護られなかった者たちへ

著者 :
  • NHK出版
4.07
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本棚登録 : 1424
レビュー : 192
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140056943

作品紹介・あらすじ

仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実-。

感想・レビュー・書評

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  • キツい。最後まで読むのが辛かったです。

    この話はどこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションなのか。

    刑事物ってあまり惹かれず、今まで読んだことがありませんでした。全く未知過ぎて、きっと共感できないだろうなぁと思っていて。踊る大捜査線は好きでしたが。。

    生活保護、震災、貧困、犯罪
    日本が抱えている、少なからず私たちにも関係している現実が、誰にでも起こり得る事を突きつけられる内容でした。

    最後に進むに連れて、どんどん読むのが苦しくなって、泣きながら読みました。

    あぁ、久し振りに苦しくなる重厚感のある本でした。

    映画化されるそうで。利根さんが佐藤健さんで、苫篠さんが阿部寛さんなのかな。私はキャストに違和感が全然なくて、絶対苦しくて泣くだろうけど、観に行きたいです。

  • 猟奇的殺人事件をはじまりに様々な人間関係。
    そして生活困窮者と役所の在り方について考えさせられた作品。
    最初は落ち度のない善良な人がなぜ?だったけど。
    調査が進むいつれ分かった様々な姿。
    どんどん犯人の方に感情移入していってしまったかな。
    心締め付けられるドキュメント。
    ラストの意外な展開は、さすがは中山さん作品らしい。

  • そう、そうなのよね。と、これまで私も現場で経験してきた怒りや、やるせなさや、悲しみを感じながら読み進めました。本当に、こういうことは「ある」のだ。
    困ったら、役所に行けば、助けてくれるはず。だって、こんなにも困っているのだから。そのために役所の職員がいるのだから。と、私はもはや思えない。頭の回転が早くて知識がある人たち以外理解できないのではないだろうかというマニュアル通りの説明を繰り返され、「きちんと説明をした」「やるべき対応はやった」と普通に言われる。もう、国籍が違いますか?くらい話が出来ない様な経験を何度もしてきた私にとって、「困ったら役所へ」なんて、絶対に言えない。もちろん、役所の職員さん全員が全員そうではないのだけれど。人との相性はもちろんあるし、悲しいかな、人によって対応が天と地ほど違うのは、福祉の業界でも同じこと。だからこそ、私は不完全ながらも全力でいたい。
    護られなかった者たちへ。とても悲しく悔しい現実。
    最後はパタパタと終わった印象で、前半のボリュームからの尻すぼみ感が少し残念だったかな。

  • 仙台市の保健福祉事務所課長が死体で発見され、その後、県議会議員も同様に殺される。同時進行で一人の模範囚が出所しているが…。今回はミステリというより生活保護をテーマにした小説といった風。申請する方、役所の担当職員、その他多面から現状が見える。著者の言葉に「この物語の犯人はわからない」とあったが、確かにその通りだ。真面目に生きていく人が辛い目にあうなんて。どうにかならぬものか。流れは、そんな感じになるんじゃないかと思っていたけれど、最後まで波に乗って読めました。けいさんは、筋が通った方、うまく書き上げていたなあ。

    • ひとしさん
      こんばんは!確かに最近は重い内容の本が多いみたいですね(笑)それにしても、読むのが本当に早くて羨ましいです!
      私のスカッとしたおススメは、...
      こんばんは!確かに最近は重い内容の本が多いみたいですね(笑)それにしても、読むのが本当に早くて羨ましいです!
      私のスカッとしたおススメは、
      垣根涼介『ワイルドソウル』
      真保裕一『奪取』
      百田尚樹『ボックス!』
      金城一紀『GO』『ゾンビーズシリーズ』
      などですかね!
      もしかして、既読の本もあるかましれませんが・・・。
      たまにはスカッとしたください♪(v^_^)v
      2018/04/30
  • 社会福祉行政を扱ったミステリ。なかなかにキツイ内容になっている。圧倒的に不足している限られた予算をいかに配分するか?社会構造や社会制度の問題であり社会福祉の外側も含めて解決策を導かなければならないだろうが、安易な恣意的抑制策に活路を見出してしまっている現状が見える。運用者個人の問題ではないとはいえ、人としてのやさしさや社会福祉本来の理念を忘れてはならないと言って糾弾するのは簡単だが、事はそう簡単ではない、のだろう。そんな諸々の難しい現状を背景に物語は進む。捜査側の視点に利根の視点の物語が絡み合ってきたあたりから、徐々に切なさがこみあげてくるとともに、社会福祉の深刻さが加速度的に読者に迫ってくる。その苛烈さは「餓死」という状況に象徴される。現在の日本において餓死するというのは、どこか歪んでいる。中山七里らしい仕掛けや趣向も凝らされておりミステリとして面白いといえる本作だが、それ以上に社会福祉というものを考えさせられる内容であった。

