現代中国ゼミナール: 東大駒場連続講義

制作 : 東大社研現代中国研究拠点 
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130230766

作品紹介・あらすじ

一帯一路,香港問題,ウイグル問題,米中経済摩擦,台湾問題…….習近平時代の中国はどこへ行こうとするのか.東京大学の中国研究者が学部1,2年生にむけて,超大国の最新事情を政治・経済・社会あらゆる角度から俯瞰し,わかりやすく解説する.

感想・レビュー・書評

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  • 前半の現代中国事情は現地レポート的でとても参考になったが、後半の政治や法律のあたりは良くも悪くも学校の授業的で、あまり頭に入らなかった。こう見るといろんな先生がいますね。

  • 中国の学術的な見方が気になったので購入。法的な観点や、外交、経済的な観点で説明。さすが東大の講座、内容が濃くわかりやすい。興味深かったのは農民戸籍のシステム。上がり下がりが激しい中国の工業生産に合致していることが興味深かった。

  • 東大で行われた中国ゼミの講義録。さまざまな専門な教授陣(11名)の見解が学部生向けの話し言葉で書かれているので、特別な知識がなくても中国という国をざっくりと理解できる。
    一番興味深かったのは第5講の中国の安全保障に関する講義で、特に「何を守るか?」という視点は、中国語の「安全保障」という言葉に感じていたモヤモヤを解消してくれた。日本で安全保障といえば、日本という国を外国から守ることを意味するが、中国では「中国共産党政権」を守ることだと理解すると、中国政府の行動や言葉の使い方にかなり納得がいく。
    各講義の最後には推奨書籍が書かれているので、興味をもった分野をさらに深堀りできるのもいい。

  • 一帯一路、香港問題、ウイグル問題、米中経済摩擦、台湾問題・・・。習近平時代の中国はどこへ行こうとするのか。東京大学の中国研究者が学部1、2年生にむけて、超大国の最新事情を政治・経済・社会などあらゆる角度からバランスよく俯瞰し、平易に解説する。
    中国に関しては歴史の授業でもあまり習わず、断片的なイメージしかなかったため、一度概要を学んでおきたくて読みました。横書きスタイルで平易な文章なのでさらっと読める。習近平の国家観にはやっぱり嫌悪感しかわかないけれど、中国という国の中で不満が爆発しない理由(ネット上の反共産意見はことごとく削除される、部外者を立ち入らせない、身近な格差しか目に入らないシステムなど・・・)が分かってなるほどなとは思った。スリランカの空港など、すべてが悪ではないけれど、日本が隣国として付き合っていくにはしたたかに譲らない姿勢を見せるしかないんじゃないかなとも感じる。

  •  まず、確かに講義を受けているような感覚で読み進められ、話がわかりやすい。また、ひとつひとつのテーマの分量も多すぎず少なすぎずで読みやすい。
     Ⅰが政治・外交・安全保障、Ⅱが経済、Ⅲが法と社会の3部構成となっていて、それぞれの短編をあわせていくと全体の理解に繋がるように編集されている。ただ、残念ながら、これら3部の境界線上での議論が少なく、それぞれの部は発展的な議論に繋がるような組み立てになっているのに、業際のところが弱いという点が気になった。
     それでも、入門書として興味を引き起こすということに関して、十分な内容だろう。

  • 東2法経図・6F開架:302.22A/To46g//K
    東2法経図・6F指定:302.22A/To46g/Eto

  •  2018年に行われた学部1・2年生向け連続講義の書籍化。テーマは「習近平時代」の中国で、政治、経済、法と社会という分野を横断する。分かりやすいながら土台はしっかりしているという印象で、こんな良質の講義を受けられる学生が羨ましい。
    ・中国が見る世界秩序と、それとは別のアジアの地域秩序に日米、アジア・アフリカの国々がそれぞれどう対応するか、という問を提起する川島講義。
    ・党の領導の強調や権力の集中など習近平政権の特徴を説く高原講義。付録で指摘された日中双方での相手国の報道と、それがもたらす国民の認識ギャップと情報ギャップ。安倍総理の靖国参拝は国内の求心力を高めるためなのかどうか。
    ・近年のチベットや新疆での状況、「中国化」を指摘する平野講義。
    ・返還後の香港、雨傘運動、そして補講で2019年の抗議活動も述べる谷垣講義。そもそもの立法会や行政長官の選挙制度から丁寧に解説している。
    ・国内の治安を主に、また国家主導の技術取得など経済面も含めて安全保障を語る松田講義。主に習近平政権下で整備された安全保障法制の一覧は有益だ。
    ・一帯一路を清代の民間貿易と連携させる城山講義。
    ・2012年以降の中国は外貨資本を輸出する「先進工業国」段階とする丸川講義。
    ・中露など政治的自由が制限される国でもデジタル化が進んでいる点を指摘する伊藤講義。
    ・民主集中制、共産党の領導、単一性国家、「公民」「人権」、と中国憲法の原理を整理する高見澤講義。
    ・県城と周辺農村部を一体の「県城社会」として捉える田原講義。農民の日常的な不満は都市住民との比較ではない、とのことだったが、これはそもそも農民にとり比較対象にならないほど都市住民との格差が大きいためか、とも思う。
    ・エスノグラフィーにおける「参与」と「観察」のバランスの難しさを述べる阿古講義。

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著者プロフィール

東京大学社会科学研究所現代中国研究拠点

「2020年 『UP plus コロナ以後の東アジア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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