まなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts)

著者 :
  • 東京大学出版会
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本棚登録 : 309
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130830300

作品紹介・あらすじ

絵画をみる、読む、楽しむ。18世紀までの絵画をジャンル別-神話画、宗教画、肖像画等-に取り上げ、実践的に解読。異なる文化から生まれた西洋絵画をみるコツを伝授する。モノクロ図版175点、カラー口絵12点収録。

感想・レビュー・書評

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  • 必読。

    ふんだんに写真を使って14~19世紀の西洋絵画のいろはを講義を聴いているように教えてくれる。何もしらない大学1年生でも美術館によく行くシルバーサークルのおばちゃんも納得させる。

    すごい、上手、きれい、有名・・・美術館に飾られた傑作に当たり前の形容詞をたたきつけるのはやめよう、現物を見たら動けなくなってしまう対面をしよう。
    この本を読んだら『受胎告知』の前を15分で通過することはないはず(→フィレンツェに行こう)

    唯一この本の悪いところと言えば、読んだら西欧に行きたくてしょうがなくなってしまうこと。

  • 図像解釈学(イコノロジー)に興味が出てきて手に取った。宗教画におけるアトリビュートは前から知っていて、覚えるのが大変だなあと改めて思ったが、タイポロジー(予型論、予表論)は絵画鑑賞に役立つ視点だとはじめて学んだ。タイポロジーは旧約と新約の両世界に対応関係を見出す発想で、キリストを第二のアダムと捉えるような場合が典型例。ダヴィデとゴリアテの戦いはキリストとサタンの戦いの予型、アブラハムによるイサクの犠牲は神によるキリストの犠牲の予型と見なされる...という話で、この新旧の対応関係を見出す視点というのが面白い。

    また、そうした宗教画・歴史画から、風景画や肖像画や風俗画や静物画が生まれたというジャンルの広がりの話も面白かった。

  • ん〜個人的に目新しい内容に乏しく期待外れ。
    また、絵画とその説明文がそれぞれ違うページに配置される構成になっていて読みにくい。
    参考文献を沢山拾える所はイイね。

  • 西洋絵画の入門編。知識の整理に役立つ。美術史入門としても良い。

  • ぃやー、意外にも。面白かったです。
    まなざしのレッスン、なんていうタイトルで、てっきり礼儀作法か心理学か、なんかそういう類の本ですか?と思ったりしましたが、いやいやどうして、中世の西洋絵画の鑑賞裏話!! 的な?話でした。

    今まで、美術館って、余程直感で気に入った作品を見るとき以外は、歩き回ってただ疲れるなぁというイメージでしたが、こんなにも、昔は絵に「意味」があったんだなぁとちょっと興味を持ちました。次に美術館に行くのが、少しおもしろくなりそうです。

    以下、ためになること抜粋!

    ギリシア名<ローマ名、英名>
    ★ゼウス<ユピテル、ジュピター>天空を支配し、全権を掌握する、髭、堂々たる長老の姿、王権を表す笏(しゃく)、鷲、武器として使う雷電(稲妻)
    ★ヘラ<ユノ、ジュノー>ゼウスの妻、女神として最高位。結婚や出産を司る。夫のゼウスに愛人が多いため嫉妬深い性格とみなされていた。冠を戴いたり、豪華な衣を身にまとっている場合もある。孔雀。
    ★ポセイドン<ネプトゥヌス、ネプチューン>海の支配者、馬の神、水の擬人像。豊かな髪と髭をたくわえた威厳のある老人の姿。三叉の戈(ほこ)。妻となった海の精(ネレイス)のアンフィトリテや人魚のトリトンたちと一緒に描かれることが多い。
    ★アテナ<ミネルウァ>ゼウスの娘。智慧と学芸を司る。梟。鎧兜、槍、盾で武装した戦いの女神。機織りなど手仕事の守り神。
    ★アレス<マルス>ゼウスとヘラの子供。戦いの神。男性。アテナと違って平和と文明を守る正当な戦いではなく、破壊的な戦争を体現する神。猛々しく攻撃的。ウィーナスの愛人で、トロイア側に味方。
    ★アフロディテ<ウェヌス、ヴィーナス>美と愛の女神。豊穣の女神。鳩、白鳥、リンゴ、バラ、三美神が従者だったりもする。
    ★ヘファイストス<ウルカヌス、ヴァルカン>ゼウスとヘラの子供。ヴィーナスの夫。人鍛冶の神。足が不自由な醜男、妻に裏切られる運命。
    ★エロス<クピド/アモル、キューピッド>ヴィーナスの息子とも言われる。弓矢は貫かれた人の愛と欲望をかき立てる道具。
    ★アポロン<アポロ、アポロ>アルテミスと双子。人間精神の文明化された理性的側面を体現する。髭のない美しい青年。太陽神と同一視される。黄金の凱旋車を駆って天空を渡る姿多し。弓術の神。弓矢、矢筒。牧畜神。牧羊杖。詩歌芸術を司る神でもある。竪琴、月桂冠。
    ★アルテミス<ディアナ、ダイアナ>アポロンと双子。処女神。月の女神と同一視される。狩猟の女神。弓矢、矢筒、猟犬。三日月の髪飾り。
    ★ヘルメス<メルクリウス、マーキュリー>神々の使者。青年神、旅人の守護者、商業の神。素早い移動を示唆する翼のついたサンダル、帽子、2匹の蛇が巻き付いたドゥケスとい魔法の杖(これをアポロンからもらって竪琴をお返しした。)。
    ★ディオニュソス<バッコス、バッカス>人間精神の熱狂的、情動的な側面を体現。豊穣神。とりわけ葡萄や酒の神として知らることとなった。葡萄の葉を頭にかぶった裸体の青年。牡牛か山羊を屠って酒を飲み踊り狂うバッカス祭の主題が典型的。

