中国医学の誕生 (東洋叢書 2)

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130130325

作品紹介・あらすじ

漢方の背景にある考え方を思想史の側から追求する.治水は循環器系に通じ,呼吸器系は気など,心と身体の調和をめざして,風景としての身体がエコロジカルに捉えられてゆく.古代思想のこの全体性こそ,もう一つの〈医〉の思想であった.

感想・レビュー・書評

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  • 「中国語圏文化論 / アジア文化論A」
    角屋明彦先生 参考図書
    https://library.shobi-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=01019674

  • 1987年初版だが、たいへんレベルの高い本であるように思う。中国戦国時代の医者を、シャーマン系・外科が得意な宮廷医である秦医(インド医学からの影響が濃厚だそうだ)・遍歴医となった斉医に分類し、中国医学の身体を開かない治療法は斉医に起源があるとしている。三国志の華陀にはペルシアの影響をみとめている。精神療法をあつかっている所も特徴で、活套といわれる言葉の暴力によって、患者の精神状態を変化させ、治癒に導く方法が紹介され、その限界が指摘されている。第4章は精神のありかとしての脳と心をあつかっており、この分野を研究する人には必読の部分といえる。タイトルだけをみると、古代で終わりなのかと思うが第4章はとくに明清まで説き及んでいる。東西交渉研究・西洋医学史・イスラーム医学史・脳理論・地理学・環境学・文明論などさまざま論が縦横に引用されているので、論としてはとても雄大であるが、細部はよく分からない点も多い。だが、さまざまな問題を考えさせてくれる良書であり、中国医学を学ぶ人には役にたつ本だと思う。

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著者プロフィール

言語学者、茨城大学名誉教授

「2020年 『知れば知るほど面白い この漢字が読めますか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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