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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784140018576
感想・レビュー・書評
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西行が生涯をかけて追求した歌の道は、たんに仏の道に通じるのみならず、仏教を日本というローカルな空間に生かすことになったという著者の考えが提出されています。
日本に本格的な密教をもたらした空海は、サンスクリット語によって仏教の真理が示されるという考えをいだいており、そうした発想にもとづいて悉曇学が展開されました。これに対して西行は、「和歌即真言」の立場に立っていたと著者は主張します。
こうした考えを裏づけるために、著者は密教における月輪観と、西行によって詠まれた歌の主題がかさなることを例をあげて説明しています。さらに、晩年に伊勢に移り住んだ西行は、神仏習合の考えかたにコミットしており、和光同塵の思想にもとづいて本地垂迹を説く発想が、仏教を日本というローカルな空間に受け入れることを可能にしたという見通しが示されています。
また、西行の理解者だった藤原俊成・定家の父子や慈円とのかかわりについても、踏み込んだ考察がなされています。慈円については、仏教の原典をことごとしく参照する態度を排して日本の歴史を見ようとする態度に西行と通じるものがあると指摘され、さらに専修念仏に代表される中世仏教の易行の隆盛との関連についても注意が向けられています。
俊成・定家にかんしては、西行が晩年に自歌合を試み、その評を二人に依頼したことをとりあげ、比較的くわしく検討がおこなわれています。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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