    ★キリストから見て、右側が良い側、左側が悪い側。
    ★キリストが右手の人差し指と中指を立てる=祝福
    ★指差し キリストやヨハネなど、主題となる人を指し示すことが多い。
    ★14-15c イタリア 顔料を卵と練り合わせて板に描く「テンペラ板絵」
    漆喰を塗った壁が乾く前に水で溶いた顔料で描く「フレスコ壁画」
    ★三連祭壇画、多翼祭壇画→15世紀 単一画面の大型祭壇画(パーラ)
    ★洗礼者ヨハネ 獣の皮に革帯
    ★脇から血を流す子羊=贖罪者
    ★キリスト復活を象徴する生命の泉
    ★光を発する聖霊の鳩
    ★15世紀から存在した主題形式の一つ、聖会話。聖母子を囲むように左右に数人の聖人を配置。
    ★マリア 赤い衣(慈愛)と青いマント(天の真実、イエスを失う聖母の悲しみ)
    ★マグダラのマリア 香油壺 
    ★磔刑図の副次的登場人物、懺悔の人物像
    ★13世紀 黄金伝説 新約聖書外典の内容をも盛り込んだ聖人伝集成
    寓意画 アレゴリー
    ★太陽 真実を暴く光を象徴(真実)
    ★花飾りを付けた若い女性、ヴィーナス、フローラ 春
    ★厚く着込んだ老人、ボレアス、ウルカヌス 冬
    ★サンダルが脱ぎ捨てられているところ→出エジプト記 「足から履き物を脱ぎなさい。あなたの立っている場所は聖なる土地だから」と神がモーセに命令したことを思い起こさせる
    ★白いタオルと洗面用具 聖母マリアの純潔を示す
    ★頭蓋骨 死の象徴(menento mori:死を想え) 他にも、時の経過や有限の生命を表す懐中時計、ろうそく、砂時計、生命のはかなさや束の間の若さを表すシャボン玉、喫煙具(消え去る煙)、花(萎れる)、倒れた器、さらにこの世の栄華、財産、感覚的な快楽を表す王冠や宝石、財布や器、楽器や楽譜なども。
    ★ボッティチェリの春 も寓意画。右側 大地のニンフであるクロリスが西風のゼフュロスに無理やり花嫁にさせられ、フローラと呼ばれる花の女神に変貌する様真ん中 マリアを思わせるヴィーナス左側 貞節 愛欲 美貞節が愛欲と美に導かれて愛に目覚める。キューピッドは貞節を狙っている。一番左はヘルメス。彼岸を見通す聖なる愛の人ゼフュロスから流出した愛の力が、中央の人物群において発現し、ヘルメスによって彼岸に回帰する。それが再びゼフュロスにつながっていくとなれば、これは永劫回帰する春の世界そのもの。
    ★フェルメールの「絵画芸術」 モデルは歴史のミューズであるクリオに扮している。あとはこのタイトルから、歴史画に代表される絵画芸術の礼讃を意図した寓意画と見るのが定説。
    ★ラファエロ アテネの学堂 哲学者、思想家たちの肖像を挿入する際に、ラファエロは同時代の芸術家たちにその似姿を求めた。プラトン=レオナルド、ヘラクレイトス=ミケランジェロ、ユークリッド=ブラマンテ。ラファエロ自身も先輩画家のソドマと一緒に、下段右端から2番目に顔を出している。遠近法空間の奥に見える空と雲は自然の無限の広がりを喚起することで、同時に学問の奥深さのメタファーにも成りえている。
    ★アルトドルファー アレクサンドロス大王の戦い 気になる。
    ★「マニエリスム」 1520年頃から17世紀初頭にかけて、イタリアに発してヨーロッパに広まっていった反古典主義的な芸術動向
    ★ルネサンスとバロック様式:線的・絵画的平面的・深奥的構築的(閉じられた形式、左右対称性)・非構築的多数性(多数的統一性:個々の要素が全体の統一性の確立に協調しながらも独立性を保つ)・単一性明瞭性・不明瞭性(相対的明瞭性:不明確な部分を残し明暗を用いて絵画的な効果を志向する)
    ★ミケランジェロ・ルーベンス レンブラントの夜警 も集団肖像画らしい! また、夜警という題名はニスの変化で画面が暗くなったため18世紀末から用いられた通称で、実際は昼間の場面!
    ★静物画には、五感の寓意が込められることもある。
    ★鹿は耳が良いとされていて、聴覚を示すものになることも

