- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140053768
作品紹介・あらすじ
ユーモアと慈愛に包まれた至言の数々。心にしみこむ対話集。
感想・レビュー・書評
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この本を読んで、両氏の著作を改めて読みたい、と思うようになった。河合先生と話すことで、普段は話をなるほどなるほどと聞く側、というばななさんがまるでおしゃべりな女の子。そうさせた河合先生はやはり聞く達人と感じた。死にたい人が死にたい気持ちを忘れられるような小説を書きたい、というばななさんの言葉を読み、ばななさんの小説が心の深いところに入ってくる理由が分かった気がした。
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対談本は全然読まないのだけど、ばななも河合先生も好きなので読んでみました。
やはり心理療法家。河合先生の質問は、より深く、具体性があって面白い!しかも河合先生の言葉は関西弁のままなので、非常に親近感がもてます。
ぐっとくる文章もちらほら。
河合先生のクライアントが言った「『死にたい』という言葉でしか、自分の『生きたい』という気持ちを表現できませんでした」という言葉。
私はまだクライアントをもったことが無いけれど、クライアントのこのアンビバレントな感情を汲み取らなければいけないと強く、強く思ったのです。
ひどくハッとさせられる言葉でした。
それから『自分探し』とか『自己実現』という言葉が安易に使われている、という懸念に共感。
好きなことをすることと、自己実現は違うと思うし、『自分探し』というけれど、自分なんて見つかるわけない。
真剣に自分を探したら、それこそノイローゼになってしまう。
私は、死ぬ間際にこそ自分というものを見つけられると思っています。
読んだ後に残るこの満足感は久々。
対談相手がばななさんだったからこそ、これらの河合先生の言葉を引き出せたのかと。 -
対談の本ってたのしいです。人の会話に聴き耳をたててる感じで。しかも「そうそう!」とか共感できたりもするし。それが河合隼雄さんと吉本ばななさん…!
どこをとっても「なるほど」な感じだったんですが、特に「自分をたのみにする」って言葉には、感じるものがありました。
…自分で考えて、選び、判断して生きる。自分が選ぶんだから、失敗したり恥をかいたり、迷ったりするけど、そういうことを通して自分を知ることが、ひいては自殺や病気などから自分を守ることになるんだなって思いました。
「世間の圧力」や「常識」刷り込まれた「理想」に、長年自分を合わそうとして合わなくて、しんどい思いをしてたので、そういう考え方は「なるほど」でした。
同世代や自分に近い人との会話だと、なかなかこういう話ができない。
身内や親しい友人も大事なんだけど…
いまの生活スタイルだと、多くの人が同世代間でしか話をしてないんじゃないかなぁ。
同世代だと煮詰まっちゃいますし、別の観点からの意見が出ないし、ちょっと違う意見を言うと「空気読め」ってなっちゃうし。
じぶんと違う世代の人や、ちょっと遠い人と話したいなあと思いました。 -
おもしろい!
不倫と南米読まなきゃー -
吉本:外国にいると、妙にくつろげることがあるんです。
河合:「日本的しがらみ」がきれるから
吉本:日本的しがらみは何かの役に立っているんでしょうか?
河合:能力のない人を支えている協力な武器でしょうね。
日本は犯罪が少ないでしょ。それも日本的しがらみのおかげ。
吉本:自分で、ああしよう、こうしようと目標を持ってやったら、
たいていだめです。
来たものに何となく答えていく、「時が経っていた」という感じの方が、
うまくいくような気がします。
河合:僕は生き方自体がそうです。自分の意志で、ほとんど生きてない。
来たものに乗ってはふわふわやってる。
吉本:「偶然性に頼る」というのが全てです。
河合:大事なのは、先に考えるのではなくて、それに身をまかすこと。
吉本:「あんなに休んじゃいけないって、なんで思っていたんだろうなぁ」って。
河合 注意しないと、「解説」というのは「本当らしい」言葉を重ねるばかりで、
知らぬ間に「本当」そのものから遠ざかる -
謙虚honestyと自信believe in myself。両方のバランス。
関西弁を使う自分と標準語を使う自分は別人格。たしかに!自分もそうかもしれない。標準語を使うときはなんとなく「よそ行き」な感じ。
難しい相手と一対一になる時。相手が「ほんとうに言いたいことは何か」を考える。
’’強くなければダメ。ダメなんだけど、いわゆる「強い人」というのは感受性がないでしょ。そこを間違わないように。いろいろ感じ取りながら、別に傷ついたって構わないんだけど、傷ついたままで戦うというか、これが必要“ -
読書や対話から気がつかされる事は多い。
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対談。若者のこと、日本社会のこと、等。わかりすぎる。
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だから、そんなに能率よくするのが好きやったら、能率よくしねと。うろうろ生きてないで。
日本の社会は、個人のクリエイティビティを犠牲にしながら、みんなが安全に暮らしている社会なんです。
自信と謙虚の両立。 -
河合さんの直観力と吉本さんの感性が随所に表れていました。現代社会のこういうところがダメという話ばかりで終わるのではなく、こういう部分もあるから今の社会も面白いよね、というところに展開していくのが素敵です。