小説的思考のススメ: 「気になる部分」だらけの日本文学

著者 :
  • 東京大学出版会
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本棚登録 : 115
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130830584

作品紹介・あらすじ

気になる部分に注目すれば、作品の仕掛けが見えてくる。小説に独特の"頭の働き"を鍛える入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 読めば読むほど、読みたくなる書評は良い書評。
    言葉が現実を凌駕したり、言霊のように未来に及んだり、少しの価値観のズレが面白い話を生む。

  • タイトルに用いられている「小説的思考」は、「小説には他の表現活動とは別の、あきらかに小説という形式に独特の、頭の働き方」があるという、大江健三郎の言葉からヒントを得ています。取り上げられているのは、太宰治、夏目漱石、辻原登、よしもとばなな、絲山秋子、吉田修一、志賀直哉、佐伯一麦、大江健三郎、古井由吉、小島信夫です。

    言葉の選ばれ方や描写のなされ方と、小説の主題との間を往還しながら、まさに「小説」という形式を通じて実現されている「小説的思考」の実際のありようを解き明かしています。

    どの解説もたいへんおもしろく読んだのですが、志賀直哉の「名文」をジェンダー論的な観点から裁断する批評だけは、他の章に比べて少し分析の目が粗いような気がしてしまいます。もちろんここでも、文体と主題の間を往還しながら分析が展開されてはいるのですが、最初から帰着するポイントが見定められているような印象があり、文体と主題を交互に照らし出しながら「小説的思考」が徐々に形を取っていくプロセスに居合わせているような面白さに乏しいように感じてしまいました。

  • 鋭い視点。なにより阿部先生がハンサム。

  •  小説を読んでいたようで読んでいなかったと感じる自分がいる。小説の読み方ってどうでもよいだろうと思っていたが一字一句を拾いながら読むという方法もあるんだと感心する。

     ただ、そこまで噛んで咀嚼できるほどの思考を持てていないのが残念、著者の様に掘り進め読めるともっと面白く感じるのだろう。


     太宰治 斜陽 夏目漱石 明暗 辻原登 家族写真
     よしもとばなな キッチン 絲山秋子 袋小路の男
     吉田修一 悪人 志賀直哉 流行感冒 
     佐伯一麦 行人塚 大江健三郎 美しいアナベルリイ
     吉井由吉 妻隠 小島信夫 抱擁家族

  • 筋読みキャラ読みしかしてこなかった本読み劣等生にとってありがたいご本。だが阿部先生にこれだけ親切に解説されてもやっぱり志賀直哉はよくわからん。

  • 卒論の指導教官の著書。指導教官のわりに、阿部先生の著書は『英詩のわかり方』と『英語文章読本』しか読んだことがなく、日本文学に関する著書は初めて読んだ。

    内容は、夏目漱石から吉田修一まで、11人の作家の作品を取り上げ、小説の楽しみ方を伝授したもの。総括すると、小説を読む時は、内容を追うだけでなく、文章の言い回しや雰囲気にも注目して読むと、新しい発見があって面白いよ、というメッセージで、それを作家毎に分析している。

    確かに、私にとっても、小説の楽しみは、現実から虚構の世界へ逃避できることと、もう一つは作家の文章から言葉の使い方を学べることであり、むしろ後者の方が大きい。

    と言っても、不真面目な文学部生ゆえ、詳細なテキスト分析をしながら読んできたわけでもないので、本書から新しく得られたものはたくさんあった。特に、大江健三郎を読む際の(納得できる)ヒントを得られたのは大きな収穫だった。
    大江は読みにくいと感じていたのだが、その読みにくさの理由を理解する糸口が見つかった気がする。もちろん、本書で100%解決できたわけでもないので、あとは自分で読んでみて、探ってみようと思う。

  • 「小説って読んでみると面白いよ、この本はこういうところが読みどころだよ!」
    という部分を紹介&解説してくれます。
    小説をあまり読まない人向けに書かれているはずなのに、その紹介なり解説なりが読みにくいってどういうこと。もっと優しく書かないと駄目なんじゃないの??

    でもそこそこ頷けること書いていましたよ。

    12.09.13

  • 『小説的思考のススメ』は書評空間 の評者、阿部公彦さんの新刊です。 阿部さんの書評は、同じ本を読 んでいても、目線の違いといいます か、射程の違いを感じさせてくれるものでとても参考になります。

  • 近代文学〜現代文学からピックアップして、小説の読み方……いわゆる目のつけどころを解説してくれる一冊。

    取り上げる小説がなかなか面白く、各々に割くページはやや少ないかな〜という印象は抱くものの、文学部学生には必携の書ではないだろうか。

  • 2012年6月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。
    配架場所、貸出状況はこちら:http://libopac.josai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2000058077

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著者プロフィール

阿部 公彦
阿部公彦:東京大学大学院人文社会系研究科准教授

「2015年 『善意と悪意の英文学史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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