言語を生みだす本能 (下) (NHKブックス 741)

  • 日本放送出版協会 (1995年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784140017418

みんなの感想まとめ

言語の発生や進化、脳科学的な視点からの考察を通じて、言語がどのように形成されるのかを探求する内容が魅力的です。生得と学習の二元論を超え、普遍文法の観点から言語獲得を考えるアプローチは、読者に新たな理解...

感想・レビュー・書評

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  • 言語は“生得的な本能”であり、脳に特別な仕組みがある。脳に「言語のための回路」が元々組み込まれているという著者ピンカー。援用されるチョムスキーも同じ論説だ。

    本書では語られないが、別の本の内容を思い出す。ミドリザルの話だ。ミドリザルは動物行動学の世界では有名だが、「ワシ用」「ヘビ用」「ヒョウ用」というように捕食者ごとに異なるアラームコールを発することで知られている。一語文の単語だが、言葉を用いるのだ。

    私がこれを引いたのは、「人間はなぜ言葉を必要としたのか」「初めの言葉にそのヒントがあるはず」という思いがあったからで、本能に着目するピンカーとは切り口が異なる。

    で、そのヒントになるのがミドリザルだと感じたのだが、「捕食者から逃げろ!」やはり、この言葉が最初のはず。原初は食うか食われるか。そのため進化の選択圧が作用するのだから。

    だが、他者を逃がすような利他的行動は、声を上げる事で自分自身が食べられるリスクが高まる事にもなるし、不思議だ。こっそり自分だけ逃げれば良いではないか。恐らく二つ理由がある。ミドリザルは、遺伝的に近い家族と群れるため身内に危険を告げているだけ。愛する家族が食べられては、繁殖ができない。また、声を上げる事で捕食者に抵抗を示すためだろう。

    では、人間は。人間社会はミドリザルよりは複雑な集団構成であり、その結束のために既に言葉が必要だったとも言えるが、同時に、愛する家族だけを捕食者から逃がすためには複雑な言葉が必要だったはすだ。

    ー 火星人から見たら、人間はすべて単一の言語を話している、とチョムスキーが主張したのは、世界のあらゆる言語の底に、同一の記号操作機構が存在することを発見したからだった。言語の基本的構図のさまざまな特徴が、いたるところに共通して存在することは、チョムスキー以前の言語学者にも広く知られていた。

    ー 「同じ言葉を話さない」というのは、意思疎通ができないという意味で使われる表現だが、心理言語学者から見れば、それは表面的な違いにすぎない。個人を超え、文化を超えて普遍的、かつ複雑な言語が存在し、単一の心的メカニズムがそれを支えていると確信している私にとっては、どんな発話も、たとえ一語も理解できなくてさえ異質なものとは思えない。外の世界とはじめて出会ったニューギニア高地人たちが、そのとき撮影されたフィルムのなかで交わすやり取り、手話通訳の手の動き、東京の遊園地で見た幼い女の子のおしゃべりー 私には、それらの底にある構図が見えるような気がする。そして、私たちが皆、同じ心を持っていることを実感する。

    そう、私たちは同じ心を持っている。しかし、言語や方言、ジャーゴンや語彙は、残酷だが、集団を区別し知性を測るために存在する。集団を結束させ、身を守るために生み出されるはずの言語が、その露骨な違いにより時に人を傷つけ、外敵を区別するテスターになるのだ。

  • 言語(話し言葉)に関しての系統的領域、発生論的領域、脳科学的領域、進化論的領域に加え、言語の流動性に関して考察した書籍。

  • 頭がぐちゃぐちゃになる もう一度必ず読み返すべき本

  • 言語生得説にもとづき、子どもの母語獲得の謎を豊富な事例で明らかにする。言語本能の進化を自然淘汰で説明し、言葉の「乱れ」論議の誤解をとく。世界をリードする少壮の心理言語学者が明快に答える。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00218042

  • 生得と学習の二元論ではなく、基本設計としての普遍文法を原理として生後の環境に応じた言語を獲得していくという考えに概ね納得できた。第11章「ビッグバン」では、これまでの人類の進化プロセスの中でどのように「言語」を司る機能が生じたのかについて、いわゆる一つの幹ではなく枝葉に別れて生物が進化してきたと解釈すれば、たとえばチンパンジーなどが文法的な言語処理ができないことが決して不思議ではないという話があった。進化論の理解も改まったが、言語能力の萌芽が他の種にもあるはずだという考えがいかに素人的なものか痛感させられた。

  • 学生時代のドリル自己採点。
    不正解の問題をそのままにしていた。
    今一度取組もうとする姿勢が浅かった。何がわからないか見つけ出すことに意味があったのに。

    下巻。全く歯が立ちませんでしたねぇ。上巻はスイスイやったのに。もう一回、読んで分かる日がくるかな。

  • 1209円購入2012-01-19

  • 1995年刊行。チンパンジーの言語獲得に関する議論は「カンジ」(手話ベース)のみで、「アイ」「アユム」には全く触れられない。言語面でヒトとチンパンジーとの間に隔絶した差があることは否定しない(確かに、萌芽的なものでしかない)が、舌足らずの感。また、言語指南役への批判も、それが本論との関係でいかなる意味を持つのかいまいち不明。そもそも言語獲得生来説でも、後天的な言語環境を無視するわけではなく、批判の目的が判然としないゆえ。心の点も、言語と異なり、脳地図では全く表せず、論の検証が難しいとも思えたところ。

