総司炎の如く

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140054352

作品紹介・あらすじ

信じるもののために燃焼させた新選組隊士沖田の命。新進気鋭の女流作家が放つ、新たなる総司像。

感想・レビュー・書評

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  • ■新撰組と長州の存在をかけた攻防と男たちの生き様。対立する2つの価値観の中で、ひたむきに生きた姿。新撰組の結成で、「地位・名声・信念・充足感」を得た代わりに「平和・やすらぎ・仲間・命」を失った総司の生涯を描く。

    ■■読んで字のごとく沖田総司の半生を綴った一冊。この人の文章は読みやすく、歴史的背景も掴みやすい。戦闘シーンがきっちり書き込まれてるのも好き。ってか、相変わらず女性的な視点が、それが好きなもんにはたまらんでしょう。って言うか、泣ける。いや新選組ものって大概泣けるんだけど、改めて切ないなぁ。特に山南さんの脱走には綺麗なオチを付けてくれました。実は土方さんと山南さんは仲が良かったらしいと史実にあるそうで、出来ることなら憎しみあった末の別れでなく、こういった形の別れだと、個人的に嬉しかった。

  • やっぱり新選組。好きなんだな。
    そして新選組の中では沖田総司が一番好きかも知れないと思った一冊でした。

    この小説は、すごく読みやすい印象。言葉がそんなに難しくないし、きちんと時代背景の説明も不自然にならずに入っているので、新選組知らなくても読めると思います。

    ■剣士沖田
    「剣士」としての沖田さんを書ききった感じがします。人を斬ることにどうしようもない憧れを抱く総司というのも、わりと珍しいのでは?

    ■維新志士との友情
    長州藩維新志士の久保裕次郎との友情も試衛館時代から伏線が張られていて、(先は読めちゃうんですが)それが剣士としての総司を描くのに、随分効果的に働いていた気がします。たんなる沖田の優しさを象徴する友情物語じゃなくて、幕末に生きる剣士としての生き方を見せてくれました。

    ■クールな沖田
    個人的には、子どもが特別に好きなわけじゃないけど、人斬ってたらそういう無邪気なものに癒しを求めてしまうのも仕方ないと思いながら、子どもたちと遊ぶスタンスの沖田さんが珍しくて好きでした。沖田=子ども好きのイメージが大きいから、なるほどそんな見方もあったんだ~、みたいな。

    ■隊士の魅力
    個人的には、この小説の中の藤堂平助と総司の関係、山南さんと総司の関係、すごく好きでした。平助がしゃかりきに洗濯してるところやら、試衛館から丁寧に書かれているから、ちょっとした瞬間に「ああこの人とこの人の関係はこうなんだな」ってのが垣間見えておもしろいです。山南さんの切腹の理由にもすごく納得させられるものがあります。山南さんの最期の手紙で、胸を鷲づかみにされました。山南という男そのものを表している手紙で…。そして、斎藤さんがいい味出していて素敵でした。

    ■谷周平との関係
    この小説のいいところとして挙げたいのは、沖田と谷周平との関係が上手く書かれてたということ!最期を看取るのも彼です。(あ、ネタバレ…)周平の総司への憧れと葛藤、そしてふたりの和解。上手く書かれています。

    ■総司の最期
    私はこの総司の最期、すごく好きでした。黒猫斬れない、で死ぬんじゃないんです。ネタバレするので言いませんが、今まで読んだどんなものよりも格好よかったです。これが史実の斎藤さんと上手く絡んでるんです。

  •  手に入れるのに滅茶苦茶苦労しました。買えたのは奇跡かも!感謝して読みました。
    タイトル通り新選組一番組長沖田総司が主人公です。試衛館時代に総司が長州藩士の久保裕次郎と出会い、やがて京都で敵同士として再会するというエピソードが新鮮でした。京都に行ってからは、谷周平との関係が描かれていて、新しい沖田総司に出会えた気がします。
    剣で表現される沖田総司と無邪気で人懐こい感じのする沖田総司…どちらも愛しくなりました。土方さんに優しくされている弟的キャラな感じがしていましたが、周平と接している時の総司はかなり優しいお兄ちゃんという風情で、それはそれで大好きです(笑)

    そしてやっぱり斎藤一氏の『柳が風に吹かれるような』感じや『若いのに分別くさい顔』など、今回も素敵でした!

  • 幕末の本を読んでいると、病で死んでいく者の無念さは筆舌に尽くしがたいものがあると思う。沖田は幕末の情勢に興味はなく、ただ自分の好きな者たちと共に戦い、剣を磨いていきたいだけの青年である。そこに思想的な苦しみはないものの、剣の道でのみ生きてきた沖田が、剣を持てなくなる切なさがある。新撰組に焦点を当てつつ、要所で長州を中心に討幕派の状況も書いてあるので、どちらのファンも楽しめると思う。

  • 新撰組沖田総司を知れて良かった。燃えよ剣で持った総司の印象が崩れることなく、クローズアップされていて、ついつい読みふけってしまいました。

  • 総司視点で話が進む。総司を通して見てみると、局長のお父さん、副長のお母さん感が強まる(笑)総司に女教えて咎められる近藤さんは本当にお父さんです。山南さんは伯父さんポジション。最期の時に「トシさん」へあてた手紙にしんみり。谷周平がすごくいい子に描かれていて(あんまり好きじゃなかったけど)ほっこり。そして芹沢がいい男。ちょっとだけでてきた高杉も妙に格好良かった。総司目線だからというより秋山女史が幕末という時代とそこに生きる人々を愛しているんだなあと思う。男性陣は特に色気と可愛げがあり、魅力的。
    戦って死にたいと思っていたけど、最期の最期まで生きてみようという境地に達する描写が丁寧

  • この山南さん好きです。
    あと、沖田さんと斎藤さんの会話が
    良かったです(*´▽`*)

  • 総司と土方さんの関係を始め、山南さんの総司への想い、山南さんから土方さんへの想い、総司と芹沢、総司と周平など、様々な関係に切なくなり涙しました。

  • 中学生の頃、るろうに剣心という漫画が流行っていて、沖田総司に興味を持ち始めました。何冊か沖田総司が主人公の本を読みましたが、その中でもお気に入りです。女性作家の描くキャラクター像が気に入ったのだと個人的には思います。

  • 総司のひょうようとした人柄がよく出ている新撰組小説。誰にでも優しく、気負いなく、そして病になっても自害することなく最後まで生き抜き死んでいく様は圧巻です。そして、新撰組の面々との交流もよく描かれています。特に、山南さんの最期の手紙と総司と谷周平のやり取りが好きでした。ただ、新撰組全体としては、時流を読めていないという解釈なのかなという印象もありました。
    そして、総司の本ですが、結構長州も出てきます。久坂が高杉に全てを託して死ぬところや、高杉決起、薩長同盟を桂が決める瞬間など、丁寧に、しかし熱く描かれているので長州好きにもおすすめです。

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著者プロフィール

1968年福岡県生まれ。活水女子短大卒業。2002年『歳三往きてまた』でデビュー。2017年『龍が哭く河井継之助』で第6回野村胡堂文学賞受賞。柳生新陰流居合道四段。主な著作に『伊庭八郎凍土に奔る』『密偵』『獺祭り白狐騒動始末記』などがある。

「2022年 『氏真、寂たり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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