法隆寺を支えた木 (NHKブックス)

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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140013182

感想・レビュー・書評

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  •  古いお寺などが、途中で火事に遭うことはあったとしても、今もそのまま残っているのは、単に木でできている建物は丈夫だからだろう、くらいに考えていましたが、それは大きな間違いだということが分かります。

     木を長持ちさせるために、昔の人たちがいかに木の特性を知り、それを生かしていたかがよく分かりました。例えば、その木材が、木のときに南を向いていたのはどちら側かなどということも、分かって上で使う必要があること、あるいは、気が使われる建物とその木の産地が近いほうが、気候が似ているため条件がいいなどというのは、今まで考えたこともありませんでした。

     私の住んでいる家もそうですが、木と木の接合部分に金属やボルトを使っていると、何となく丈夫になるような気がしますが、それは間違いで、かえって金属が錆びることで、木もダメージを受けてしまうそうです。

     改めて日本の、木を使った建築の素晴らしさを知るとともに、今後は、良質な木材が不足しており、何かあったときに、古いお寺などの修復や再建が難しいというのもショックな話です。日本の文化遺産を、何とかして後世に残していきたいものです。

     前半は宮大工の方のお話、後半は学者の方の考察という構成ですが、やはり、現場の方の声は印象的で、読み手の心を打ちます。

  • 前半部分は私の大好きな宮大工、西岡常一氏のことばを主に展開。
    世界最古といわれる法隆寺を軸に、法隆寺大工として西岡棟梁に受け継がれた口伝と経験から発せられる考え方は感慨深い。「古いものにも良いものがある」ということをあらためて思い知らされる。
    後半部は西岡棟梁の「木」、主に「檜」であるが、について語られたことを学問的に検証し証明している。
    西岡常一氏に関する本を読んだのはかなり久しぶりであったが、本書を読んで私は、「木造建築が好きでよかった」とあらためて思った。

  • 30年以上前に書かれた本なので、情報は若干古い。
    が、私の木の見方を変えてくれた本。
    基礎知識をもう少し蓄えてからもう一度読みたい。

  • 無垢の用材で建てられた木造建築の耐震性や耐久性、健康や情緒への影響などを盲目的に信頼し、崇め奉る人は日本には結構いる。

  • 手先が器用なだけじゃダメなんだ。
    自然を知り尽くすこと。
    自然のありがたさを知ること。

    長い間保存されているこういう寺院には、
    素晴らしい職人さんがいるからこそなんですね。

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    針葉樹と広葉樹じゃ、断面の構造が違うらしい。
    針葉樹が、均一で柔らかいのは、
    仮道管一種類だからだそうだ。
    木の種類を特定していくのもいろいろ方法があるんですね。

  • [ 内容 ]
    最後の宮大工といわれた西岡氏と建築学の小原千葉大教授という、木を扱ってきたプロと木の専門家の組合せによる木の知識を与えてくれる好書である。
    檜は材になってから200年は力学的強度を増すことなど、古代の宮大工の経験知の鋭さを指摘している。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 尊敬する法隆寺棟梁の書いた本。
    日本の木のよさを、改めて思い知ることが出来ます。

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著者プロフィール

西岡 常一(にしおか・つねかず)
1908年奈良県に生まれる。1995年没。西岡家は、鎌倉時代にはじまる法隆寺四大工の一人、多聞棟梁家につながる宮大工の家柄。明治のはじめ祖父常吉氏の代に法隆寺大工棟梁を預かる。常一氏は幼少より祖父常吉氏から宮大工の伝統技術を教え込まれ、1934年に法隆寺棟梁となる。20年間にわたった法隆寺昭和大修理で、古代の工人の技量の深さ、工法の巧みさに驚嘆したという。法隆寺金堂、法隆寺三重塔、薬師寺金堂、薬師寺西塔などの復興の棟梁として手腕をふるった。文化財保存技術者、文化功労者、斑鳩町名誉町民。著書に『木のいのち木のこころ(天)』(草思社)『蘇る薬師寺西塔』(共著、草思社)『木に学べ』(小学館)『法隆寺を支えた木』(共著、日本放送出版協会)『斑鳩の匠・宮大工三代』(共著、徳間書店)ほか。

「2010年 『新装版 法隆寺 世界最古の木造建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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