教養としての認知科学

著者 :
  • 東京大学出版会
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本棚登録 : 396
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130121101

作品紹介・あらすじ

人間はどのように世界を認識しているか? 「情報」という共通言語のもとに研究を進める認知科学が明らかにしてきた,知性の意外なまでの脆さ・儚さと,それを補って余りある環境との相互作用を,記憶・思考を中心に身近なテーマからわかりやすく紹介.
【円城塔氏(作家)推薦の辞】
「この本を読むと,人間は自分で思っているよりも,いい加減なものだとわかる.いい加減な人が読むべきなのはもちろんだが,自分はしっかりしていると思っている人こそ,読むべきである.」

感想・レビュー・書評

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  • 人間の「物事に対する認知」におけるプロセスや、それによって生まれる「思考のクセ」を様々な学問から科学的に証明している本。

    【学び】
    ・物事に対する認知

     -表情フィードバック
      └ある感情状態になると表情や身振りに出ると言われるが、これは逆だという主張
    ◎セルフマネジメントには理想的な感情により生まれるアウトプットを意識することが大事なのでは?
    例)疲れていてしんどい→笑顔でせっせとこなしていく

     -記憶定着
      └接触回数の多さと意図的な記憶想起の連続
    ◎意識の連続は無意識を生むが科学的に証明された
     
     -記憶保持
      └情報にどのような操作、処理を行ったか
       …精緻化(せいちか)という
      └他人が行う精緻化よりも自分が行う精緻化を行った暗記方法の方が成績が良くなる
       …自己生成効果という
    ◎自ら暗記方法を生み出そう
     └思い出すべき対象と思い出すときの手がかりが一致しているほど思い出しやすくなる原理
     …符号化特定性原理
    ◎その時の情景、時間、感情を付随して記憶すると効果的
    →鍵が定位置の置き場になかった時、昨日の出来事を振り返って記憶から辿る行為はまさにこれ
      
     -記憶想起
      └構成的記憶: どこかから得た情報から全くないことが作り出される、記憶が捏造される
    ◎デジャブ
      
    ・思考のクセ
     -利用可能性ヒューリスティクス: 発生頻度の判断基準は思い出しやすさ
     └思い出しやすい事象が、あたかも多く発生しているようにかんじられる現象
      └繰り返し接触する→記憶に定着→想起が容易で高頻度→考えや価値観が形成される→確証バイアスに至る
    ◎マスメディアの特性上、めずらしい、変わったことに焦点を置き発信するため、誤った信念による確証バイアスを生み出しやすい
    →現代に必要な思考: 批判的思考

     -フレーミング効果
      └同じ事象を別の表現を使うことにより選好基準が変わる現象
    ◎100人のうち10人が生きるボタンと90人が死ぬボタン、本質は変わらないのに前者を選びたがるクセ

     -プロスペクト理論
      └効用は確実性を重視した保守的な選択をとるが、ネガティブな状況下ではリスクを追求する
    ◎パチンコで負け続けていて注ぎ込む、勝っていればすぐ止めるのと同じ

     -生死が関わる危機的状況下では逸脱者に対して不寛容になる
     ◎コロナでマスクしてない人に対して暴力的になるなどもまさにそう

     -サブリミナル効果
      └知覚できないほど繊細な刺激を与えることで無意識に選択、行動してしまう効果

     -思考にゆらぎを与える重要性
      └一貫した考え方で物事を処理するのではなく、様々な考え方を試行錯誤することで思考が発達する
    ◎謎解きは思考を発達させる

    ・拡張
     -記憶を維持するための努力が不要になると、認知的なエネルギーの探索や推論など別の処理に向けることができる
    ◎議事録、タスク管理の重要性
     -持っている道具によって脳の働きが拡張される
    ◎常に最新技術を身にまといたい

    【NA】
    ・笑って、はたらこう。
    ・覚えてもらうためにたくさん会い、たくさん思い出してもらう機会を作る。→自分のクイズを出すなど?
    ・自分なりの暗記方法を見出そう。
    ・批判的思考を常に持とう。
    ・伝え方には気をつけよう。自身も表面的な文脈だけで判断せずその裏の意図まで読み取るクセをつける。
    ・謎解き1日に1回解こう。
    ・議事録、タスク管理はかかさずに。
    ・ウェアラブル端末への投資にはいとわない。

  • 授業でとって読んだ。利用可能性ヒューリスティックスとか心理学的本質主義とかおもろかった。忘れてきたからまた読もっと。人間の思考はほんと興味深い。

  • この分野の始めの1冊をどうしようか悩んでいました。
    平易な言葉、豊富な例えで書かれていてとても読みやすいです。
    とっかかりで食わず嫌いにならずに済みそうです。

  • 認知科学を専門としない読者を対象に書かれたと思われる初学者にわかりやすい入門書。論旨と実例のバランスが素晴らしく、読者を飽きさせない。

  • 四章くらいまではだいたい知っている内容
    五章あたりからドライブし始めて、人間の進化の行く末にドキドキしてきます

  • 『認知科学を学ぶならまずはこの本』
    認知科学を非常にわかりやすく、また面白く書いてくれている本。といってもエンタメ方向に走っているのではなく、本当に知的好奇心を刺激してくれる本です。
    他人に認知科学の基本を伝えたいという場合にも使いやすい本。この中からトピックを選択して話してもいいし、直接本をワタシても良い。
    ■ 認知科学について知りたい!
    ■ 認知科学について教えたい!
    ■ ちょっと学問に触れてみたい!
    そんな人はまずこの本を開きましょう!

  • ワクワクする内容がわかりやすい言葉で書かれている.何度も読む価値のある本だと思う.

  • 認知科学の入門書。門外漢の私でも読めるくらい平易に解説されてる。

    ロボット工学、教育学、心理学、哲学など、いろんな分野を横断している分野で、それゆえに分かりにくい部分もあるけど、学ぶという機能の広さを感じられて、興味がわいた。

    今後もこの分野をフォローしてみたいと思います。

  • 大学の心理学の啓蒙書?
    前半はなかなか頭に入ってこなかったが、後半は結構スムーズに読めた。
    暗示を繰り返すと新たな記憶が作り出せるという実験から、この国の23日間拘留して取り調べることで「自白」が作り出せるという流れはかなり腑に落ちた。

    その他、p. 208, 214, 258など

  • おもしろい。「知性」という曖昧な概念を科学的に位置づけることができる。この本を踏まえた上で昨今のAI=人工知能の議論に目を向けると、また違う視点で見ることができそう。内容としては『サブリミナルインパクト』を既読だったため、驚きは大きくなかった。

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著者プロフィール

青山学院大学 教育人間科学部教育学科教授。博士(教育学)。
1958年生まれ。東京大学大学院単位取得退学。東京工業大学助手、エジンバラ大学客員研究員などを経て、2009年より現職。日本認知科学会フェロー、人工知能学会、日本心理学会、Cognitive Science Society各会員。著書に『類似と思考 改訂版』(ちくま学芸文庫)、『教養としての認知科学』(東京大学出版会)ほか。


「2020年 『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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