日本の家族と戸籍: なぜ「夫婦と未婚の子」単位なのか

著者 :
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130511445

作品紹介・あらすじ

戦後,家族単位(=「夫婦と未婚の子」)の戸籍制度が成立し,人びとは今もなお戸籍の制度と意識に振り回され続けている.制度導入に関わった法学者や法務官僚の「回顧談」,新聞の「身の上相談」の記事を通して,戸籍と家族から日本社会を再考する.

感想・レビュー・書評

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  • 卒論のため。

    改正に関わった当事者達の視点から、戸籍制度を読み解く流れが興味深かった。
    後半に紹介されていた、戸籍制度に振り回された方々の生の声も印象的だった。

  • 東2法経図・6F開架:324.87A/Sh51n//K

  • タイトルの通り、日本の戸籍が個人ベースではなく男女の夫婦+その子になった歴史的背景と、この制度によって生じる日本人へのメンタルへの影響について調査した本。離婚や婚外子の出産によって戸籍が汚れるというフレーズ、最近あまり聞かないですが年配の世代にはそういう感覚もあり、実際に生き様にも影響があるのでしょう。
    特に戦後からの人生相談を材料にした調査の部分が面白い。見た目を普通の法律婚っぽく見せるために他人を利用する案件がたくさんでてくるので驚きました。

  • 【書誌情報】
    『日本の家族と戸籍――なぜ「夫婦と未婚の子」単位なのか』
    著者:下夷美幸[しもえびす・みゆき] 現代家族論、家族福祉政策。
    ISBN:978-4-13-051144-5
    発売日:2019年11月07日
    判型:四六
    頁数:308頁
    ジャンル:法律
         社会・福祉
    価格:税込3,960円(本体3,600円)

     戦後,家族単位(=「夫婦と未婚の子」)の戸籍制度が成立し,人びとは今もなお戸籍の制度と意識に振り回され続けている.制度導入に関わった法学者や法務官僚の「回顧談」,新聞の「身の上相談」の記事を通して,戸籍と家族から日本社会を再考する.
    http://www.utp.or.jp/book/b479966.html

    【目次】
    第1章 戸籍の何が問題なのか
    1 戸籍とは――個人の生涯にわたる身分証明
     (1)戸籍・戸籍謄本・戸籍抄本
     (2)戸籍謄本の使いみち
     (3)戸籍の編製単位
    2 戸籍と家族の結びつき――明治から戦後までの戸籍法
     (1)明治政府と戸籍
     (2)身分登記制度の導入
     (3)身分登記制度の廃止
     (4)「家」制度の廃止と新戸籍法
     (5)親族単位の一貫性
    3 戸籍の単位をめぐって――家族単位か,個人単位か 
     (1)家族単位と「婚姻家族」規範
     (2)家族単位の擁護論
     (3)個人単位の擁護論
     (4)個人単位の理想と現実
    4 家族単位の戸籍を問う――本書の課題 

    第2章 「家族単位」という選択――民法・戸籍法改正案起草委員・幹事の「回顧談」から 
    1 「夫婦と未婚の子」という妥協点――「家」と「個人」の中間 
     (1)起草委員会案までの流れ
     (2)「家」単位の提案とその修正
     (3)個人カード方式の不採用
    2 民法学者・我妻栄の着眼点――公証ツールとしての機能性
     (1)戦後改革に対する自問
     (2)個人カード方式の可能性

    第3章 「家族単位」成立の時代性――法務官僚の「回顧談」から
    1 司法省事務官・青木義人のスタンス――最小限度の法改正
     (1)現場重視の考え方
     (2)当時の戸籍事務
    2 改正作業の過程――難題と緊急事態
     (1)心血を注いだ改正作業
     (2)民法応急措置法に伴う緊急対応
    3 GHQ提案に対する抵抗――家族単位の死守
     (1)東京一極管理の拒否
     (2)個人単位の拒否
    4 青木義人の戸籍観――人々の生活に直結する制度

    第4章 戸籍と格闘する人々――婚外子にまつわる「身の上相談」から
    1 虚偽の出生届――戸籍の「汚れ」という観念
     (1)配偶者の子としての届出
     (2)親族の子として届出
     (3)婚外子を産む女性のこだわり
    2 嫡出子にする手段の模索――戸籍に翻弄される女性たち
     (1)虚偽の婚姻届
     (2)特別養子縁組
     (3)子の父との婚姻
    3 認知がもたらす葛藤――妻および嫡出子の反発
     (1)戸籍に記載される認知の事実
     (2)認知された子の入籍

    第5章 戸籍の不条理――結婚・離婚・再婚にまつわる「身の上相談」から
    1 結婚と戸籍謄本――身元調査の時代性
     (1)結婚詐欺からの自己防衛
     (2)結婚の障害
    2 嫡出推定にかかる子の籍――現在に至る問題
     (1)離婚成立前の出生
     (2)離婚後300日以内の出生
    3 離婚・再婚と子の籍――家族と非家族の境界
     (1)離婚後の子の籍
     (2)再婚の障害
     (3)連れ子の入籍
     (4)前婚の子の除籍

    第6章 家族政策としての戸籍制度 
    1 「家族単位」の選択と作用――意図せざる結果 
     (1)公証ツールとしての選択
     (2)「婚姻家族」の規範化
    2 「婚姻家族」の規範化の背景――戸籍謄本の日常性 
    3 個人単位へ向けて――失われた視点の回復 
     (1)戦後改革の忘却
     (2)家族政策からの脱却

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著者プロフィール

放送大学教養学部教授

「2019年 『日本の家族と戸籍』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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