貴族の徳、商業の精神: モンテスキューと専制批判の系譜

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130360876

作品紹介・あらすじ

本書は、あえて教科書的な言葉を使うなら「貴族(主義)的リベラリズム」(lib'eralisme aristocratique)と呼ばれる一連の思潮の中に、モンテスキュー(1689-1755)を位置づけるという作業を通して、彼の「自由な国家」論の特質を探求することを主たる目的とする。

感想・レビュー・書評

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  • 今なお政治論、憲法論において参照されつづけるモンテスキューの思想を、貴族の徳をめぐる議論の系譜に位置づけながら、アンシャン・レジームにおける名誉概念の重層性を巧みに論証している。比較対象として、フェヌロン、ブーランヴィリエ、サン=ピエールといった先行する思想家たちが挙げられ、政治社会を構成する人間に求められる資質をめぐる論争の脈絡が再構成される。そしてアンシャン・レジーム下で徐々に注目されていた商業従事者の備える資質と政治社会の構成員に求められる規範的資質をいかに関連付けるかをめぐる解答の一つとして、モンテスキューの徳をめぐる議論が位置づけられていく。モンテスキューが封建制の成立の歴史研究と商業社会の勃興から導き出すのが、政治的自由と市民的自由の極限的には矛盾しかねない特性である。ここにおいて、旧ヨーロッパにおける政治=市民社会の等置図式は、潜在的にではあれ掘り崩されることになる。のちのゲルマン・イデオロギーや共和主義に対するモンテスキューの影響を考えるうえでも示唆に満ちた研究書である。

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著者プロフィール

川出良枝(かわで・よしえ)1959年生まれ.東京大学教授.専門は政治思想史.著書に,『貴族の徳,商業の精神―モンテスキューと専制批判の系譜』(東京大学出版会,1996)共著に,『政治学入門』(放送大学教育振興会,1996),『近代国家と近代革命の政治思想』(放送大学教育振興会,1997),『政治学[補訂版]』(有斐閣,2011),『西洋政治思想史―視座と論点』(岩波書店,2012),編著に,『藤原保信著作集〈第4巻〉西洋政治理論史(下)』(新評論,2005),『政治学』(東京大学出版会,2012),『文明』『起源』『政治』『孤独』(いずれもルソー・コレクション,白水社,2012),共訳書に,シィエス『第三身分とは何か』(岩波文庫,2011)など.

「2014年 『ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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