心を生みだす脳のシステム 「私」というミステリー (NHKブックス 931)
- 日本放送出版協会 (2001年12月22日発売)
本棚登録 : 157人
感想 : 15件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784140019313
みんなの感想まとめ
心の本質や意識の謎に迫るこの書は、脳科学と哲学を巧みに融合させ、読者を深い思索へと誘います。著者は「心とは何か」「私とは何か」といった根源的な問いに向き合い、クオリアの概念を通じて心の問題を探求します...
感想・レビュー・書評
-
茂木健一郎のフットワークの軽さに唸る。彼は脳科学のフィールドだけに留まらず永井均やウィトゲンシュタインの研究/哲学も視野に入れて論を展開させ、「心とは何か」「私とは何か」といった端的な、あまりに単純すぎる(むろんいい意味でだが)問題に果敢に切り込む。そこにあるのは茂木の愚直な好奇心と繊細な感受性の発露である。「クオリア」を発見した日の驚きをそのまま彼は忘れることなく、さらに未知の領域に踏み込まんと果敢に資料を読み、研究を重ねる。そんな彼の熱意がここにこの一冊となって結実した。バランス感覚に富んだ本だと思う
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どうして心ができたのかを探る。
-
脳科学者である著者が、ハード・プロブレムといわれる意識の問題にとりくみ、解決へ向けてのいとぐちをさぐっている本です。
著者は、クオリアに感覚的クオリアと志向的クオリアの二種類が存在するという立場をとっています。心の哲学においては、物的一元論の立場から志向性とクオリアの二つをどのようにして説明するのかということが大きな問題になっており、しばしばクオリアに志向性を認めるというかたちで心の問題の自然主義的解決の道がさぐられています。これに対して著者は、心の問題をむしろクオリアのほうへと片寄せることで、問題を一元的にあつかう道を求めているようです。
著者自身の考えの独創性はそれほど明瞭にはうかがえませんが、ミラー・ニューロンやアフォーダンス、誤った信念を他者に帰属させる問題など、脳科学と心の哲学においてつねに参照される話題を紹介しながら、心脳問題の課題がどこに存在するのかということがわかりやすく解説されています。 -
もう10年近く前に書かれた本です。いまさらとは思ったのですが、たまたま古本屋の100円均一のかごに入っていたのを見つけて購入しました。知っている話がほとんどでしたが、しっかり復習をしたという感じです。その中で、単に私が読んだのに忘れているだけかもしれませんが、新たに知った驚きの事実を一つ。それはカプグラ妄想というもの。ある日、目が覚めると、自分の横に寝ている妻や子どもが偽者だと感じてしまう。自分を欺き、地球征服を狙う?エイリアンだと思ってしまう。妻と顔かたちはいっしょだと認識できるのに、中身は別人だと言い張る。安部公房の小説の中か何かで読んだような荒唐無稽なお話ですが、これが実際に起こりうるのだそうです。その原因を探っていく中で、脳の機能に対する新しい知見が得られます。しかし恐ろしい。ところで、茂木先生があまりにも小津安二郎監督の「東京物語」を話のネタに使われるので、とうとうレンタルDVDを借りて観ました。これは正解でした。小林秀雄の講演テープもそのうち聴かないといけない。
-
06015
-
ただ、初版は2001年。
-
◆『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/414001931X?ie=UTF8&tag=ishiinbr-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=414001931X"><span style="color:#0000FF">心を生みだす脳のシステム―「私」というミステリー (NHKブックス)</span></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ishiinbr-22&l=as2&o=9&a=414001931X" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />』
その面白さに思わず夢中になった。これほどに刺激的な本だったとは!! 刺激的なのは、脳の科学から出発しながら、クオリア(質感)という概念をひき入れる ことで、心の主観性という問題に迫ろうとしているからだ。心という主観性の問題 をごまかさず正面から理解しつつ、なおかつそれを脳のシステムからどう説明でき るかを問うているのだ。
著者は、脳の科学に足場を置きながら現象学的な問題に一歩足を踏み入れているように見える。フッサール、ハイデガー、メルロ・ポンティなどが探求した主観性と いう哲学的な問題に脳科学の成果を引っさげて果敢に挑戦しているところにこの本 の面白さがある。
最新の脳科学や認知科学の動向や、そこで問題にされている点について、著者の強烈な問題意識から解説されていて、私自身、この分野への関心が一気に高まって しまった。
著者は自信をもっていう、「心を生み出す脳のシステムは、単純な機能局在説で は理解できない」、「生化学的な知見や機能局在は、脳というシステムの、いわば 断面図に過ぎない。断面図をいくら集めても、私たちの心を生み出す生きた本質には迫れない」と。 そして、心を生み出すのは、「脳全体にまたがって、1000億のニューロンが作り 上げる、複雑で豊かな関係性」であり、「脳というシステムなのだ」として、脳が 心を生み出すとはっきりと断言する。
しかし一方では、「ニューロンを一つ一集め、ある関係性を持たせるとなぜそこ に心が宿るのか、その第一原理さえ皆目検討がつかない」と正直に告白し、それは、心がない状態から心を合成する「錬心術」(錬金術のもじり)だとさえ言う。これ だけ脳のニューロンの働きと意識との関係がはっきりしてきていても、では意識は どのようにして成立するのかとう根本的な問題になると、脳科学はハタと行き詰っ てしまうのだ。
にもかかわらず、あくまでも心はニューロンのシステムから解き明かせるという立場を崩さない。「錬心術」の状態から抜けだすため、地道に脳のシステムと心の要素の対応関係についての探求を続け、一方で新しい発想による心脳問題の展開を待つほかないと言う。
私に言わせれば、ニューロンのシステムをいくら解明したところで、そこに心が宿るのは不可能だということを原理的に明らかにする道をたどる方がはるかに生産的である。脳科学がここまで発達し、様々な知見が蓄積されている以上、精神世界 に関心を持つものも、その成果を積極的に学びとって、その成果から何が言えるの か、何が言えないのかをはっきりさせるべきだと思った。脳科学の成果を謙虚に学 び、受止めつつ、なお脳科学のどこに原理的な限界や問題があるのかを、真剣に考 え、明らかにしていかなければ、精神世界の探求もある意味で知的怠慢のそしりを まぬかれない。たぶん茂木健一郎の考え方に充分に反論できなければ、魂や輪廻転生の問題について、少なくとも私自身は、納得のいく論は展開できないと感じる。 -
知ろうという意欲を掻き立てる詳細で深い本。
心は在る。
そして
それは脳に在る。
見えない心を
見たことの無い脳で
どう生まれるのか?
創造を書き立てられる
自分の可能性と
まさに
心が自分であることを
感じさせる本です。
心して読んでください。 -
感覚的クオリアと志向的クオリア。
-
クオリア論の基礎として。読みやすいです。
-
2月20日読了。古今東西の脳に関する実験とそこから得られた成果の数々を、筆者の体験も交えつつ分かりやすく解説してくれている。脳は機械なのか、魂の入れ物なのか?大変スリリングに、楽しく読めた。私は純文系の人間だけど、仮説を立てて実験し、予想もしない結果を得てそこからさらに仮説を立てる、というプロセスは、たまらなく楽しいんだろうな〜〜と思わされました。
-
脳科学の立場からわかりやすく心の問題を解説。後半にアフォーダンス理論がわかりやすく解説されている。
-
心の働きを、脳の機能の観点から説明。かなり知的好奇心が喚起される。書き方が本当にうまい。
ミラーニューロンの働き、感覚的クオリア、志向的クオリア。自閉症の説明も。自己と他者の心の理解。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
茂木健一郎の作品