  • 中山七里3冊目。
    今回が一番早く読み終えたが、
    結末がいまひとつ納得できず星は3つ。

    このお話はフィクションではあるけれども、
    生活保護やそれにまつわるお役所や国の対応、
    刑務所の内情など、
    実際に起こっていそうなリアルさをひしひしと感じた。

    どんでん返しがこの作者の特徴で、
    毎回それも楽しみの一つだけど、
    そこにこだわりすぎると、なぜこのタイミングで事件が?とか、
    疑問がムクムクと湧いてきて、
    それこそ話のリアリティが失われてしまうかな、と思った。

  • ミステリー,警察の犯罪捜査の小説というより,福祉行政のあり方を扱った社会派小説だ.特に餓死してしまった母親のようなけいさんの存在感が圧倒的だ.「いい子でいなさい」に込められた愛情に全てが覆われていくような読後感.この本をたくさんの人が読んで,福祉行政が少しでもいい方に流れればいいのにと思いました.

  • 中山七里さんというと『どんでん返し』の人ってイメージがあったし、どうしてもそれを期待してしまうが、実は社会派の作家さんなんだなと思い知らされる。
    『連続殺人鬼カエル男』は少年法や刑法39条を取り上げていたが、今回は生活保護の実態を暴き出している。もちろんどんでん返しも健在だ。

    連続して2つの殺人事件が起こる。いずれも被害者は男性で、拘束され身動きを取れない状態にした上で餓死させられていた。
     まず、事件を追う警察側からの視点で物語は構成される。最初は単なる刑事小説かな?と思い読んでいくと、やがて容疑者となる男側からの視点で物語が語られるようになると、一気に面白くなっていく。前科者で粗暴な男、利根。利根がヤクザと揉めている窮地を救ったおばあちゃんのけいと中学生のカンちゃん。その3人の不思議な生活が始まる。様々な問題を解決できた3人も、利根の就職、カンちゃんの引越しなどでバラバラになり、やがてけいの貧困は救いようの無いものになってきて。

    生活保護の問題は、私たちが思うほど簡単ではないんだろうな。それを利用するヤクザがいたり、逆に本当に苦しいのに申請を却下される人がいたり。うーん。

    最後はなんとなく犯人はわかったが、◯◯が◯◯だったとは。社会問題を投げつけ、読者に散々考えさせた挙句、どんでん返しもきっちり。うーん、やられました。

    • breadandbookさん
      ひとしさん、こんばんは。『カエル男』気にはなっていたんだけれど、また読んでなくて。社会派なのですね。読んでみようと思います。
      最近、読んでて...
      ひとしさん、こんばんは。『カエル男』気にはなっていたんだけれど、また読んでなくて。社会派なのですね。読んでみようと思います。
      最近、読んでてしんどい本が続いているので、スカッとする本あったら紹介ください。内容が暗くなくて面白い本でも。
      2018/04/30
  • 福祉保健事務所課長の三雲は、清廉潔白で他人から憎まれたり恨まれたりしたことがない。県議会議員の城之内も、カネや女には無頓着な堅物で清廉潔白な人格者。絵に描いたような善人の二人が、ガムテープで拘束され餓死させられる残忍な事件が発生した。事件を追う県警捜査一課刑事の笘篠は、福祉保健事務所職員の行き過ぎた水際作戦、係官の血の通わない対応に対する怨嗟の声にたどり着く。

    生活保護を巡る社会問題を扱ったミステリー。東日本大震災ものでもある。

    ラスト近くにどんでん返しが! 仙台空港での逮捕劇の瞬間に気がついたけど、ラストは更に捻りが効いていて…。読み応えのあるミステリーだった。

    社会保険事務所関係者が本書を読んだら、どう思うんだろうな。悲しいけどこれが現実、と思うのかな。それとも、現場には義理人情が溢れてるって憤るのかな。

  • ミステリーで犯人は誰かということを考えるよりも、いろいろなことを考えさせられるような内容でした。
    現在の、勝ち組・負け組って言葉もできて、裕福な人とそうでない人の差が広がっている日本で、身につまされました。
    泣くような物語ではないのに、犯人がわかって涙してしまいました。
    税金を大事に使ってくれない政治家や役人に一人でも多く読んでほしい本です。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。幅広いジャンルを手がけ、斬新な視点と衝撃的な展開で多くの読者の支持を得ている。

「2021年 『ヒポクラテスの悔恨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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