護られなかった者たちへ

著者 :
  • NHK出版
3.97
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本棚登録 : 551
レビュー : 112
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140056943

作品紹介・あらすじ

仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実-。

感想・レビュー・書評

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  • 仙台市の保健福祉事務所課長が死体で発見され、その後、県議会議員も同様に殺される。同時進行で一人の模範囚が出所しているが…。今回はミステリというより生活保護をテーマにした小説といった風。申請する方、役所の担当職員、その他多面から現状が見える。著者の言葉に「この物語の犯人はわからない」とあったが、確かにその通りだ。真面目に生きていく人が辛い目にあうなんて。どうにかならぬものか。流れは、そんな感じになるんじゃないかと思っていたけれど、最後まで波に乗って読めました。けいさんは、筋が通った方、うまく書き上げていたなあ。

    • ひとしさん
      こんばんは!確かに最近は重い内容の本が多いみたいですね(笑)それにしても、読むのが本当に早くて羨ましいです!
      私のスカッとしたおススメは、...
      こんばんは!確かに最近は重い内容の本が多いみたいですね(笑)それにしても、読むのが本当に早くて羨ましいです!
      私のスカッとしたおススメは、
      垣根涼介『ワイルドソウル』
      真保裕一『奪取』
      百田尚樹『ボックス!』
      金城一紀『GO』『ゾンビーズシリーズ』
      などですかね!
      もしかして、既読の本もあるかましれませんが・・・。
      たまにはスカッとしたください♪(v^_^)v
      2018/04/30
  • 意図的に餓死の状態に追い込まれ、殺害された死体が見つかる。
    その後も同様の死体が見つかり、2人の被害者の共通点として、福祉の仕事に携わっていた事が分かる。
    彼らの周囲の人間は皆一様に彼らは人格者だったと言うが、事件を追う刑事たちは彼らの別の面を知る事となる。
    別に、8年いた刑務所から出所した若い男性の話。
    彼は殺された2人に関わっていて、別の男性の居場所を追っている。
    周囲は彼の事を真面目な人間だと言うが、彼は事件に関わっているのかー。

    どんでん返しというほどでもないけど、ある真相が最後に分かる仕組みになっている。
    だけど、その真相は早い段階でほぼ分かって「やっぱね・・・」という感想しかなかった。
    でも、それよりこの本では生活保護を受ける実態が描かれていて、それを描きたいための事件という気がした。

    私は判官びいきで、こういう話だと殺された二人に怒りや憎悪を感じながら読む、けれど、この話ではそうはならなかった。
    彼らは杓子定規で、情がない人間だけれど、職務に忠実な公務員だったともいえる。
    むしろ、公務員が人間味のない対応をとっても、それが優秀だという事にもなる。
    そんな体制の方に問題があるし、この国は弱い人間に冷たいな・・・と思った。
    何か、そういうのはどんどん加速しているようで恐い。

    怒りを覚えるとか、泣くとか、そこまで心揺さぶられる本ではなかったけど、こういう風に生活保護について考えるきっかけになる本だとは思う。

  • ミステリー,警察の犯罪捜査の小説というより,福祉行政のあり方を扱った社会派小説だ.特に餓死してしまった母親のようなけいさんの存在感が圧倒的だ.「いい子でいなさい」に込められた愛情に全てが覆われていくような読後感.この本をたくさんの人が読んで,福祉行政が少しでもいい方に流れればいいのにと思いました.

  • 生活保護を題材にした小説。
    福祉の話はつらい話が多い。

    親の介護で仕事を辞めざるおえなかった人が親の死後、
    仕事に就ける保証はない、どこにもない。
    いつ、何を発病するかもわからない。
    いつ、どこで災害が起こるかわからない。

    それは、明日の自分かもしれない。

    みんな綱渡りのギリギリだ。
    けれど、国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある。

    この国はどうなるのだろうと考えてしまう作品だった。

    人物の描写はお見事、その人の顔が見えるようだった。
    それだけにツライ話だった。

  • ラストどころか中盤から大号泣。

    仕事がら、生保など公的資金が注入されている人達ののあれやこれやを目にすることが多く、本当に憤っている。
    日本の社会保障の現状は生保だけでなくいろいろ最悪だと思う。
    この作品がもっともっと世に広まればいいな。
    そんな風に思える作品は久しぶり。

    主題が護られなかった方々だから仕方ないかもだけど、もうちょっと不埒なやつらの悪行にも触れてほしかった。
    普段溜まっているうっぷんを共感してほしかったな笑

  • ラスト50~30ページ辺りの展開がもう!
    そうだったのか!そうくるのか!予測がつく方もきっと
    いるのでしょうが自分は全然予想しない展開でした。

    あんまり読んだことのない作家さんでしたがさすがの手練れ感。考えさせられる重い問題を提起しながらも極上のミステリー、エンタメに仕上がっています。
    新聞小説にふさわしいテーマと内容と展開。
    他の作品も読んでみたくなりましたね。

  • 年々、爆発的に膨らんでいく社会保障費。これを水際で食い止めるのが福祉の現場の最前線。福祉事務所という社会的弱者を救うための機関が、実際やっているのは弱者の切り捨て。今日もどこかで食うに食えない生活の中、命を落としている人がいる。生活保護費は弱者には回らず、声の大きなものばかりに吸い上げられる。かなりの部分がヤクザのシノギに消えているという。誰も責められない理不尽と切なさに何度も本を閉じてしまった。フィクションとばかり言っておれないのがやり切れなさを募らせる。

  • 10月-5。3.5点。
    福祉事務所職員が拘束され餓死させられる。次には県議会議員が。二人とも周囲の評判は、すばらしい人格者。
    怨恨の線も見つからず、難航する捜査。

    生活保護が題材。さすがに面白い。
    本作は、どんでん返し感が少ないが、考えさせられ面白い。

  • 評価は5++

    内容(BOOKデーターベース)
    仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実―。

    生活保護に真摯に向きあいたくなる一冊だった。少なくとも私の周囲では不正がまかり通っている。酒パチンコそして男についやしているお母さんを見る度に、働けるだろう!せめて保護費を子供のために使えよ!と言いたくなるが、1度受け取るとやめられないだろう。
    真面目な人が馬鹿を見る世の中であってはいかんが、今はそういう世の中だと思う・・・悲しいわ

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実―。

    過去のエピソードが一個ずつ浮き彫りになるにつれて、社会の弱い所にしわ寄せが行く構造がどんどんむき出しになっていきます。こんな事が沢山有るのだろうし、もっと悲惨な生活をしているのに救済されない人々が増えて行くんでしょうね。
    以前生活保護を貰えなくて、認知症の母親と2人ホームレスになって、母親を殺害するに至った痛ましい事件がありました。本当に必要な人とそうでない人との見極めはとても難しいと思いますが、何とか本当に必要としている人のもとに届けて頂きたいものです。
    この本もひたすら貧困の現場を書いていますが、書ききってやるぞという作者の気合がびんびん伝わって来る本です。

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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