知の技法: 東京大学教養学部「基礎演習」テキスト

制作 : 小林康夫  船曳建夫 
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130033053

作品紹介・あらすじ

「知」も「大学」も大きく変わろうとしている。制度化された領域を横切り、硬直した知識を捨て、いま、しなやかに開かれた作法と身振りとして「知」がよみがえる-。東京大学教養学部からの挑戦。

感想・レビュー・書評

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  • どのように考えるか。
    一つ一つに触れていると、いつまでも終わらない感想になりそうなので、中身の紹介だけ。

    フィールドワーク
    マリ共和国での話。地図が読めないとはどういうことか、紙の価値とは。
    分かりやすくハッキリと価値観が揺さぶられて、ここから始まることにワクワクした。

    史料/アンケート/翻訳
    解釈/検査/構造
    レトリック/統計/モデル
    コンピューティング/比較
    アクチュアリティ/関係

  • 学校の「探究」という授業で多く参考にさせてもらっている(生徒それぞれが中1から自分の好きな「疑問」に対し、オリジナルの仮説を考えて考究していく課外的授業)。研究活動や手法の「入り口」「ケーススタディー」を示している書。さまざまな研究分野の先生が執筆されているので、バランスもある程度取れている。勿論中高生には難解な部分もあるが、身につけて欲しい研究的スタンスはこの書籍に満載されている。『知の技法』以外にも「続編」が出ている。「自分が疑問に思った内容に対して、よりよい接近方法(解決方法)は何か」―――掲載されている研究手法や課題に対する接近方法など、勉強していきたいと感じさせてくれる一冊。

  • 東大教養学部の基礎演習のサブテキストということで、学問は何かというところから文系の知に関する技術や作法の話。
    学問が様々な問題に向き合う二部が面白く、フィールドワークでの地図の謎、将門記からわかる正当化の論理、アンケートの使い方、翻訳の難しさ、それに解釈や検索、構造、レトリック、統計、モデル、コンピューティング、比較、関係について。
    三部は表現として論文と口頭発表で留意すべきことについて。

  • 第2章は自分に興味のある部分について読んだ。学問的な技術だけでなく、人と対話する時、議論する時に気をつけなければならないことが書いてあるので、どんな人が読んでも参考になる部分はあると思う。私としても自信になるところと、考えを改めるところの両方を発見できて、非常に参考になった。

  • 面白かった。

    自分は理系の人間で、はっきり言って文系の学問の有用性を見出すことが出来ていませんでした。
    (失礼ですみません。)

    中身としてはかなり古いので、今の時代には即さないのですが、あー、文系の学問ってこんなだったのか、これならやってみても良いかも。と思いました。やはり第一人者の方が執筆なさると、学問の深みが伝わってくるのですね。

    所々分からない所もありましたが、自然を研究するのは理科系の学問がBest、人間の何たるかを知ろうと思うと科学では割り切れない、文系的な研究が必要、という感じがしました。

    少々読み終えるのに力(りき)が要りますが、講座に分かれているのでつまみ読でも全然問題ありません。

    現代版が出れば間違いなく星5つです。

  • 調べる、考える、表現するというような知的活動の枠組みの中に小項目が立てられ、各分野の専門家たちが入門的内容を短く記述したエッセイ集のようなものです。

    それぞれの項目で筆者が異なりますし、書き方も各人に委ねられているらしく、全体として体系的な記述はされていません。
    その分野のフレームを要約的に紹介しようとしている文章や、具体的な一例を取り上げてその解説だけをしているものなどいろいろです。

    おもしろく読めますが、この本だけで十分な学びがあるというなことはないと思います。学問の世界に足を踏み入れるためのパンフレットみたいなものかもしれません。

    また、発行から四半世紀が経過していることもあり、当時ならではのテーマを扱っている文章は、相当に鮮度が落ちてしまっています。

  • 東京大学教養学部の「基礎演習」テキストで、「知の三部作」シリーズの第1弾です。

    文科系学問の「技法」を、大学に入学したばかりの学生に伝えるという意図のもとで編まれた本で、論文の書き方や発表の仕方についての説明も含まれていますが、中心となっているのは、それぞれの研究者が自分自身の関心に基づいて、知のパフォーマンスを実演してみせることで、学生にその「技法」を体得させるようなスタイルで書かれた文章です。

    全体を通して気づいたのは、構造主義のインパクトを受けていることが明確に示されているような文章が目立つことです。そのような表現スタイルが、人文・社会科学系の学問の基本になっていたことがうかがえます。

  • 東京大学教養学部文系1年必修科目「基礎演習」のサブ・テキストとして編集された本。制度化された領域を超えて、全ての「学」に共通する技術・作法としての「知の技法」を習得させる1つの試み。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00207887

  • “人間は誰でも「知りたい」という好奇心を持っていますが、それがただ対象についての情報を得ることに止まっているうちは、まだ、学問的な知にはならない。そうではなくて、その好奇心が、より一般的な問いかけに結びつき、そこに一般化可能な問題が立ち現れるときに、はじめて学問的な知の行為がスタートします。(p.8)”

     大学生が身につけるべき教養とは、知識そのものではなく、「知」に対してどう向き合い扱っていくのかという技法を学ぶことである。大学生当時の私はそのことを全く理解していなかったので、こういった技法を何も身につけずに卒業した。つまり、ただ無為に学生時代を費やしたわけで、今思えばもったいない限りだ。

     本書は1993年度の東大教養学部のテキストとして書かれている。まだインターネットが普及する前であり、「テクノロジーの利用」と題してワープロ機が紹介されていたりする30年も昔の本だ。「知の技法」獲得を目指す環境の充実を願って編まれたであろう本書だが、残念ながら30年経ったいま、大学の現状はより悪い方へ転がり落ちてしまったように思う。「大学で学ぶことは社会に出たら役に立たない」という手垢のついた勘違いが幅を効かせ、リベラルアーツなど何の価値もないかのような「改革」が次々に行われてしまったからだ。

     しかし、いかに私たちが愚かであっても、いつかはこの誤りに気づくだろうと信じる。その時、この30年前に書かれた本を改めて読み返すべきなのかもしれない。

  • 東大の教養学部の基礎演習で使われた様々なテーマ分野に関する教授のエッセイ。
    全てが面白いわけではないが、多ジャンルの東大講義が受けれるので知的好奇心の幅が広い人にはおススメ。
    一つ一つのエッセイが短くて、それはそれでコンパクトで良いのだが、気になる分野はもっと深掘りしたくなる。
    良い本だが、読み応えにはかけるので★3にした。

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