  • 授業の教科書でした。

    初級編として最高に面白いと思う。と初級者が偉そうに言ってみる。
    いや、ほんとにわかりやすくて面白かったんだって。実際絵画展とか行って「おお~」って思えるんだもの。今までよりも浮き浮きできるんだもの。

  • 学生のときの美術史の教科書。

    読むと読まないでは、美術館での楽しみが倍は変わるとおもう。

    初心者にもわかりやすく、誰でも手に取りやすいのもポイント。本の装丁も好き。
    客観的で、わかりやすい解説書である。

  • お借りした長の年月が過ぎてしまいました…

    図版が多く載せてあって、ほとんど載せた絵に関する言及になってるから読みやすい。一々他の辞典やら画集やら引っ張る気力のない人間にもとりあえず読み通せる。(もちろん、白黒のものすごい縮小コピーでしかないので、できるだけ現物、そうでなくてもせめて大判の画集くらい引っ張ってこいというところでしょうけども…)

    上野とか新国立とかでふらっと入ってきた初心者向けにもわかるように噛み砕かれた企画展の解説板を集めたみたいな感じ。
    すごく親切。

  • イギリス滞在中、西洋絵画を学んだ本。
    この本によって、ナショナルギャラリーが更に好きになりまた♪

  • 非常に直球まっとうな西洋美術史の「教科書」。

    美術史に関して言えば、面白おかしく書こうとすればいくらでも面白くできるジャンルだけど、どうも局所的というか、流行の画家だけを取り上げてる便乗商法的な本も多い気がする。

    しかし冒頭にも書いた通り、この本は「教科書」として、西洋美術史で覚えておくべき概念、「見かた」を教えてくれる。
    私個人はといえば、学生時代に3つ西洋美術史の講義(しかも、日本の大学での一般教養と、史学科のものに加え、海外大学の教養学部でも受講したという訳の分からない幅広さっぷり/笑)を取ったけれど、いずれの授業も、ここまで基礎的な体系としての西洋美術史を教えてはくれなかった。その点で、この本を読めて非常に有意義だった。

    ただし、この本はよくも悪くも都度都度のテーマに沿って概略を話すという内容なので、クロノロジカルな西洋美術の進化は見えないし、特に神話は作品の背景となるエピソードを十分に紹介できているとは言い難いし、この本を読むことで、読者がどこかの作家/時代に強い思い入れを抱くこともあまりないと思われる。
    だから、この本はあくまでも西洋美術史を学ぶ上でのスタート地点ともなるべき一冊であり、深く学びたい人にはちょっと物足りないかも?でも、そういう人のために文献リストが充実しているのも、この本のいいところ。
    あと、作品のほとんどはモノクロで粗い印刷だから、本当はどんな色彩なのか、自分でググらないといけないという難点も。

    個人的には、西洋美術史の本は結構たくさん読んでいて、ここに書いてあることは概ね知っていた(または読むだけですぐ理解できた)のだけど、逆に東洋美術史は全くの門外漢なので、東洋美術史でこういう本があったらすぐにでも読みたい。

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著者プロフィール

美術史家・東京大学大学院教授

「2021年 『高階秀爾、語る 方法としての日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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