記号と再帰: 記号論の形式・プログラムの必然

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  • 東京大学出版会
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130802512

作品紹介・あらすじ

人工言語の記号論を企て、人間の記号系の本質を再考する。文理を超える野心的な試み。

感想・レビュー・書評

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  • 3402円購入2011-06-28

  • Wed, 29 Dec 2010

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    さて,2010年は理系・情報系の研究者が記号論にかかわる挑戦的な本を立て続けに出版したメモリアルな年であろう.
    一つが「コミュニケーションするロボットは創れるか―記号創発システムへの構成論的アプローチ」谷口忠大(3月発売) であり,もう一冊が「記号と再帰 記号論の形式,プログラムの必然」田中久美子(6月発売)である.
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    とかいう文章だれか書いてくれないかなぁ・・・(贅沢).

    ロボカップにかかわられたりしていて,領域的にも近い感じのある先生だ.
    とはいえ,シンボルグラウンディング問題に関わる記号の意味付けについて議論した私自身の著書とは,内容的にはかなり独立性が高い.

    Semioticaなど,一流の記号論系の雑誌に発表した内容を,英語で出版した後に,日本語で出版したという本.

    ざくっと言えば,「プログラミング言語の記号論」だ.
    プログラミング言語の諸相を軸にしながら,記号論的な議論を展開する.
    プログラミング言語の応用というよりは,プログラミング言語を哲学している感じだ.
    故に,自然言語における身体をとおした意味の問題などには,よらず,まさに「レター・文字」としての「記号」を徹底的に論じている感がある.

    パースの三項的な記号とソシュールの二項的な記号について,対比して論じており,解釈項,サイン(表意体),対象がシニフィアン,シニフェがどう対応するか,などという議論も盛んになされる.

    しかし,そこでは,記号とはある意味で離散的な表象,ラベルといういみでの記号として捉える傾向がある.

    書かれていることはわかるのだが,本書をとおして,なんの問題が解きほぐされたのか・・・.よくわからなかった.
    西垣通先生 が「機械情報」 の文脈で本書をどのように評するのか聞いてみたい気がとてもしました.

    そういう意味でも,哲学的な一冊であった.

  • ソシュールの二元論やパースの三元論といった,事物表象に対する認識概念を整理する記号論を,人工言語の一種であるプログラミング言語に当てはめて,プログラミング言語を汎記号論的に分解していく.対象はJavaなどのオブジェクト指向言語とHaskellなどの関数言語が中心であり,その他はあまり出てこない.ラムダ式と不動関数を三元論に当てはめたり,オブジェクト指向でいう継承関係を二元論の連鎖に当てはめたり,入出力系を汎記号論における再帰で表現しようとしたり,少々突飛な説ではある.
    しかしラムダ式の表現やカリー化の遷移,参照透明とモナドの解説は,他関連書とは違う視点での解説であり,オブジェクト指向言語との比較していく部分は興味深かった.
    普段から人間の行為をシステム化(デザイン化)する難しさに悩んでいる人には,視点を増やすという意味では役に立つかもしれない.実際に実務で役に立つかどうかは別の話だが.

  • プログラム言語と記号論の話。人工言語としてのプロラム言語を通して、記号論の本質を探る。逆もまた然り。
    プログラミングも記号論もどっちも中途半端に馴染みがあるので、全く理解できないわけではなかったけど、途中からなんだかわからなくなってしまった。読むのにかなり気合が必要。

  • 四章あたりまで読んだ。言葉遣いが杜撰な感じ。ソシュールの二元論とか、バースの三元論など、よく知らなかったので勉強になった。あとはざっと目を通したが、面白そうな事が書いてあるとは思えなかった。
    三章あたりのプログラミング言語との対比は、無理やりかな。本質的でないような気がする。関数名とクラス名を比較して、型の違いを云々するあたりは、なにか勘違いしていると思う。言いたいことはわからなくもないが、たぶん違うことを指摘していると思えた。そういうのが、あちこちにある。
    四章のラムダ計算の話は、もともとラムダ計算を考案するとき、記号というものをよく考えているはずなので、いまさらな気がした。「再帰」の話がでてきて、すこし面白くなったが、結局、矮小になる。
    プログラミング言語は、計算の表現を工学的に「よく」管理するための仕組み。
    まあいいや。この本に触発されていろいろ考えたけど、なんだか虚しい。
    再帰といえば、LISPのatomについて、考えるべき。シニフィアンであると同時にシニフィエである、稀な概念。

  • 和図書 548.1/Ta84
    資料ID 2010104065

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著者プロフィール

文星芸術大学教授/フランス近世美術史

「2017年 『フォンテーヌブローの饗宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田中久美子の作品

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