盗人の報復: ヴァルデマールの絆 (C・NovelsFantasia ら 1-4)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784125011158

作品紹介・あらすじ

貧民街に生まれ、頼るべき伯父一家にさえも虐げられ過酷な日々を送る少年スキッフ。ひょんなことから地下に住むベイジー率いる盗賊団に入り、初めて心の拠り所を得るのだった。だが幸福は長く続かず、大事な仲間は陰謀に巻き込まれ殺されてしまう。絶望の底で復讐を誓うスキッフの前に"共に歩むもの"が現れて-。学院史上初となる、逞しくしたたかな盗賊"使者"ここに誕生。

感想・レビュー・書評

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  • スキッフの巻。途中から完全にアルベリッヒ萌えになってしまった…

  • ヴァルデマール王国の「矢シリーズ」、東京創元社の「風シリーズ」にも
    出てくる元盗賊スキッフが登場。
    貧困街で生まれ育ち、冷たい親類にこき使われながらも、持ち前の聡明さ、陽気さが存分に発揮されて暮らしぶりは悲惨なのに読んでいて小気味いい。
    他のシリーズだと、ヴァルデマールの上位の人達からの視点ばかりだったので貧困層から見るヴァルデマールの描写は新鮮だった。
    特に、まずそうな食事の描写が秀逸で、美味しそうな食事シーンは数あれど、逆にここまで汚らわしく書かれているのはないのでは?あまりにひどすぎて感動さえした。

    盗賊団でも学院でもどこいっても愛されるスキッフ。青服でさえわりといい関係だったし、それ以上にアルベリッヒと仲良しで良かった。

  • 表紙はスキッフと<共に歩むもの>キムリー
    シリーズには欠かせないスキッフの物語。たぶん、第一作の主人公タリアと出会う前、スキッフの生い立ちが描かれている。
    スキッフは盗賊ということは知られているが、かなりの貧民街、スラム出身で、その盗賊技術の由来もわかる。
    アルベリッヒとスキッフは、いわゆる異分子出身ということで馬が合うのもうなずける。

  • 待ちに待った続刊!
    という事で、勇んで読み始めた。
    読了後の感想は、まあ、こんなもんかな、って感じ。
    予定通りの満足感、という。

    この感想は、決してネガティブなものじゃないことに注意。
    ヴァルデマール年代記である以上、きっと落胆は有り得ない、と思ってる。
    そして、その期待は裏切られた事がない。
    本作は、その期待値の想定内だった、ということ。

    そして、本シリーズも三部作。
    シリーズを重ねるごとに読了後の感嘆が増していく事は間違いない。
    スキッフの成長譚であると同時に、きっと、アルベリッヒの物語でもあるような気がする。

    少年スキッフの小賢しい小狡さ。
    武人アルベリッヒが持つ孤高の気高さ。
    この二つがどう絡まり合って、物語を紡いでいくのか、楽しみすぎて堪らない。
    その片鱗は、本書からでも感じることが出来る。

    あとがきで書いてあったのは、創元から出版された「<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577121" target="_blank">魔法の使途</a>」のことなんだろうね。
    その辺は上手い事、調整してもらいたいなー。
    未訳作品は山ほど残ってるわけだし・・・。

  • 使者として始めて元盗賊から選ばれたスキッフの
    成長と復讐の物語。

    ヴァルデマールシリーズの脇役だったスキッフを主人公とし
    その育ちと使者として生きると決まるまでを描いている。
    これもシリーズ化するんでしょうか?

  • 6/21掲載 歌志内市立図書館 金子氏

  • 再読ー。

  • 訳者あとがきにも書かれているが、
    貧民街、貧民たちの生活が生き生き描かれている。スキッフも前向きで現実的なので、厳しい状況ながら読んでいてつらくはなかった。盗賊の師匠ベイジーや仲間達も明るい。やがて<共に歩むもの>キムリーに出会い学院に入る…のは終盤。学院に入る様子はタリアのシリーズで丁寧に書かれているので本作はサラリとしている。学院にあって盗賊スキッフの口調はなかなか小気味好い。アルベリッヒ先生も無口で表情や視線で語る感じが良い。読後感も、シリーズの中でもかなり良い方だった。

  •  初めて読む作家さんの本を買うとき重要視するのは表紙とかあらすじとか以前耳にした評判とか耳障りよく言えば運命なんですが、まあいくら表紙とあらすじに惹かれて好きな作家さんが好きだと話していたのを思い出したとはいえ、シリーズ物の番外編をいきなり読むのはちょっと暴挙すぎたかなと反省しました。
     訳者さんのあとがきにあるように貧民街の描写が一番の魅力だと思うんですが、シリーズ物の番外編でシリーズ愛読者を対象にしているためか世界観の説明はバッサリ省略。おかげで後半になって出てきた「共に歩むもの」や学園が唐突でスキッフがあっさり信用しすぎたように見えて明らかに損をしました。復讐相手のバックボーンも思ったより語られなかったし、多分本編の因縁なんだろうなあ。
     本編読んでない時点で好き勝手言わせてもらうと、育て親の仇を討つに当たって生存しているはずの兄弟子を頼らないのがちょっと気になった(足を洗った相手に迷惑をかけないためかもだけど、その案を考えて却下する描写くらいはほしかった)+「共に歩むもの」の登場がすべてを失ったときではなく、行き詰まりかけていたけど自力で復讐しようとがんばっていた(おまけに心を安らかにさせる存在と出逢っていた)ときだったので、ちぐはぐに見えた(絶望したときかほんとに打つ手がなくなったときだったら素直に救いの手と見えたんだけど)+孤独も戸惑いもすべてを上回る絆を一瞬で築く「共に歩むもの」の交感が、えらいあっさりした描写で済まされたのでちょっぴり「復讐はどうした」という気持ちに……といったところでしょうか。復讐があっさりしていたのは寧ろスキッフの成長だと思ったので良いんですが(正体があまり語られなかったのは本編と関わりがあるからだろうし)
     黒幕の背景も「共に歩むもの」の設定も本編ではじっくり語ってくれていると思うので、大人しく本編を読もうと思います。個人的には庶民街を自ら視察して勉強する子供は無料で朝食が食べれる制度を作ったり、貧民街の窮状を知ったが最後絞首門を大量生産しかねない女王様が気になります(わかりやすすぎる)

  • スキッフがどのようにして使者になっていったか。いかに生き延びたか、勉強になりました。(実践はできないけれども)

  • 使者スキッフが、キムリーと会う前からのお話。
    早くキムリーが出てこないかな~と思いながら読みました。
    アルベリッヒ先生、ステキです。

  •  スキッフがキムリーに選ばれるまでの生活と、盗賊が使者になることに互いに戸惑っていたが、スキッフの復讐事件を通して、それぞれが受け入れてゆく。この後に女王の矢へと続く。
     復讐相手を、仲間を助ける為とはいえ手をかける決断。最初の望みが叶ったのに、裁判に掛けられなかった事を悔いるスキッフの、使者に相応しい行動や考え方への変化に驚きを感じた。
     選ばれたことによる自己の安定性を手に入れ、今まで培ってきた技術をうまく使ってゆけるのは、幸せな事だと思う。 

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