ブラスデイズ

著者 :
  • NHK出版
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本棚登録 : 126
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140056202

作品紹介・あらすじ

メロディは続き、どこかで転調する。
鼓動が続く限り。

熊本県、北倉高校吹奏楽部の合い言葉は、「今日の最高は、明日の最低!」。破天荒な部長と個性的な顧問のもと、最高の演奏を目指して地道な練習に励んでいる。部員17人と若き顧問3人が、青春の幸せと後悔をブラスバンドのメロディに乗せていく。繊細な心情描写、ユーモラスな会話を交えながら描いた群像劇。

芥川賞候補作家による書き下ろし作品。
装丁は名久井直子さん、イラストはウラモトユウコさんです。

感想・レビュー・書評

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  • 現役のブラバン生徒はもちろん、楽器を弾けない人も十分楽しめる青春音楽ストーリー。

    ブラバンに生命を賭けるといったら言い過ぎかもしれないが、青春のエネルギーの大半を注ぎ込んでいる地方の高校生たちが主人公。

    一つの章の中で次から次へと主人公が切り替わる手法が、リズミカルな効果を生んでいる。次から次へと登場するのは吹奏楽の名門・熊本県北倉高校吹奏楽部の高校生たち。いくつかの不測の出来事が重なって、惜しくも銀賞となった昨年の雪辱を果たすべく、今年も県のコンクールでの金賞獲得を目指して精進する毎日だが、今年もまた不穏な出来事が続発。

    希望していない楽器を割り当てられたうえに、満足に楽器も持たされず、ただただリズム練習をさせられている一年生もいれば、主力としてパートをまかされても、家庭の事情でなかなか集中しきれない二年生もいる。部長や副部長となって、シャカリキになるあまり空回り気味の三年生たち。そして、どこか心ここにあらずの指揮者で顧問の太っちょ先生。

    それぞれがそれぞれのドラマを演じながら、終盤のコンクールへと向かっていく一連のストーリーが、まるでシンフォニーのようだ。そして最後にやってくるビッグバン!起伏が激しく、混沌としたストーリーはどうしたら収拾するのかと不安になる、、、

    この手の青春小説にはハッピーエンドが用意されているものだけれど、この著者はどうだろうか?

    いつもユニークなタイトルを各章に付ける著者だが、今回は14章すべてにユニークな楽曲名を割り振るという凝りようだ。
    楽しく悲しく、高揚し覚醒する不思議な音楽体験。

  • 高校の吹奏楽部を舞台にした青春群像劇。

    登場人物多め。
    視点が色々な人物に移り変わっていく。


    個人的にはすっきりしなかった。
    設定(二重世界)とか、結末とか。

    「部活もの」ということで、読みながら勝手な期待とか予測をしてしまっていて、それは「色々あっても最後にはメンバーのまとまりとか団結とかそういうのが出来上がって大団円」というようなことだったんだけど、なんかそういうかんじではなかったなあ・・・。

  • てっきり部活もの、ブラスバンドものだと思ったのです。ミキユリが二人出てきた意味が分からず、登場人物の一人が言う台詞「お前の超能力見せてくれよ」は比喩的な意味であって、実質はカードマジックかなにかだと思っていたら、平行世界もの、超能力ありな世界のお話だとわかってひっくり返りました。ちょっとついて行けなかった。

  •  平行世界とつながってしまった高橋俊平。死人さえ出れば、金賞を獲れるという噂があったが。

     期待していた話ではなかったし、#の世界を出した意味がいまいちよくわからず。失恋と両親を失うことが同列とは思えないのだが。
     部員の恋愛模様はよかったです。

  • なんか物語に入り込めなくて今一つでした。SFチックな所もどうかな〜。この辺を受け入れらると良かったのですが…

  • 高校吹奏楽部のお話。リアル青春ものかと思っていたら、半音ずれた♯の平行世界が出てきたり、語り手目線が入れ替わったりと、結構めまぐるしい。70人からいる部員のなかの、個性的なかつ主要(?)メンバーがメインに話が進んでいく。演奏する音楽の解釈とかはあまりないが、高校時代のほろ苦い思い出が甦る。
    ダンプ結構好きかも。でもそばにいたら暑苦しいかな。
    コンクール向きでない思いっきり楽しめる音楽、聴きたいな~。

  • 姉と同じ高校の吹奏楽部に入部した俊平は、失恋の痛手から立ち直れないまま部でも希望の楽器ではなくパーカッション担当になる。
    悶々と基礎練習を続けていたある日、同じパーカッション1年のミキエリが屋上から落下する事件が。しかし俊平は昏睡状態のミキエリとは別のミキエリを目撃し…。
    ミキエリの落下事故をきっかけとして、俊平は自分がいる世界とは「半音ずれた」世界が存在することに気付く。突然SF的要素が入ってきて驚いた。その他はよくあるブラバンものかと思いきや、部長の桂木のぶっ飛びぶりが凄い。
    くるくると主人公目線が交代するので、それが苦手だとあまり楽しめないかも。

  • 吹奏楽部のはなしとはいえ音楽ものというより部活もの。SFもあり。主人公がはっきりしないので入り込みにくいけど、その場その場は面白い。映像で見たら面白そう。指揮者にもいまいち魅力がない。その友達が一番魅力的なのはどうなんだ・・・。

  • ブラスバンドが小説の題材によくなるのは、勝ち負けの判断が明確でないってのも一因なんですかね。
    この物語、ちょっと凝った作りとなっていて、半音階ズレた♯の世界が出てきます。

    青春物語は読めば毎回、元気がでますね。

  • 吹奏楽もので、第一章「春の猟犬」って事で、なんという素晴らしい本に出会えたんだ!と飛びつく。

    が、春の猟犬は関係なく、子供らには魅力を感じず、ファンタジーちっくなお話に読む気がなくなってしまった。

    完読ならず。

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著者プロフィール

小説家

「2021年 『ペンギンのバタフライ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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