていた家庭が、妻の不倫をきっかけで終わりに向かうという世界の果てを体験している。家族の絆どころか、身の危険まで及ぶというドロドロの世界の終わりだ。

    また、「コルシカ島の冒険」も興味深い。
    旅行中に妻に別れを告げられたシェルドリック教授は、そのまま(仕事も帰国もする気がなくなって)旅を続けて、たどり着いたコルシカ島で、レストランのウエイターの女に一目惚れし、その場で駆け落ちを持ちかける。
    意外にも目論見は成功、その晩、車で駆け落ち、というわけだが、その車中で、早くも彼女の性格が嫌になってくる、という話。
    人間、なれないことをするもんじゃない。でも意外とこの夫婦はうまく行く気がするな。
    他、若者の未熟な責任感を描いた「緑したたる島」もオススメです。

  • ふよふよ自由に歩きまわっても、最後は現実の果実なんだね

  • 64/361

  • 異国にいる故のねじれ。
    子どもがナイフを持っていたのは、父親に対するものなのか「お母さんのは友だち」に対するものなのか。どっちなんだろ。

  • 少し読んだ

  • 翻訳モノは、訳者に関わらずかなり当たり外れがあるので、崇拝している村上春樹の訳であっても全く入り込めない場合も多いのですが、この短編集は凄く楽しかったです。
    大きな事件が起こるわけではなく、あくまでも日常生活の範囲に収まった部分を切り取って小説にしているので、入り込みやすい上に登場人物の人間臭さがまた何とも言えず愛おしい。
    アメリカ人の作家なのに、アメリカ以外の国を舞台にしているためか、日本人が読んでもあまり違和感なく溶け込めるかと思います。
    ポール•セロー、読み進めてみようかなー!

  • 初読。

    うーん、わからん。笑。

    異邦人、異国にいる人々。
    の哀しみや可笑しさ、
    切なくて滑稽で渇いてて濡れてて倦んでて。

    ふっと日常から浮遊するというか穴に落ちるというか
    現実と非現実との曖昧な境目。

    ワールズ・エンド
    えっ、結局間男は居たの居ないの?
    泥棒が出て行く音っていうのはロバージの心象風景って事?
    子供が持って寝てるナイフってつまり??
    と解説して欲しい作品No.1になりましたw

    文壇遊泳術、真っ白な嘘、コルシカ島の冒険と
    わかりやすい軽めの読後感の作品が好きです。

    風景描写がさすがというか、
    イギリスはイギリスそのもの、プエルト・リコはプエルト・リコを
    さまざまと脳裏に思い浮かべさせること!

    旅行記も読みたい。

  • 「遠い太鼓」からリファレンス。 著者セロー氏はある意味、最高のハードボイルドだと思う。

    人がカルマの如く持ち手放すことができない寂しさと、その感情が中心となって築く家族であり悪友であり恋であり仲間といった繫がりを、それぞれの短編の中で、ニコリともせず鋭利な視線で突き刺してしまう。

    訳者自身も後書きに記しているが、著者の作品が持つ「居心地の悪さ」というのは、まさにこの鋭利な視線に映えた、人間臭さや人生という現実が働きかける引力のようなものの事だと思う。それが凄く自然に自分の中に取り込まれて行くのを感じた時、この作家の偉大さに気づいた。

    初めてサウンドガーデンのブラックホールサンを聞いた時のことを思い出した。グランジオルタナティブシーンを表現しろと言われたら、僕はこの作品を言うだろう。

  • 表題作を含む9編からなる短編集。共通するテーマは「異郷」。タイトルからは、もっと世界の最果ての物語を想像していたのだが、どうやら、より内的な意味であるようだ。物語の舞台はアフリカを含むものの、ロンドンやパリ、あるいはアメリカ人にとっては手近なプエルト・リコであったりするからだ。しかし、それらのいずれも、ある種の寂寥感を帯びており、時にはやりきれないほどの絶望感を伴ったりもする(「緑したたる島」)。また、物理的な意味での異郷感なら、やはり「真っ白な嘘」か。村上春樹の訳文は、この世界に入り込みやすいものだ。

  • 原本を知らないから何とも言えないが

    オシャレな会話を繰り広げられているのは

    村上春樹ならではなのか



    会話の飛び方がとてもオシャレ。

    かつ、町並みも静謐で美しく

    読み応えが有った。

  • 「ダーク・スター・サファリ」のような、超現実ルポルタージュに比べると、トルーマン・カポーティの「夜の樹」のような、どちらかといえばシニカルでアイロニカル、不思議な話のつまった短編集のようです。
    個人的には、冒頭の「世界の終わり」の夫婦関係、「コルシカ島の冒険」の結末に救いがなく、逆にそれは人生の真なり、という気もしています。

  • 村上春樹さんのお勧めに従い一読しました。
    素人の自分にも十分に楽しめました(短いからか?)。

  • 外部からの脅威から家族を守ろうと家のセキュリティーをしっかりしたとしても、内部の亀裂を前にしては、家族は脆くも崩れさる。家庭崩壊のドラマが、血が一滴も流れないにもかかわらず、まるでホラーのように描かれた表題作。
    ロマンティックな逃避行のつもりが、結局しょうもない日常に追いつかれてしまう『コルシカ島の冒険』。
    この二作が傑作です。

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