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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784140053621
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
独特な形式で描かれたこの作品は、登場人物の名前や会話文が一切なく、発言者の区別が難しいという珍しいスタイルが特徴です。それにもかかわらず、読み進めることができるのは、作者と訳者の技量によるものと感じら...
感想・レビュー・書評
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登場人物の名前が一切出てこない、
会話文に「 」がない(発言者の入替りが不明確、地の文との区別も不明確)
という、とても珍しいタイプの小説。
とは言え、特に読み難いということもなくスラスラ読めるのが逆に不思議なくらいでした。
これが作者&訳者の力量なのでしょうね。
あらすじは紹介されている通り。
結末については賛否両論ありそうですが、私はこれで良かった派です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ル=グウィンの書評から、早速気になった一冊を読了。ディティールの具体性や感情移入感を好む身としては、こういう寓話的で細部のリアリティに欠ける作風はあまり肌に馴染まないのが正直なところだが、しかし一つの思考実験のような作品として面白かった。視力という、肉体的なファンクションの一つに過ぎないものが多数から奪われただけでいとも容易く獣へと堕ちる、人や社会とは何なのか。
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コロナ禍/パンデミックになった初期の混乱時に一番に思い出した作品。
ホラー体験とは違う恐怖が描かれている。読んだ当時、もうやめてと思いながら頁をめくった記憶。 -
感染性の「失明」により町が恐慌を来すという、カミュの『ペスト』のような劇が展開されるのだが、カミュのように主役の医者の超人的な姿はどこにも見えない。
隔離された患者たちの内部で起こる争い、保菌者(?)たちの全滅をひそかに願う行政組織、など、人間社会のおぞましい姿が描かれて非常に不気味である。
都市中の人間が失明したら、というワンテーマSFのような設定を梃子にして、人間の呆れるほどの暴力性を暴く。
げに恐るべきは作家の想像力。
ジョゼ・サラマーゴは大半の長編が日本語訳されているようなので、続けて読んでみたい。 -
眼が見えなくなるという伝染病に国民全てが罹ってしまったら。想像を絶する世界が繰り広げられるのに、まるでその世界の様子すら白くぼやけて見えてくるような不思議な小説。
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突然目が見えなくなる奇病。しかも伝染するため、人々は次々に視覚を失いパニックが起こり社会(的なもの?)が崩壊した。
社会的秩序を失った時に現れる人間の本性のようなものを2タイプに分けて描いている。すなわち自分の本能に従い暴力的になるタイプと、自らを組織し助け合うことを選ぶタイプ。突き詰めると人間との本性というのは、暴力と組織、なのかな。
それとも「組織する」能力が人と動物を分ける鍵なのかも。 -
結構分厚い本だが一気に読んでしまった。突然目が見えなくなると言う病気。しかも人に感染する。まさに今読むべき本だと感じた。
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人々が次々に視力を失うというシンプルなテーマをこれでもかと掘り下げた内容。その人間性への深い洞察力には気分が悪くなってくる。文体は確かに読み難いし、皮肉な語り口が鼻につくところもあったが、次々に人々が白い闇に閉ざされていく冒頭部分から「次はどうなる、どんな酷いことが起こるんだ?」という不謹慎な好奇心をかき立てられ、流れるように最後まで読み進めた。好き・嫌いを別としても凄い小説を読んだという満足感と充実感がある。
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涙の犬
人々が視力を失った世界で起こること いかに普段当り前のようにソーシャルワークを享受しているか、人間性の崩壊、無秩序
高橋源一郎氏は社会の構造を見えなくさせるのが“白の闇”ではないか?との指摘 我々はパンデミックの以前から見えているようで見ていなかったのではないか -
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今まで読んで来た本の中で、人間の残虐性を最も深く描いた作品ということを先ず、一番に思った。
