善意と悪意の英文学史: 語り手は読者をどのように愛してきたか

著者 :
  • 東京大学出版会
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130801065

作品紹介・あらすじ

ヨーロッパ近代は「礼節」の時代だった.文学作品の語り手も,読者や登場人物に対し,愛や配慮や善意をたっぷり示す.が,その裏には悪意や不機嫌,嫌悪も垣間見える.「善意の政治学」を軸に,英・米・アイルランドの近現代文学を大胆に読み直した,独創的で味わい深い一冊.

感想・レビュー・書評

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  • 思索

  • 善意と悪意から英文学の歴史を見るというのが、限定的なと読み方にはなるけれど新鮮で面白い。

    「心地良さとは正反対の、神経質で不寛容な猜疑心のようなものこそが、心地良さを生む。そうだとしたら、突き詰めて言えば善意の表出は悪意によってこそ完成するという話にもなってくる。」

    この内面の悪意が表層の善意となるというのは、「礼儀について考えないピーターパンこそ礼儀にかなっているのでは」と悩むフック船長を思い起こさせた。
    また、「不思議の国のアリス」についての、

    「何が作法なのかの共通理解がないのに、みなが相手の不作法に神経をとがらせている。」

    という表現はとてもしっくり来る。
    合間に江戸川乱歩と宮沢賢治も差し込まれていて、そこと繋がる、児童文学の丁寧口調は贈与という善意(もしくは愛)だという論がとても興味深かった。

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著者プロフィール

阿部 公彦
阿部公彦:東京大学大学院人文社会系研究科准教授

「2015年 『善意と悪意の英文学史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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