- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130321303
作品紹介・あらすじ
マスメディアは政治権力といかなる関係に立ち,世論にどのような影響を与えているのか.衛星放送やケーブルテレビ,インターネットが普及し,多元化するメディアは政治に何をもたらすのか.最新の研究動向を紹介し,独自の調査・分析を交えて比較の中で考える.
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706624詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このテーマでメディア当事者が書くものは多いが、本書は政治学だけあり、多くの論を紹介しつつ冷静だ。マスメディアの本義が権力監視と政治的主体のいずれかにあるかという問いは、富士山の「表」は静岡側と山梨側のどちらかと言うようなものであり、両県民にとってはアイデンティティに関わる大問題かもしれないが、そこに拘るあまりいつまでも登山口で押し問答するのはあまり生産的ではない、というのは実に分かりやすいたとえだ。マスメディアが果たす役割の多面性、という表現も出てくる。
他には、メディアが世論に影響を与えるプライミングやフレーミング。日本では報道番組のソフト化と娯楽番組の政治化。いわゆるエコーチャンバー効果はまだ日本ではそれほどではないようだが、ネットを考慮に入れれば、日本でもそれが成立する可能性は皆無ではない、としている。また、政治家や政党の側から出演や広告という形でメディアに出る戦略もある。 -
オリジナルな視点といよりも、筆者が読んだ先行研究をまとめたもの。レビューとも言えない。2000年代以降の先行研究をざっと探すにはよい。
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マスメディアと政治を巡っては様々な理論があり、定説が定まっていないというのが現状か。
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著者はまさしく本テーマの第一人者であり、朝日新聞と組んで世論調査、国会議員アンケートなどを採る精力的な研究者。
思想的なもの、古典を排して、定量的な現代の論考を中心に、メディアと政治に関わるテーマを網羅。本文150ページ余りなのに対して参考文献50ページと至れりつくせり。よくできた入門書。