精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険

著者 :
  • 東京大学出版会
4.10
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本棚登録 : 322
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130633635

作品紹介・あらすじ

新米魔術師になって数か月.ガレットの前にはさらなる波乱万丈の運命が待ち受けていた――『白と黒のとびら』第2弾は,チューリングマシンがテーマ.主人公をはじめとする様々な登場人物とともに,「計算」の本当の姿、またそれにまつわる数々の話題に親しもう.【上下巻】

感想・レビュー・書評

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  • 解き明かしていくべき「謎」にコンピューター技術についての理論を設定している点が特徴。
    このアイデアをどう捉えるかで大きく評価が分かれる本だと思う。
    私は純粋にファンタジーとしても面白い(エピローグがいい!)と思い、チューリングマシンの理論を勉強するきっかけにもなったので高く評価する。

  • 内容は,副題通りチューリングマシンについてが基本で,2進数や情報の符号化,,電気回路,暗号技術などの現在のコンピュータに用いられる技術について触れられている。

  • ?「白と黒のとびら:オートマトンと形式言語をめぐる冒険」「精霊の箱:チューリングマシンをめぐる冒険」川添愛 (エピソード265, ナリタ紹介回, 2017.01.31配信):
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    年明けの恒例行事となるか?!今回は久しぶりのナリタ紹介回です。魔法使い見習いの青年が、師匠の指導を受けながら様々な問題や謎を解き明かしていく、という、なんともまっとうすぎるファンタジー作品である本作。しかしながら、その根底に流れる原理原則は形式言語理論、情報工学、数学といった現実のハードサイエンスである、というのだからさあ大変(タナカ的に)。物語として、そして教材としての高い完成度を両立した本作を前に、いつも以上にナリタの多弁熱弁が冴え渡ります!
    13:34〜 古典コテン「若返り薬」夢野久作(海若藍平)
    24:57〜 紹介回
    -
    http://hontana.info/2017/01/31/2017-1-31-%e3%80%8c%e7%99%bd%e3%81%a8%e9%bb%92%e3%81%ae%e3%81%a8%e3%81%b3%e3%82%89%ef%bc%9a%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%9e%e3%83%88%e3%83%b3%e3%81%a8%e5%bd%a2%e5%bc%8f%e8%a8%80%e8%aa%9e%e3%82%92/
    ===
    ?「白と黒のとびら:オートマトンと形式言語をめぐる冒険」「精霊の箱:チューリングマシンをめぐる冒険」川添愛 (エピソード266, タナカ感想回, 2017.02.07):
    ファンタジーの線引き・5年越しのUフォン論争再び 〜「白と黒のとびら」「精霊の箱」の感想から〜
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    ナリタの挑戦的作品紹介に対し、タナカ、辛くも読了!ほとんど理解できていないながらも、ファンタジーと科学とを融合しうる物語を前にタナカは畏怖の念を抱きます。そして話はファンタジーとSFとの境界線という”禁断の地”に踏み込むことに。5年前の「Uフォン論争」(第13回配信)を端に発する大きな宿題に、今夜ひとつの解答がもたらされるか?!ジャンルを越えて知的興奮を惹起する本作の凄さをお楽しみください。
    10:28〜 ホンタナ的ライフハック「ファシリーテーション・グラフィック」掘公俊, 加藤彰
    38:33〜 感想回
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    http://hontana.info/2017/02/07/2017-2-7%e3%80%80%e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%82%b8%e3%83%bc%e3%81%ae%e7%b7%9a%e5%bc%95%e3%81%8d%e3%83%bb%ef%bc%95%e5%b9%b4%e8%b6%8a%e3%81%97%e3%81%aeu%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%b3%e8%ab%96/

  • なんか、手に取ってみたものの、パラパラめくってアルゴリズムの説明の絵があって、読んでみるとそこに向けての物語になっていて、興醒め。人によっては楽しめるのかもしれないけど、アルゴリズムの説明のための物語なら最初からアルゴリズムの解説だけの方が好きなので、2章まで読んでみたけど、もう良いかなってなってしまった。横 

