日本とは何か 近代日本文明の形成と発展 (NHKブックス 500)
- 日本放送出版協会 (1986年5月1日発売)
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感想 : 7件
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784140015001
みんなの感想まとめ
日本の文明史を新たな視点で考察する本書は、著者がコレージュ・ド・フランスで行った講義を基にしています。特に、明治維新後の日本の近代化が西洋の模倣だけではなく、江戸時代からの独自の準備があったことを強調...
感想・レビュー・書評
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本書はコレージュ・ド・フランスでの5回の講義を中心とした日本文明論である。非常にわかりやすい。日本は明治維新後、西洋を模倣することで近代化に成功した・・・といわれることが多いが、江戸時代のあいだに日本は近代化への準備が十分におこなわれていた。西洋の産業革命を参考にはするものの、日本独自の技術や考え方とうまく組み合わせていった。極東の日本は西洋諸国と並行して文明を発展させていたのだ。「文明の生態史観」として1960年代にこうした考えが発表されたとき、戦後の劣等感にさいなまれていた日本人には大きな勇気を与えたようだ。しかし、残念ながら70年代に私が学んできた学校教育において、日本はさるまねが上手で、ヨーロッパの思想や技術をまねることで近代化してきたと思わされていた。梅棹先生の本を何冊も読むなかで、いまでは本書で述べられている考え方は私としては常識になっているのだが、一般的にはどうもそうではなさそうな気がする。最近の論説を読んでいても梅棹先生を参照しているものは少ないように思う。民博関係者以外では、安田喜憲先生くらいだろうか。考え方が独特すぎるのだろうか。著書も、著作集としては手に入ったとしても、もっと安価な文庫本で、すべてがそろうようにしておいてほしいものだ。若い人たちがもっともっと読み継がなければいけないものだと思う。
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こちらも日本論を読む一環で選択したもの。当然著者の名前は知っていたが,読む機会はなかった。しかし,本書が掲げるのは日本文化ではなく「日本文明」である。そのことは1992年に出版された西川長夫『国境の越え方』では特筆されていなかったが,1998年出版のテッサ=モーリス・スズキ『日本を再発明する』では特に意識して「文明」に1章を割き,バブル終焉期の1990年にこぞっていくつかの「日本文明論」が登場したという。本書は1980年代のもので,『日本を再発明する』のなかでも直接の検討対象にはなっていないが,1990年代の日本文明論に大きな影響力を持っているという。
序にかえて:ニューヨーク,パリ,ポートランド,そしてヴァンクーヴァー
Ⅰ 日本文明の座標
Ⅱ 日本文明の位置
Ⅲ 近代日本文明の形成と発展
Ⅳ 日本文明の歴史的連続性――伝統社会とハイテク社会
Ⅴ コレージュ・ド・フランス出講記
付 梅棹先生の素顔――コレージュ・ド・フランス随行記(小川 了)
解説 梅棹文明学をめぐって(米山俊直)
この手の日本論は多少斜に構えて読んでしまうが,本書は特にⅢ章を非常に興味深く読んだ。Ⅲ章は歴史を遡って,現代から明治,江戸,中世と検討していく。その歴史的知識の豊富さに驚かされる。著者はもともとモンゴルやアフガニスタンをフィールドとする民族学者だったという。まあ,はじめからある意味で反ヨーロッパ的ではあったのだが,ヨーロッパ中心主義的な歴史観を脱するために,「日本文明論」を持ち出す。日本文化は他の文化との横並びではなく,優劣の序列の最高点に立つヨーロッパ文明と,日本文明は肩を並べるほどの優位性を持つというような主張へと結びつく。
著者によれば,一般的に日本は明治維新以降に文明開化といってヨーロッパ文明を積極的に取り込むことで近代化を遂げ,ヨーロッパ文明を基礎とする世界のなかで先進諸国の仲間入りを果たすというものである。それに対し,著者はユーラシア大陸の西の端のヨーロッパと東の端の日本は,大陸中央の乾燥地帯によって隔てられ,長い歴史で交流がないまま似たような発展を遂げたという。どちらにも封建制があるというのがその大きな根拠だという。確かに,明治期にはヨーロッパから多くのものを吸収するが,それ以前に日本は近代化の道を歩みつつあり,そのベースがあって,ヨーロッパ的なものを取り込みやすいものにしたという。
本書に他の日本文化論と共通する部分があるとすると,Ⅳ章の内容だろうか。日本がかつてから持っていたものと,現代手に入れたものとが共通性を持っているのであれば,それは外見が変わっても「日本的なもの」は普遍的に息づいているということになる。
本書は著者がさまざまな国から招聘されて行った講演や連続講義の内容をまとめたものであり,それらの事情に関してもかなり詳しく説明されている。著者が多くの言語を読み書きレベルで習得しながらも,ヨーロッパ言語での会話能力はほとんどなかったというのは驚く。しかし,通訳を付けてでも,特にフランスで彼の研究を聴きたがる人がいたというのはやはりすごいことなのだと思う。 -
著者がアメリカのジャパン・ソサエティやコレージュ・ド・フランスでおこなった、日本についての講演・講義を収めています。
著者の主著である『文明の生態史観』(中公文庫)は、しばしば「日本論」として読まれてきました。しかし、『文明の生態史観』の中には、世界の文明史を生態学的な視点から考察したものであり、「日本論」を書くことを意図したのではないと述べられています。それに対して、『文明の生態史観』の構図に基づいて日本の文明史的位置を主題的に展開したのが本書に収められている講演です。
著者はユーラシア大陸を、中国・インド・ロシア・イスラムの「第一地域」と、その外側に位置する西ヨーロッパと日本の「第二地域」に区別します。ユーラシア大陸の中央を走る乾燥地帯には遊牧民がおり、第二地域には彼らによる侵略が及ばないなど、共通の生態学的特徴が見られると論じられます。そして、そのような第二地域でのみ、近代化への動きが生まれたと著者は主張し、日本の歴史とヨーロッパの歴史の間に「平行進化」が認められることを主張しています。 -
読了。梅棹本。比較文明論。'86という日本と世界との摩擦が顕著になり、いわゆる日本異質論が台頭した世相はあるんだけれども、氏の指摘は興味深い。模倣説・転向説に対する平行進化説/徳川幕藩体制と封建制/帝国の周辺/パックス・トクガワナ/維新時に強調された幕藩体制からの非連続性/北海道での「酪農」ではない「稲作」の適用(お雇い外国人v.s.完成された稲作技術)/ゲマインシャフトではなく、ゲゼルシャフト的な日本。
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(1995.02.16読了)(1988.12.04購入)
(「BOOK」データベースより)
“日本学”の成熟した到達点―日本は、西欧的原理にのりかえた“文明の改宗者”なのか。近代世界における日本文明の形成と発展の歴史を捉え直し、その自立性・普遍性を開示する。
☆梅棹忠夫さんの本(既読)
「モゴール族探検記」梅棹忠夫著、岩波新書、1956.09.17
「人間にとって科学とはなにか」湯川秀樹・梅棹忠夫著、中公新書、1967.05.
「人類学のすすめ」梅棹忠夫編、筑摩書房、1974.04.10
「文明の生態史観」梅棹忠夫著、中公文庫、1974.09.10
「サバンナの記録」梅棹忠夫著、朝日選書、1976.01.20
「狩猟と遊牧の世界」梅棹忠夫著、講談社学術文庫、1976.06.30
「情報の文明学」梅棹忠夫著、中公叢書、1988.06.10
「情報論ノート」梅棹忠夫著、中公叢書、1989.03.20
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