発現

著者 :
  • NHK出版
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本棚登録 : 540
レビュー : 92
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140057001

感想・レビュー・書評

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  • 過去(昭和)の出来事が現代で不可解な現象として現れる。現実にはないものが見えるようになった母は自殺し、兄、次に私、そして血縁者にも同じ症状の人がいた。物語は戦後の話も同時進行する。妻子とともに暮らしていた男、突然自殺する。男の弟は過去を調べ、真相を探る。過去と現在、つなぐものは一体?
    ホラー要素もあり、ミステリでもあるが、保身と罪悪感を描いた物語でした。そこを強く出したいなら、ホラー的なところ、抑えても良かったのでは。欲張りすぎなのかな。読みやすくはあったけれど、ちぐはぐ感は拭えない。戦争に関するところは非常に重い。こちらをより深く描いて欲しかったかな。

  • 私にはかなり怖い話でした。
    平成と昭和。話が行き来するが、接点がなかなか見えてこない。
    戦争の悲惨さを考えさせられる本です。

  • 八咫烏シリーズだと思って最後まで読んでた笑
    戦争について考えられる良い本でした。

  • 物語は時空を越え、常識を凌駕する。
    平成と昭和、二つの時代で起こった不可解な事件。
    真相に近づこうとする者たちを嘲笑うかのように謎は深まり、ほの暗い闇がひたひたと迫りくる。
    運命に導かれるようにしてたどり着いた先は、光明か絶望か。


    平安王朝風ファンタジーとミステリを融合させたシリーズをずっと続けていらっしゃった阿部先生が、現代サスペンスを書かれるということで、どんな物語になるのか、とてもドキドキしながら読み進めました。

    戦後間もない時期と現代、一見まったく関係のないストーリーがどんな風に関わってくるのか、それを繋ぐ糸を探りながら。
    「糸」は意外なところにありましたね。
    プロローグに仕掛けられた叙述的トリックも含め、やられた!という感じです。

    (ネタバラシになりますが)「烏に単は似合わない」ではヒロインが途中交代した上に、当初ヒロインであると目されていた女性がかなりの腹黒魔女で、読者を驚かせてくれました。
    ミステリとしてはとても面白かった記憶があります。
    ただ、ヒロインの逆転劇という構造上、後味の悪さ(と言うか、あせびの腹黒さ)に若干気分が悪くなったものです。
    本作ではその点でも読者に決して気持ち悪さを残さないラストにしてくれていますね。

    もちろん彼らの問題は何ひとつ解決してない。
    DNAに刻み込まれたトラウマは、生涯にわたって兄妹を苦しめることになる。

    でも、そこに希望がないわけではない。
    兄妹の母親は最期までこどもたちのことを想って死んでいった。
    さつきに対して怯える気持ちはあっても、決して娘のことを蔑ろにしたことはなかった。

    その想いもまた、トラウマと同様に彼女たちのDNAに刻まれたのではないでしょうか。
    だからこそ、さつきの危機を母親の幻影が救ってくれたのではないでしょうか。
    そして同様に、大樹の我が子に対する想いもまた遺伝子に刻まれていくとするならば、いつか彼らの家系がこの呪いから救われる日がくるのではないしょうか。

    そんな希望が垣間見えたラストがとても気持ち良かったです。

    実は読了後、阿部智里先生ご本人とお会いする機会があったので、拙いながらも感想をお伝えすると、ラストの展開の解釈に対してとても喜んでくださいました。
    「そういう風に伝わることを期待して書いた物語です」と。

    本は著者の手を離れてしまえば、どんな受け止め方をするかは完全に読者に委ねられます。
    何なら著者の意図と真逆の解釈をしたところでそれは読者の自由なのですが、でもやっぱり書き手の想いを正しく受け止めることができた、というのは読み手にとっても喜びだよなあと思いました。


  • ほの暗く恐ろしく、そして結末は心苦しく後悔に溢れる
    ある時少女のみに舞い起こる幻覚
    そして過去に起きたある事件
    彼岸花と少女が意味することとは
    末代まで祟られるとは言うけれど、先祖が犯してしまった罪で自分まで被害を受けると思うと…

  • 統合失調症かと思いきや、若干ホラー

  • ホラー?
    ある日突然見間違えを起こし始め、いつしか見えないものを見て、追い詰められて死んだ母。
    家庭を持った兄が同じような症状を起こし、実家に戻ってきた。そしてさつきにも同じような幻視が現れ…

    戦後復員し、家庭を持ち、子煩悩だった兄が突然の自殺。納得出来ない省吾は兄の死の真相を調べ始める。兄は何故突然飛び降りたのか?

    そして省吾が当時たどり着いた結果とさつきたちの現実が交差する…みたいな話で、ストーリーも現代のさつきサイドと戦後の省吾サイドが交錯しながら展開します。

    キーワードは赤い彼岸花と少女。

  • 現実世界のホラー。
    終わり方が雑というか、確かに現実ならそうするしかないのかもしれないが、少し残念だった。
    風景や状況の描写が綺麗で、展開もよく、引き込まれた。

  • ・否応なく呪いを受け継いでしまうことによって過去を自分の問題として向き合うことになる一家。かつて戦争した国の全ての人間がそうあるべきなのかもね。戦争に限らずやけど。
    ・《何か、おかしなこと、良くないことが起こっている。何かが、自分に近付いてきている》p.71
    ・《俺達にとって、あれが何かが問題なんだろうな》p.192
    ・平成三十年(二千十八年)、昭和四十年(千九百六十五年)、それぞれでのできごとが交互に描かれ、最後に結びつく。
    ・呪いと病気の違いは?
    ・ホラーのようなミステリのような。八咫烏の後がこれだと、小野不由美さんのようでもある。

  • 読みやすかったです。
    戦争は悲惨です。私はその悲惨さを小説をよむことでしか、知ることができません。その意味では、読んで良かったと思いました。
    戦争でおかした罪は、ずっと償い続けなければならないのでしょうか。難しいですね。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2021年 『烏は主を選ばない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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