煌夜祭 (C・NovelsFantasia た 3-1)

著者 :
  • 中央公論新社
4.12
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本棚登録 : 700
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784125009483

作品紹介・あらすじ

十八諸島の世界を巡り、世界各地で話を集め、他の土地へと伝え歩く。それが我ら語り部の生業。冬至の夜、我らは島主の館に集い、夜を通じて話をする。それが煌夜祭-年に一度の語り部の祭。お話ししよう。夜空を焦がす煌夜祭の炎壇でも照らすことの出来ない、真の闇に隠された恐ろしい魔物の物語を…廃墟となった島主の館で、今年もまた二人だけの煌夜祭が始まった-!第2回C・NOVELS大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 純粋に“物語の世界”を楽しむ、という事を思い出させてくれるファンタジー。

    冬至の夜に“語り部”達が集い、夜通し話を披露しあう「煌夜祭」。
    廃墟となったとある島主の館にやってきた“語り部”は二人だけ。彼らが話す物語とは・・。

    まず、世界観が好みですね。死海に蒸気で浮かぶ十八諸島の島々は、王島:イズーを中心にまるで太陽系の惑星のように、三重に輪界しているという設定です。
    その移動手段は、“蒸気塔”から、蒸気を利用した気球を使うというのも、何だかロマンがあって惹かれます。(本書の口絵イラストでイメージが湧きました)
    語られる物語ですが、一つ一つが独立していると思いきや、すべてが繋がっているのもポイントです。
    物語に登場する“魔物”がキーとなってくるのですが、所謂“人を喰らう魔物”の恐ろしいイメージとはちょっと異なり、不本意にもそのような存在となってしまった哀しみだったり、切なさだったり、そもそもの存在意義だったりが、読み進むごとに解ってくる展開で、グングン惹き込まれました。
    内容的に“ダークファンタジー”な印象ですが、哀しい話ではあるものの、根底には“愛”があり、伏線がきれいに回収されるラストも、しみじみとした読後感を残してくれます。
    この著者さんは初読みだったのですが、他の作品も読んでみたいと思いました。

  • 子供達が大絶賛していて薦められた本
    おもしろかった!
    一つ一つのお話が繋がっていて
    おぉ!となるんだけど
    なんせ私の頭では名前が覚えられなくて
    たぶん感動は子供達の半分ぐらいしかなかったはず笑
    もっとしっかり理解して読んでいたら
    感動も大きかったのかもしれない。
    外伝が収録されている新しい煌夜祭もあるみたいなので
    それを読む時はもっとしっかり名前を頭に叩き込みながら読もうと思う。

  • 再読。
    やはり、素晴らしい。
    魔物が生まれる意味。食べること。苦しみ。
    もう、大好きすぎて!
    本当に、たくさん読まれて欲しい話です。大好きです。
    こんな小説が書けたらいいのに。

  • 素晴らしい本に出会った。
    読み終わった時、まずそう思った。
    本を閉じて、ひとつ息をついて余韻が残る本は久しぶり。

    語り部達が夜通し火を灯して語り合う煌夜祭という場で、世界の歴史の物語が順番に語られていくので、淡々と静かな印象はあるものの、ひとつひとつのお話は実に濃い。
    世界の歴史がどんどんリンクしていくのがわかる瞬間がぞくっとした。

    魔物の扱いは多くのファンタジーで色々語られているけれど、多崎さんのように悲しい存在だという設定が私は好きだ。
    そして決して報われないだけで終わらないところも。
    基本的に悲劇が大好きだけれど、こういった悲劇を含みつつ幸せになるお話も素敵!
    魔物の存在理由にも個人的には非常に納得できた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「余韻が残る本は久しぶり」
      多崎礼は全然知らない作家さん。ちょっとウォッチしてみようっと。
      「煌夜祭」このタイトルも良いなぁ~
      「余韻が残る本は久しぶり」
      多崎礼は全然知らない作家さん。ちょっとウォッチしてみようっと。
      「煌夜祭」このタイトルも良いなぁ~
      2012/12/06
  • 面白かった!
    こういう「おはなし」の雰囲気好きだし、ベタなファンタジーの要素もとても好き。最後に全部つながる構成もすばらしい。
    ただ、…まあこれは自分の記憶力の問題だけど、島の名前や登場人物の名前がいまいちちゃんと記憶できていなかったせいで、最後のカタルシスを味わい損ねた感がある。いや、「つながる」こと自体は予想できていたんだけども、「じゃあ君の正体は…!え?あれ?違う?えーと、てことは…んん?やっぱ違う?あれ?」と脳内映像がこんがらがったまま読み終えてしまった…。カタカナは苦手…というかやはり記憶力の問題だな、うん。

  • 自分がとにかく押してる構成の妙の一冊
    大人から子供まで楽しめるが、少しシリアス系

    とにかく構成!本当に素晴らしい
    あえて表紙絵があるイラスト版をおすすめします
    この作者の本は他に夢の上、慣れてきたら八百万の神に問うをおすすめします

  • 十八諸島では時おり魔物が生まれ、冬至の夜に人を喰らう。
    けれど物語を聞いている間は魔物も人を襲わない。
    だから冬至の夜には島主の館で煌夜祭が開かれ、
    語り部達が集い朝まで物語を語り合う。
    これは語り部の話を集めた短編集だと思って読み始めた。
    けれど散りばめられた伏線を回収し始めた辺りで気付く。
    あれ?この話に出てくる人って・・・あの人?と・・・
    疑問は確信になり、そして一つに収束され
    あの景色を目の前にした時、涙出そうになりました。
    悲しくて切なくて愛しい物語

  • ここまで読ませるストーリーがあるなんて!

  • 二人の語り部が冬至の夜に出会って、島々の歴史と魔物の伝承呪いを物語る。たくさんの物語の真実が浮かび上がるとともに魔物への愛から始まった尊い思いが残る。
    ムジカが女だったことにも驚いたが、痛みだけは消えずに生き続ける魔物の悲惨さは気の毒すぎてもう少し配慮ある設定にして欲しかった。

  • 新人賞をとった作品らしい。
    連作としてきれいなつくり。個人的にラノベのファンタジーって割と好きかも。
    できれば最初の世界地図のところで、もう少し世界観の詳しい説明が欲しかった。

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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