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Amazon.co.jp ・本 (154ページ) / ISBN・EAN: 9784140017777
感想・レビュー・書評
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1996年発行の本作における「現代児童文学」のスコープは、戦後児童文学の”みなもと”としての太平洋戦争中の本も含め1945年から1995年。2011年発行のひこ・田中さんの本とは15年のギャップがあり、同じ「現代児童文学」といっても指してるものがおのずと変わってくる。
「子どもや子どもを取り巻く現実を散文で書き始めた1960年前後」までは基礎知識として学んでおり(①子どもへの関心②散文性の獲得③変革への意思の3つの問題意識)、やはりその後どうなっていったのか知りたいところ。
この本によると児童文学は1980年ごろ、これまでのような理想主義や向日性が崩壊または変質したとして、那須正幹「ぼくらは海へ」を詳しく紹介している(ちなみに親に置き去りにされた兄弟が児相へ行くことを自ら選ぶという国松俊英「おかしな金曜日」もかなり気になる)。本作の論点として印象深いのは、「ぼくらは海へ」から同作者の超有名エンタメシリーズ「ズッコケ3人組」シリーズへの繋がりを指摘している点だ。この変質を「児童文学が理想主義という約束事から解放されて自由になった」という表現は、前向きな捉え方で好感が持てる。
この本の直近の現代である1990年代の現代児童文学については、ひこ・田中と同じく「成長物語」の枠組みが揺らいだとして、大人を理想モデルとしない反・成長物語の作品を紹介している。また、「成長物語」「遍歴物語」の2種類の児童文学について述べている(ナンセンスな児童文学は成長物語を相対化する)。そして、児童文学の対象読者の年齢が上がり、文学との境目があいまい化している(森絵都や江國香織)こと、そもそも「児童文学」という概念は大人が作り出したものにすぎないということを述べ、児童文学ではなくとも「子どもと物語のかかわり」の観点で論じる必要性があるのでは…としてまとめている。ここで、ひこ・田中さんの本に繋がるわけだ。
そうはいっても人間はどのフェーズにおいても発達、成長していくと思うので、やっぱり物語に触れることは、その大きなサポートになると思うのです。文化に触れるということは心が豊かになるということ、それは発達、成長なのではないでしょうか。そして、今もっとも脅威的なメディアすなわちSNSを思い出しました。これは子どもの成長を停めてしまうかもしれない。そしてまだそれについて触れた(児童文学などの文化の観点で)論を読んでいない。探してみなくては。
戦争を子どもにどう伝えるかを論じた第8章も味わい深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
105 馬場北ブコフ
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