「わたしたちすべての目が見えなくなったら?」、「極限状態に追い詰められた人間の、弱さと魂の力」と、本の紹介文にあるが、「魂の力」? それはあったかも知れないが、人間の弱さが圧倒的で、その「力」は今にも消えそうな、乏しいものに感じた。
1998年ノーベル文学賞受賞作品であるらしい。カミュの「ペスト」が読みたかったのに、手に入らないので読んだ本だが、自分の好みの世界ではないなぁ、と、感じつつも、あっという間に読まされてしまった。 -
文庫本が発売されたので、欲しかったのだが即売り切れ。
図書館で初版を見つけて読了。
まず、文体が独特です。語りと会話の間に記号(「」)がない。1ページに活字が詰まっているので、読みにくく感じましたが一気に読み進みました。
ある日突然視界が真っ白になる病気。原因は不明。伝染病のように広がっていきます。
人間が理性や尊厳の念を失った時、何が起こるのか…
暴力的な描写に(特に性暴力)読んでいて胸が苦しくなります。これは小説の世界だけではなく、リアルな行為だと感じるからです。哲学的な投げかけが印象的な小説でした。 -
コロナ騒ぎの今を映したようで、リアルで怖かった。
我々は見えているが見えていない。みんな盲目なのだ。
目が見える事を前提として作られた文明の中で、視力がなくなれば、人間は理性を失い、無秩序の混沌の中でとことん自己中心的に、暴力的になれる。社会は崩壊し、人間の尊厳は地に堕ちる。言葉の死、という表現が何回か出てくるのは、秩序が消滅したことを示しているのだろうか。
一方で、売春をしてきたサングラスの娘が黒い眼帯の老人を愛し、目が見えるようになってもなおその愛を失わないように、何も見えない極限状態の中で見えるようになる真価もある。
医者の妻の勇敢さと愛がかっこいい。50手前の彼女のことを美しいと女たちが褒める場面があるが、目に見える世界では美しくないものも、心の目で見れば美しいこともある。 -
難しい事を解りやすく、硬い事を柔らかく、ノーベル賞作家が読者に歩み寄った快作。
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世界最高小説100の一冊。ポルトガル出身のノーベル賞作家、ジョゼ・サラマーゴ著。
あるとき、突然、自動車を運転していた男が失明する。目の前が真っ白の闇になり、何も見えなくなってしまうという奇病である。しかもそれは瞬く間に伝染する、男を助けた男性、男の妻、最初にかかった眼科医、その診療所の待合室にいた少年、サングラスの女、受付の女性。最初の男が失明してからほぼ1日経ち、その深刻さを薄ぼんやりと自覚し始めた政府は患者と患者予備軍の感染者を精神病院として使っていた建物に隔離する。始め、10人に満たない隔離患者だったのが、時が経つと数十人に増え、最後には病院に収まらない300人ほどの白い失明者で溢れた。主人公ははじめの男がかかった眼科医の妻。ただこの妻だけはなぜか失明を免れた。理由は最後までわからない。しかし、自分が患者だと偽り、眼科医とともに最初の患者として精神病院に送られ、そこで巻き起こる予想しうる最悪の出来事たちをつぶさに見届ける目撃者になる。
完全隔離の施設である。外に出ようとすれば、監視している軍隊に銃殺される。近寄るだけで失明する伝染病である。巷ではその視界に入るだけで、失明すると言われてもいるらしい。恐怖のあまり自失した兵士に撃ち殺された10人を越える患者も現れ、その病院内の隔離された空間で、それぞれが生き延びなくてはいけなくなる。当たり前の生活が当たり前にできなくなる。トイレ、シャワーから始まり、食料問題がすぐに起こり、その空間の中でも支配しようとするもの、されるもの、反抗するものが骨肉の闘争を繰り広げる。院内での問題が深刻化する中、外の世界は白の闇がより深刻に世界を蔓延していた。
サスペンス・スリラーのようなプロットを持ちつつ、現代の我々の社会が直面する問題をえぐる。白い闇の患者と読者をリンクさせるためか、登場人物はすべて、名前ではなく職業や外面の特徴だけで語られる。より無機質であり、しかしそこにより強い現れ難い個性のくすぶりがこもる。我々は盲目であるというのが、著者の気づきであり、メッセージであった。
物語の最後、医者の妻が夫に語る言葉が印象的である。
「私たちは目が見えなくなったんじゃない。私たちは目が見えないのよ。目が見えないのに、見えていると?目が見える、目の見えない人々。でも見ていない。」
最後にはすべての人の目が開ける。見てくれを超えた愛の実りも私たちに与えてくれる感動がある。発表されて60年近い時がたったが、この寓話が我々に投げかけるものは、当時よりも一層深刻に感じる。
J.S.バッハ「音楽の捧げもの」を聞きながら
13/12/9 -
突然人々が失明した世界がおぞましいほどリアル。最後まで登場人物に名前はない。一人だけ失明を逃れ、すべてを目撃する医者の妻・涙の犬・教会で眼を白く覆われていた人物像、物語として面白いし示唆的。「目が見える、目の見えない人びと。でも、見ていない。」
著者プロフィール
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