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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784140018187
みんなの感想まとめ
多様なテーマを通じて、バフチンの思想を深く掘り下げる内容が展開されています。カーニバル論やポリフォニー、ダイアローグの概念を中心に、文学作品や哲学的視点からの考察が織り交ぜられ、特にラブレーやドストエ...
感想・レビュー・書評
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バフチンのポリフォニー、カーニバル論を概観できればと思い読んでいた。基本それらの話から出発しつつも様々なテーマのもと、話が広がっていくためサラッと読む程度のとこもあり。
ターナーの祝祭、カーニバル論を取り入れることに成功した小説家としての大江、主体についてラカンの鏡像段階との関連など面白い話もたくさんあった。
以下引用
「カーニバルの世界感覚は、すべての既成の完成されたものに反対し、不動性や永遠性を狙うことに敵対的であり、ダイナミックで変わりやすく、ゆらゆらと揺れ動く有機的な形式を求め、あまねく支配している真理や権威はおかしく相対的なものであると言う認識である。」
「カーニバルの言語に特徴的なのは、裏側、あべこべ、裏返しの論理、上と下、正面と背面の間の耐えざる変転の論理であり」
「カーニバルにおける格下げの特質として、高位のもの、精神的、理想的、抽象的なものを、全て物質的に具体的次元へと移行させることである。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
編者の阿部軍治は「序」で、「論文執筆にあたっては一般読者にもなるべく理解しやすいように心掛けたつもりである」と述べており、バフチンの思想にあまりなじみのない読者にもその思想の全貌が把握できる内容になっています。その一方で、各論文の執筆者自身の関心が強く反映していて、読みごたえのなる論文も収録されており、ある程度バフチンの思想について学んだことのある読者にも有益な本だと感じました。
川那部保明の論文「カーニバル的言語と小説―ラブレー、ルソー、ドストエフスキー」は、バフチンがラブレーとドストエフスキーの作品のうちにダイアローグ的な性格を見いだそうとしていたことに着目しています。他方、ルソーの『告白』には「自分が語るのを聴く」という構造が存在することを指摘しつつ、このようなしかたで自己の内面が構成されることのうちに自己自身からの懸隔を見いだすという、デリダ的なテーマへと議論が展開されています。
武井隆道の論文「教養小説のクロノトポス―ゲーテをめぐるバフチンの時空論」は、フーコーの議論を下敷きに、バフチンのゲーテ解釈を読み説く試みです。フーコーは『言葉と物』のなかで、世界の分類表を構築するという古典主義時代の知のありかたから、出来事の展開を時間の展開としてとらえる19世紀の「知」への変遷が起こったことを指摘しました。登場人物の人間形成の過程をえがく「教養小説」というジャンルは、まさにフーコーのいう19世紀的な知の枠組みにのっとっていると論じられています。
青柳悦子の論文「ディスクールの思想家バフチンによる他者論―フランス(ポスト)構造主義の文脈との関連」では、ラカンとバフチンの思想の近さが指摘されています。ラカンは、「鏡像段階」で自己のイメージが確立するさいに、自己の経験を他者のまなざしのもとに明けわたすという決定的な転回が生じていると主張し、さらに無意識における言語の役割を明らかにしました。こうした自己と他者の根源的な関係は、バフチンの言語論と共通する内容をもっていると論じられています。
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