  • 白と黒のとびらが非常に面白かった(物語としても楽しかったし、知的好奇心が満たされた)ので、続編なら是非読んでみようと思って読んだ。前回の解説を読んだからか、今回からは「これはもしかしてあれに繋がっているのではないか?」と現実のある事象を思い浮かべながら追いかけることができた。しかし物語の本筋が非常に手に汗握る展開で、落ち着いて腰を据えて謎解き…というよりは、先が知りたくてしょうがなくなってしまい(私の悪い癖なのだが)、謎解きを後にして先に進んでしまった面がある。しっかりあとから復習したい。

  • 2017.2記。

    最初に書いておくが「めちゃくちゃ面白い」。

    チューリングマシン、より乱暴に言ってコンピュータとは要するになにか。本書は、二進法、実行と停止、遷移図など、「計算」をつかさどる原理や仕組みについて、魔法使いの弟子が「いにしえの呪文を解読する」という物語の形を借りて解説。それがまた壮大な陰謀との戦いに仕立て上げられているのだからすごい。難点があるとすれば、論理式の解説部分が面白すぎて、恋や冒険のパートを読み飛ばしたくなるところだが、実はそれが理解のヒントになっていたりもするから侮れない。

    著者は言語学が専門のようで、計算とは何ぞや、を突き詰める過程では数学よりも言語が全面に出てくるところも典型的文系の私には鮮烈。それでいて、例えば「暗号理論」の部分では整数論の奥深さを垣間見られる。暗号化するより復号化(解読する)ほうがずっと難しい理由が「累乗(で暗号化する)よりも累乗根(で元に戻す)のほうがずっと計算が大変だから」という直観的な理解とか、個人としての収穫の一つ。

    蛇足だが、物語の輪郭は村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だと予想する。というか併せて読み直せば相当の発見がありそう。そうか、計算士と記号士との戦いってのはこれか・・・と。「チューリングをめぐる冒険」というタイトルも「羊をめぐる冒険」からインスパイアされていそうだし。

  • 傑作ファンタジー小説、そして計算の理論へのやさしい道しるべ。上巻ということで、前作の復習をしつつ、主人公ガレットに迫る大きな陰謀の影を辿っていく。

  • (特集:「先生と先輩のすすめる本」)

    ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00538919

  • ガレットは魔術師になる修行を続けている。先生から教えてもらった魔法は「省き」と「延ばし」だけだ。まだまだ勉強と教練が続く日々だ。でも、ガレットは先生から後継者とされることが決まっている。それでより勉強に励まなくてはいけない。今回はチューリング・マシンをめぐる話題である。

  • 2018.6.10市立図書館
    2018.721(再)市立図書館 →2020.4.3購入
    夏休みのオフライン生活でようやく読み始めることができ、読み始めたらあっというまにひきこまれて一日で上巻読了(下巻の予約が追いつかない…)。
    「白と黒のとびら」の続きのお話で、魔術師の弟子のガレットが晴れて魔術師になり、塔の守り手にもなったわけだが、実際はまだまだ未熟で修行は続くその一方で、国を揺るがす陰謀にガレットをはじめとした魔術師や学者たちが巻き込まれていき…。
    ミステリー的展開あり、パズル的謎解きあり(二進法で数字やアルファベットを表示する話になってきたのでオートマトンよりもとっつきやすい)、主人公の成長譚もあり、で読ませるファンタジー。高1の長女はわたしが借りては積ん読にしている間にも数度読み返したという。分類番号410は広い読者に発見してもらうにはちょっともったいないかも…

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著者プロフィール

川添 愛(かわぞえ・あい):1973年生まれ。九州大学文学部卒業、同大大学院にて博士号(文学)取得。2008年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、12年から16年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。現在は大学に所属せずに、言語学者、作家として活躍する。 実績 著書に『白と黒のとびら』『自動人形の城』『言語学バーリ・トゥード』(東京大学出版会)、『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』朝日出版社、『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』(東京書籍)『ふだん使いの言語学』(新潮選書)など。

「2023年 『世にもあいまいなことばの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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