夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NovelsFantasia た 3-8)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784125011523

作品紹介・あらすじ

サマーアの空を覆う神の呪いは砕け散る。天空に広がるは深く抜けるような蒼穹。その中心で輝く黄金の太陽。人々は驚喜した。しかし。夢売りと夜の王の元には、まだ二つの彩輝晶「光輝晶」と「闇輝晶」が残されていた-。

感想・レビュー・書評

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  • 51:最終巻。表紙のアライスとツェドカの表情にギャーッと飛び上がり、貪るように読みました。
    彼女らの立場としては、目指すものは同じなのに選ぶ手段が違うというだけで敵対し、身も心もすりきれてぼろぼろになりながら新世界を夢みる、そんな展開もありえたと思うのですが、そうならなかった作者さまの温かさに、すごくすごく救われました。
    タイトルを「夢の上」とした深意、その道を往くと決意したすべての登場人物たちの潔さ、まっすぐさ、情熱。そういうのが一気に押し寄せてきて、涙が止まりませんでした。夢、世界、神、空、騎士、異能者。個人的に大好きなキーワードが散りばめられていて、多崎さんと脳みそが混線してるんじゃ、と幸せな妄想に浸れるほど大好きな作品です。
    失礼な話、飛びぬけてお上手だというわけではありません。ぎこちなさは残るのですが、そういう点もまた愛おしくてなりません。お勧めです!

  • 良かった!面白かった!!
    1つ1つの話がラストに向け繋がっていく様子。登場人物たちのそれぞれの想いの深さ。しっかりと創り込まれた世界観と確かな文章力。続きが気になってどんどん読み進めてしまった。文章量の多さもまったく苦ではなかった。むしろ、あそこまで書き込まれた内容の深さに感動した。

    最終巻は光輝晶と闇輝晶。アライスとツェドカの話。
    アライスの輝きと優しさ、そして弱さとそれでも強くあろうとする心。読みながらアライスに話を聞く歴史学者は彼なんだろうと思っていたらやはりそうだった。2人は運命に導かれた存在だったのだろう。どちらが欠けても世界は救えなかった。

    ツェドカの話は特に切なかった。ハウファへの想い、そして何よりアライスへの強い憧れ。舞台はアライスと違えども彼も戦っていた。1人戦う彼の孤独を癒したのはサファルだった。彼がツェドカの側にいたからこそ、ツェドカも最後まで戦えたのだと思う。サファルにとってもツェドカは何よりも大切な存在になっていたからツェドカの想いをアライスに伝えたかったのだと思う。ツェドカとサファルの関係もすごく良かった。

    最終巻まで読んで良い作品に巡り会えたと思った。多崎礼という作家を知れたことは読書の楽しみを増やしてくれたと思う。他の作品もぜひ読んでみたい。

  • 素晴らしかった。
    ひとつの出来事をいくつもの視点で読み進めていくんだけど、誰視点の物語かによってひとつの事象がいろんな側面を持って迫ってくる話。
    本当の王とは誰(どちら)だったのか?ということは言えなくて、ツェドカとアライス二人がいたからこそ世界を変えられたのだということだと思う。
    いろんな犠牲を払って、それぞれの想いが夢の上に・・・

  • ある王女を中心に、周りの人たちが王女に託す”夢”の話でした。王女は周りの夢の上に立ち、希望になり、進むことしか許されませんでした。王女自身は光となって進んでいますが、周りの人は倒れていく。。まさに俺を置いて先に行け状態。。やりきれなさと、夢を叶えた達成感が混ざり合う複雑なラストでした。これぞ多崎さんの話だな〜〜と充実感もありました笑

  • 光輝晶、アライス視点の話は明らかに1、2巻と重なりすぎ。闇輝晶との対比にするため、話の流れ的に入れたかったのはわかるけれど、それならもっと工夫が欲しかった。
    終わり方は正直可も不可もなく、という感じだけれど、読了感は良い。
    ツェドカは完全に闇落ちしたと思ってた笑
    落ちてなかった、えらい。

    文章も構成も、多少拙い印象は受けるけれど。
    それ以上に、やっぱり多崎さんの作品は好きだなぁと思う。

  • 二人の王子の物語をもって暗黒の歴史が終焉し、新しい時代が始まった。
    タイトルの「夢の上」の意味も判明して、余韻を感じるラストだった。

    ただ構成の都合とはいえ、同じ流れを何度も読むことになるので、ストーリーのスピード感を求める人には読みづらいかもしれない。

  • 最終章が泣ける。
    それぞれ求めてるものの根本が同じでも、考え方や環境でずいぶん変わってしまう。

  • 真の英雄は誰の記憶にも残らない。
    真新しい言葉ではないがツェドカの章の後にくると目頭にくる。
    6人の主人公の視点から一つの物語を観るので同じ場面を繰り返したりもするが
    言葉一つとってもそれぞれで捕らえ方が違うので前の巻を片手に、といろいろと楽しめた。
    影使いの境遇や描写にちょっとファーシーアの一族を思い出させるものがあったけど意識しているのかな?

  • 唯一神サマーアを信仰するこの国の王となる資格を持つ二人。彼らの夢は相似していながらも、全く違うものとなっていた……。最終巻は、みなさんの予想通り、王子二人の物語でした。多崎さんは本当に凄いなあ……。いやー、「物語」好きは必読ですよ!あらすじで語れば、ひとつの道筋でしかない物語を、各人の視点から語ることにより、全く違うことをこの人は考えていたんだ!実は同じことを考えていたんだ!実はこの人はこの人とこんなところで出会っていたんだ!など多くのことを知らされます。それがたまらなく楽しい。各人の決意が哀しく、また心地良い。もっとこの世界にいたい。そんなことを思わせてくれる物語に、また出会えました!文句なしにおすすめ!絶品です。

  • 人は夢をみる。未来を想う。もがき、苦しむ。それでも
    歩いていこう。ーーー
    物語の裏の裏、人と人の繋がりの裏。王が歩きだした夢の先が、夢から覚めた瞬間なのだなあ。王になるまでの物語で、きっここの先物語にしたら蛇足になるのかもしれないけど、この先の王とキャラクターたちの歩みも読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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