日本の近代 2 明治国家の建設―1871~1890

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124901023

作品紹介・あらすじ

征韓論、一揆、士族反乱、民権運動、命がけで「国造り」に参画した男たち。

感想・レビュー・書評

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  • この時代、日本人たちはものすごい早さで新しい国家を築き上げてしまった。西洋と言うお手本があることとはいえ、これは驚異的と言わざるを得ない。神風といったらいいのか、この時代には異様に変化を促進する風が吹いていた。日本という国はこのようにしてしか変わり得ない国なのかもしれぬ。この風は戦後経済復興においても吹き荒れたが、今はもう止んでいる。

  • 明治維新の後、版籍奉還・廃藩置県、地租改正、憲法制定、内閣制度、宗教政策(キリスト教の禁止継続と神道による国のアイデンティティ確立策、教育勅語による天皇制の国教化)、不平等条約改定への地道な努力、征韓論に始まる韓国等周辺国対策とのなど非常に詳細な明治史です。伊藤博文、井上馨、井上毅など明治の指導者の優れた見識に脱帽です。私にとっては特に宗教政策に興味がありました。このシリーズは本当に面白いです。

  •  本書による「明治国家」がどのような経過で形成されてきたのかの経過を読むと、いくつかの思想的流れと勢力によるせめぎあいの中で、明治国家が形作られてきたことがよくわかる。
     「公論と勅命」を読むと、「水戸学」という原理主義による「万世一系の天皇による統治」を目指す勢力により、「大政奉還と王政復古」が行われることになった経過がよくわかるし、同時に「開化」の流れの中で「富国と強兵」と「殖産興業」を強力に推し進める動きもある。このそれぞれの動きの中でその後の政治勢力が形成されてきたのだろう。
     この時代の新しい国家システムを作るための試行錯誤の過程が詳細に展開されているが、この時代に昭和の破綻につながる流れがあったようには到底思えない。
     「帝国憲法と教育勅語」に代表される新しい国家システムの形成を読むと、当時の指導者の凄さを痛感するし、「朝鮮問題と条約改正」による日本を取り巻く国際環境を読んでも、「韓国併合」への日本の首尾一貫した朝鮮植民地政策があったわけではないことがわかる。
     これは、歴史上の多くの登場人物の様々な意思と思想により、その後に思わぬ方向に流れていったということなのだろうか。
     本書は、明治国家の建設の過程がよくわかる良書であるが、あまりに詳細な経過を総花的に展開している。これをどう見るのかという観点の記載はほとんどないように思える。詳細で客観的ということは、正しいが面白みはないということでもある。
     要するに本書は「教科書」のようなものであると思った。

  • この時代、日本人たちはものすごい早さで新しい国家を築き上げてしまった。西洋と言うお手本があることとはいえ、これは驚異的と言わざるを得ない。神風といったらいいのか、この時代には異様に変化を促進する風が吹いていた。日本という国はこのようにしてしか変わり得ない国なのかもしれぬ。この風は戦後経済復興においても吹き荒れたが、今はもう止んでいる。

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