  • ジョーク交じりの文体がどうしても苦手でとても時間がかかりました。
    内容的にはけっこう面白いんですが,体系だった知識を得ようとすると,急に読むのが大変になります。逆に空き時間でファッショナブルに言語学に触れるには良い本だと思いました。

  • 下巻で中心になるのは言語と進化論の関係について。言語が複数存在するのは生物の種と同様、変化・継承・孤立といった事柄が長い時をかけて進行したからという主張は、今まさに様々な種族と言語が共に失われつつあるという現実が証明している。また赤ん坊は出産直後は世界中のあらゆる音素音節を聞き分ける能力を持って生まれてくるというのは目から鱗であり、やがて母語の音声しか聞き取れなくなると同時に単語を理解し始め、一人歩きを始める頃に文法を獲得していくという流れには、やはり言語が本能的な部分と関係しているのだと納得させられる。

  • 言語は後天的に身につけるものである、とは言い切れないというのが本書の主張するところ。いままで何の疑いもなく、言語は後天的なものだと思っていたのですが、本書を読んで、人間の本能レベルのところで言語を生み出す仕組みがあるという考え方にも一理あると感じました。心理学、言語学からコンピュータ科学にもちょっと触れていたりします。しかし、1990年代半ばの本のため、若干内容が古いかもしれません。言語学に絡んだ話としては、原著が英語であることから当然なのですが、英語文法を題材にしたものが多いです。ちょっとこれが読むのがつらかった。この本は読んでよかったと思える本です。この本を読んだ上で、「語りえぬものには沈黙しなければならない」という某哲学者のフレーズを、もう一度咀嚼したくなりました。※上下巻とも同じレビューです。

  • 言語を生み出す本能(下)
    上巻は、ある程度面白いながらも、言語学の細かい内容についていけず、消化不良のままな感じだったが、下巻はずいぶん読みやすかった。
    こどもがどのように言語を習得していくのか、動物で言語を取得したものが無いこととその理由、人間がどのように言語を習得したのかという仮説の検証など、そして最後に、自称評論家に対する批判。軽快な文体で、バサバサと斬っていくのが小気味良い。
    ただ、主張よりも他者の批判の方が先立ってしまう感じがして、結局結論が何なのかというところが明確ではないようにも感じた。

    最後の、自称評論家に対する批判は、どこの国でも一緒だなあ。スラングや若者言葉はすべて心的文法に反していないという言語学者による批判はとても説得力がある。実際、これまでの歴史でも言葉はどんどん使ううちに進化してきたものである。だけど、いつの時代でも、新しい言葉に対する批判はあって、変える力と変えない力が引っ張り合って最終的な言葉の進化が起こるように思う。

    多くの人がレビューで書いているように、この本はたぶん原書で読むべきなのだろう。日本語で読んでも意味のよくわからない部分もたくさんあった。きっと翻訳者は苦労したろうと思う。そして、原書で読んだとしても、英語スピーカーではないために、直感的にはわからないところもたくさんあって、おもしろさの半分も理解できていないだろう。日本語の話だったらもっと面白いだろうなと思う。

    それでも、チョムスキーの名前すら知らなかったわたしにとって、こういう考え方があることはとても勉強になったし、面白かった。

  • [ 内容 ]
    すべての子どもは、文法の基本原理を生まれつき持ちあわせて誕生するが、3歳までにどのように天才的に言葉を習得するのか。
    脳内のどこかに文法の遺伝子を見出せるのか。
    人類史上、言語はなぜ、いかに発生、進化したのか。
    スラングや方言などは、言語の堕落を招くのか。
    世界をリードする少壮の心理言語学者が、言語本能論に基づき、言葉についてのさまざまな疑問に明快に答える。

    [ 目次 ]
    バベルの塔―言語の系図
    しゃべりながら生まれた赤ちゃん、天国を語る―母語を習得するプロセス
    言語器官と文法遺伝子―脳のなかにさぐる
    ビッグバン―言語本能の進化
    言語指南役たち―規範的ルールの誤り
    心の構図

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 言語を生みだす本能、の下巻。

  • £2.00 書き込み有り

  • ¥105

  • ピンカーの<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0060958332/honmaspclife-22" target="_blank">The Language Instinct: How the Mind Creates Language (Perennial Classics)</a>の日本語訳の下巻。訳が十分じゃないところもあるので、英語が読める方は、ぜひ原書でどうぞ。

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著者プロフィール

スティーブン・ピンカー(Steven Pinker):1954年、カナダ生まれ。スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学で教鞭をとり、現在はハーバード大学心理学研究室教授。進化心理学の第一人者として知られ、認知科学や実験心理学の視点から視覚認知、心理言語学などについて幅広く研究している。米国科学アカデミー会員。『心の仕組み』(ちくま学芸文庫)、『言語を生みだす本能』(NHKブックス)、『21世紀の啓蒙』(草思社文庫)、『暴力の人類史』(青土社)など邦訳書多数。

「2025年 『人間の本性を考える 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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