クジラアタマの王様

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140057063

作品紹介・あらすじ

待望の最新書き下ろし長篇小説

巧みな仕掛けとエンターテインメントの王道を
貫いたストーリーによって、
伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放った
ノンストップ活劇エンターテインメント。


異物混入、政治家、アイドル、
人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥――。

伊坂幸太郎の神髄がここに。

感想・レビュー・書評

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  • いやー、今回もめちゃくちゃ楽しかった。
    早速「ハシビロコウ(学名:クジラアタマの王様)」の画像を検索して、一人でゾッとしてしまった。(ハシビロコウTシャツなんてのも見つけてしまった。)愛嬌のある顔してるのに、やっぱり怖い。
    第四章はコロナ禍の予言書?
    まさにほんの少し前、コロナが流行し始めた頃の世の中はこんなだった。
    本当にコロナ禍の前に書かれたもの?すごすぎる。

    • あゆみりんさん
      こんばんは。
      感想を読ませて頂いて、本棚登録しちゃいました、面白そうですね。

      私、ハシビロコウのレジャーシート愛用してます。

      こんばんは。
      感想を読ませて頂いて、本棚登録しちゃいました、面白そうですね。

      私、ハシビロコウのレジャーシート愛用してます。

      2022/05/09
    • ムク助さん
      あゆみんさん

      コメントありがとうございます。
      レジャーシート!
      ハシビロコウグッズ、色々あるんですね。こんなにメジャーな鳥だったなんて知り...
      あゆみんさん

      コメントありがとうございます。
      レジャーシート!
      ハシビロコウグッズ、色々あるんですね。こんなにメジャーな鳥だったなんて知りませんでした。
      2022/05/09
  • 伊坂先生に子どもが生まれてからか、作品に、”大切な存在を守るため”という部分が協調されるようになってきている感じがする。
    一方で、「シーソーモンスター」からの伏線、P236、P253!他にもあるのかもしれないけれど、古参を放置しない、過去作品とのリンクを取り入れてくださっているところは、なんとも言葉にしがたい喜びがあります。

    漫画部分を物語の本筋部分に載せるのではなく、本筋とは少しずれた部分に載せることで、読者側にも「あー、そんな描写あったなー」と、ぼんやりとだけれど鮮明に思い出させるような、つまりは夢で見たような感覚を彷彿とさせる、そうした効果があったのか、どうか。

    伊坂先生の、ラストへ向かっていくシーンは毎度のことながら苦しく、震えが止まらなくなったりする。それでもページをめくる手が止まらないんだ。
    あとがきで、アクションシーンについてこう触れています。
    「アクションをただ文章化するだけでなく、文章だからこそ楽しめる工夫を凝らすことを意識したくなります」
    ここ何作品か、思い当たるところありまくりで。最近は本当に、躍動感・臨場感あるシーンをとても丁寧に、ページを割いている感があって、そうかそういうことか、と、妙に納得したり。アクションシーンだけでなく、アクションシーンへ盛り上げていくまでのパフォーマンスや、それに付随する細やかな心理描写も毎度のことながら秀逸です。これが、手を震えさせながらも、ページを次から次へと進ませる。

    ずっと一人の作家さんの作品を読み続けていると、作家さんの変化に気付けたり、今大切にしていることが分かったり、それを体感できるのが、醍醐味。

    次回作では、どんな世界へ連れて行ってくれるんだろうと、またそんな気持ちにしてくれる。

  • 製菓会社広報部に勤める僕こと岸は製品の異物混入のクレーム電話をかけてきた女性の夫で、都議会議員の池野内、ダンスグループの人気メンバーの小沢ヒジリと知り合います。
    三人は八年前、金沢のホテルに偶然、一緒に宿泊した際火事に遭っています。

    そして僕と僕の妻は、サファリランド「サンファンランド」で猛獣に襲われ、側にいたヒジリと池野内議員の機転により救われるという事件も起きます。

    その後、池野内議員が、自分たち三人が「夢の中で、あの生き物に勝つと現実で直面している問題が解決するんですよ」と言い出します。
    「異物混入も戦いに勝ったから大事にならずに済んだのだ」と言います。
    「八年前の火事の時、助かったのも、オオトカゲに三人で、夢の中で勝ったからだ」と言います。
    僕は半信半疑ですが、小沢ヒジリも同調するようになります。

