グローバル・ガヴァナンス―政府なき秩序の模索

制作 : 渡辺昭夫  土山実男 
  • 東京大学出版会
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本棚登録 : 23
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130362054

作品紹介・あらすじ

中央政府の存在しない国際社会において地球規模の問題はどう解決されるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 山本吉宣. 2001. “第9章 安全保障 グローバル・ガヴァナンスの境界領域.” Pp. 218–42 in グローバル・ガヴァナンス.
    『要は、レジームは、特定の問題領域において、主としてルールのセットによって当該問題領域を「統御」し、レジームの参加者の共通の利益/問題の解決をはからおうとするものである。』そして国際政治におけるルールは国家間に設定されることが通常であるため、レジームは主として国家間のものであると観念される。OSCEなどが好例(p219)
    『対してグローバル・ガヴァナンス論は、主体として国家だけではなく、さまざまな非国家行為体を含んで考えるのが普通である。』(p221)
    レジームとグローバル・ガヴァナンスに共通するところは『グローバルに相互依存が深化し、共通の問題が出現し、その様な共通の次項を(世界政府がない状態で)管理したり、解決する、という機能を持つということである。』
    山本はガヴァナンスの類型を主体(国家か多様な行為者か?)、統治の手段(ルールか多様な手段か)、問題領域(特定か多くの問題領域か)の3つの変数によって示した。(p223)

  •  様々な視点からの分析があり、日本においてはグローバル・ガバナンスの研究をする際に欠かせない本とも言える。ただ例えば、機能主義者で『帝国安定論』者の一人でもあるクラズナーはグローバル・ガバナンスを帝国支配の手段だと分析をする。しかし、これは国際政治の覇権論に留まった分析といえる。であるならば、それはそもそもガバナンスなどではなく、「覇権論」ではないだろうか。ちなみに「帝国安定論」は80年代以降、冷戦の崩壊とアメリカが覇権的負担を負うのを拒んだという視点から形骸化している。
     安全保障のグローバル・ガバナンスにおける山本吉宣教授の分析は明確にガバナンスとレジームをわけ、さらに狭義、広義のガバナンスをアクターの参加ごとにわけている。私はこれに疑問があり、この類型に当てはまる実例が存在するのか疑問だ。実際、山本教授も対人地雷レジームといっておきながらも、これをガバナンスの領域で用いているし(彼は対人地雷レジームとガバナンスはアクターの参加において違うと論じているが)、疑問だ。ガバナンスとは類型だったもの、つまりシステムなのか、考える必要性がある。いずれにしてもグローバル・ガバナンスに関する論点はここにある。しかし、残念ながらガバナンスが何か、という問は自ら解決するしかないといえる。

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