    そして、十五年後、僕の娘の佳凛が世界的に流行し始めた驚異的な新型インフルエンザに患り、強制的に隔離されます。そして、海外から帰ったヒジリもり患して重篤で、命が危険になります。

    そして僕は、池野内厚生労働大臣の甚大なる助けにより、解決策を見出していきますが、そこにまた敵が現れて阻止しようとするのと、最大の戦いが始まります。

    最後は、いつも通り伏線が鮮やかに回収されていくさまが見事です。
    伊坂さんの作品は『フーガはユーガ』『スピンモンスター』と少々つらい話が続きましたが、今回はちょっと不思議な冒険活劇です。安心して読めました。
    川口澄子さんのコミックパートがついていて、優しいタッチの線に癒されます。

  • ワクワクファンタジー小説なのだろうけれど、可もなく不可もなくと言った内容。物語に結論を求めてはいけないのかも知れないが、私の理解力が足りないのか結局何が言いたかったのかがわからない。読み物としての導入は面白く、期待しながら進めるもちょっと残念な終わり方。でも、未来予測をしていた伊坂先生は本当に凄い!!

  • う〜ん、どうかなぁ。
    エンターテインメント性はあるし、するする読める語り口とか、いつもの伊坂ワールドで嫌いではないんだけど…

    伊坂さんの文体は、村上春樹さんの文体に似ている、と常々思うが、この小説は「あっちの世界」と「こっちの世界」を主人公が行き来する構成まで似ていた。
    村上さんは何の脈絡もない2つの世界が繋がっているように読ませてしまう力があるけど、伊坂さんのこの小説に関しては残念ながら多少強引さが否めない。

    次作に期待します。

    ちなみに、「クジラアタマの王様」とはハシビロコウの学名(ラテン語)。ハシビロコウは嘴と目つきがとても凛々しい鳥で東京だと上野動物園で見られるらしい。

    • やまさん
      たけさん
      こんばんは。
      やま
      たけさん
      こんばんは。
      やま
      2019/11/09
  • ハシビロコウ、火事、そして夢。
    幾つもの共通点が、出逢うはずのなかった三人の男達を結びつける。
    自分の中に存在する別の"自分"が、こことは違う場所で闘い続ける。
    そして現実と夢が重なり合う時、新たな敵に追い詰められる。

    要所要所に漫画を取り入れる、という伊坂さんの新しいチャレンジに楽しませてもらった。
    作品のイメージを崩さずに、むしろいいアクセントになったと思う。
    相変わらず伏線の回収も鮮やかで。
    伊坂さんの挑戦はどこまで続くのか。
    次回作への期待感も高まってくる。

  • 伊坂作品らしい冒険小説。
    モンスタークレイマーとか 炎上とか 自然災害によるインフラ破壊とか 薬屋と政治家の癒着とか 使われている素材は 生々しくイマを反映する。
    社会風刺であり 政治風刺である。

    中でも 後半に据えられているのはパンデミック。
    たぶん  SARS MARS 豚インフルなどから着想を得ていらっしゃるのだろうし 2015年のTEDでのゲイツの発言や ダン・ブラウンのインフェルノ 上橋菜穂子の鹿の王 など ウイルスをモチーフにしたヒット作もある。
    作品作りのリサーチをすれば 普通に出会う素材ではあったのだろう。

    それでも、人々やメディアの反応 薬事をめぐるあれこれは 現在進行形でのコロナ禍とかなりシンクロしている。伊坂氏の社会を見る目の確かさをあらためて感じる。
    ちょうど 1年前 2019年7月9日に出版された作品ゆえ、”伊坂は預言者か!?”というコメントが並ぶのも当然でしょう。

    ただ あくまでも娯楽作品らしく お話自体は軽やかに進む。小説のアクションシーンを補完するために 漫画を挿入したい というアイディアが以前からあったらしい。
    本作ではそれを実現。
    ハシビロコウの登場も いかにもビジュアルを意識した作品にふさわしい。
    エンタテイナーだなぁと思う。

    ずっと放置していたのだけれど コロナ禍の時期に読んでちょうどよかった。
    これ、子供向けにも 書き直されないかなぁ ......

  • 食品メーカーに強める岸は、商品への異物混入騒動に巻き込まれる。そのクレームの主の夫である都議会議員から、過去に同じ騒動にいたことと、一緒に夢で戦う話を聞かされるが、岸は覚えていない。しかし、同じ夢に出ていたアイドルも含めて、騒動に巻き込まれていく。

    夢のシーンは一部イラストによる話となっている。途中からどんな仕組みがわかるものの、ちょっとイラストパートは、説明が足りない感じがした。

    話は、人間の嫌な感じが出てくるところから、シンプルなオチで笑わせたりするのが、ありふれてるかもしれないが、よかった。けっこうイラッとした展開からのオチだからと思う。

    後半の感染症のところは、現在の状況に重なり、特に周囲の感じやそう言った情報を得たときの心理描写が本当にそうなっている面があると思わせる。近所で発生したようだ情報が家族間で流れるところを含め、情報の伝播の感じが、身の回りでもあったのと同じで、ちょっと怖い。物語中にもあった新型インフルエンザの時の状況を参考にしていると思うが、やはり実際そうなってしまったところが多いと思った。

    その点は、1章の異物混入の話でのマスコミやネット展開も含め、人の考え方や行動というところで、この物語が語りたかったことなのかと思う。

  • 伊坂幸太郎作品としては5冊目の読了となりました。

    発売されてからずっと気になっていた一冊ですが、なかなかこれが意味不明な^^;

    あっ、タイトルである「クジラ頭の王様」ってラテン語でハシビロコウのことだそうです。

    夢と現実がリンクし、物語を構成させていくのですが、なんか不思議な物語でした。

    長編小説の中にセリフの無いマンガのようなシーンが挿絵のごとくちょいちょい挟まれてきます。

    確かにこれは斬新な...

    本作が好きかと言われれば...

    まぁ、伊坂幸太郎ワールドらしい作品ということでいいのかな。

    2019年7月5日第一刷発行の本書はパンデミックと化した新型コロナウイルスの予言書!?


    説明
    内容紹介
    待望の最新書き下ろし長篇小説

    巧みな仕掛けとエンターテインメントの王道を
    貫いたストーリーによって、
    伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放った
    ノンストップ活劇エンターテインメント。


    異物混入、政治家、アイドル、
    人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥――。

    伊坂幸太郎の神髄がここに。
    内容(「BOOK」データベースより)
    製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速していく。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。巧みな仕掛けと、エンターテインメントの王道を貫いたストーリーによって、伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放つ。
    著者について
    伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)
    1971年生まれ、千葉県出身。東北大学法学部卒。2000年、「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー俱楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞を、短編「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。08年には『ゴールデンスランバー』で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞、14年、『マリアビートル』で大学読書人大賞を受賞。その他の小説に『シーソーモンスター』『フーガはユーガ』『ホワイトラビット』『AX』『サブマリン』『陽気なギャングは三つ数えろ』『火星に住むつもりかい?』などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    伊坂/幸太郎
    1971年生まれ、千葉県出身。東北大学法学部卒。2000年、『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞を、短編「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。08年には『ゴールデンスランバー』で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞、14年、『マリアビートル』で大学読書人大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • コロナ禍で読む後半1/4の展開に唖然…
    ホラーではないけど、その部分は背筋がゾクゾクしちゃいます!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    製菓会社のお客様係に勤める岸。
    自社製品に異物が混入している!というクレーム電話から、すべてが始まった…

    夢と現実がリンクしている?
    夢で勝てれば現実でも幸運が、逆に負ければ不運が迫る?
    これは夢の話か、それとも…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    すこし読むと挟みこまれる、アメリカンコミックのような絵。
    なんじゃこれは??とおもっていたら、夢世界を絵にしたものだったようです。

    淡々と、でもブラックユーモアのある文章で読みやすいのですが、お客様係への苦情、岸の妻は妊娠中、芸能人のヒジリ、お菓子、夢、政治家などなど、バラバラにしか見えないものばかりなので、それらが何に向かおうとしているのかまったくわからないまま読み進めるのが、最初のうちはすこしつらかったです。

    しかし後半1/4の展開に戦慄…!
    この話、いつ書かれたもの?!と出版年をマジマジと見てしまいました…
    全然ホラーではないのに、さらっと書かれた368ページの内容は本当に怖かった…
    コロナ禍で読まなければ、こんなに怖くなかっただろうに…恐るべし。

    前半の歩みが遅めなので、焦らされて離脱する場合もあるかもしれませんが、その場合は368ページあたりと、出版年だけでもみて、ぜひゾクゾクとしていただければと思います。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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