- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140057063
作品紹介・あらすじ
待望の最新書き下ろし長篇小説
巧みな仕掛けとエンターテインメントの王道を
貫いたストーリーによって、
伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放った
ノンストップ活劇エンターテインメント。
異物混入、政治家、アイドル、
人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥――。
伊坂幸太郎の神髄がここに。
感想・レビュー・書評
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いやー、今回もめちゃくちゃ楽しかった。
早速「ハシビロコウ(学名:クジラアタマの王様)」の画像を検索して、一人でゾッとしてしまった。(ハシビロコウTシャツなんてのも見つけてしまった。)愛嬌のある顔してるのに、やっぱり怖い。
第四章はコロナ禍の予言書?
まさにほんの少し前、コロナが流行し始めた頃の世の中はこんなだった。
本当にコロナ禍の前に書かれたもの?すごすぎる。 -
伊坂先生に子どもが生まれてからか、作品に、”大切な存在を守るため”という部分が協調されるようになってきている感じがする。
一方で、「シーソーモンスター」からの伏線、P236、P253!他にもあるのかもしれないけれど、古参を放置しない、過去作品とのリンクを取り入れてくださっているところは、なんとも言葉にしがたい喜びがあります。
漫画部分を物語の本筋部分に載せるのではなく、本筋とは少しずれた部分に載せることで、読者側にも「あー、そんな描写あったなー」と、ぼんやりとだけれど鮮明に思い出させるような、つまりは夢で見たような感覚を彷彿とさせる、そうした効果があったのか、どうか。
伊坂先生の、ラストへ向かっていくシーンは毎度のことながら苦しく、震えが止まらなくなったりする。それでもページをめくる手が止まらないんだ。
あとがきで、アクションシーンについてこう触れています。
「アクションをただ文章化するだけでなく、文章だからこそ楽しめる工夫を凝らすことを意識したくなります」
ここ何作品か、思い当たるところありまくりで。最近は本当に、躍動感・臨場感あるシーンをとても丁寧に、ページを割いている感があって、そうかそういうことか、と、妙に納得したり。アクションシーンだけでなく、アクションシーンへ盛り上げていくまでのパフォーマンスや、それに付随する細やかな心理描写も毎度のことながら秀逸です。これが、手を震えさせながらも、ページを次から次へと進ませる。
ずっと一人の作家さんの作品を読み続けていると、作家さんの変化に気付けたり、今大切にしていることが分かったり、それを体感できるのが、醍醐味。
次回作では、どんな世界へ連れて行ってくれるんだろうと、またそんな気持ちにしてくれる。 -
ワクワクファンタジー小説なのだろうけれど、可もなく不可もなくと言った内容。物語に結論を求めてはいけないのかも知れないが、私の理解力が足りないのか結局何が言いたかったのかがわからない。読み物としての導入は面白く、期待しながら進めるもちょっと残念な終わり方。でも、未来予測をしていた伊坂先生は本当に凄い!!
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う〜ん、どうかなぁ。
エンターテインメント性はあるし、するする読める語り口とか、いつもの伊坂ワールドで嫌いではないんだけど…
伊坂さんの文体は、村上春樹さんの文体に似ている、と常々思うが、この小説は「あっちの世界」と「こっちの世界」を主人公が行き来する構成まで似ていた。
村上さんは何の脈絡もない2つの世界が繋がっているように読ませてしまう力があるけど、伊坂さんのこの小説に関しては残念ながら多少強引さが否めない。
次作に期待します。
ちなみに、「クジラアタマの王様」とはハシビロコウの学名(ラテン語)。ハシビロコウは嘴と目つきがとても凛々しい鳥で東京だと上野動物園で見られるらしい。 -
伊坂作品らしい冒険小説。
モンスタークレイマーとか 炎上とか 自然災害によるインフラ破壊とか 薬屋と政治家の癒着とか 使われている素材は 生々しくイマを反映する。
社会風刺であり 政治風刺である。
中でも 後半に据えられているのはパンデミック。
たぶん SARS MARS 豚インフルなどから着想を得ていらっしゃるのだろうし 2015年のTEDでのゲイツの発言や ダン・ブラウンのインフェルノ 上橋菜穂子の鹿の王 など ウイルスをモチーフにしたヒット作もある。
作品作りのリサーチをすれば 普通に出会う素材ではあったのだろう。
それでも、人々やメディアの反応 薬事をめぐるあれこれは 現在進行形でのコロナ禍とかなりシンクロしている。伊坂氏の社会を見る目の確かさをあらためて感じる。
ちょうど 1年前 2019年7月9日に出版された作品ゆえ、”伊坂は預言者か!?”というコメントが並ぶのも当然でしょう。
ただ あくまでも娯楽作品らしく お話自体は軽やかに進む。小説のアクションシーンを補完するために 漫画を挿入したい というアイディアが以前からあったらしい。
本作ではそれを実現。
ハシビロコウの登場も いかにもビジュアルを意識した作品にふさわしい。
エンタテイナーだなぁと思う。
ずっと放置していたのだけれど コロナ禍の時期に読んでちょうどよかった。
これ、子供向けにも 書き直されないかなぁ ...... -
食品メーカーに強める岸は、商品への異物混入騒動に巻き込まれる。そのクレームの主の夫である都議会議員から、過去に同じ騒動にいたことと、一緒に夢で戦う話を聞かされるが、岸は覚えていない。しかし、同じ夢に出ていたアイドルも含めて、騒動に巻き込まれていく。
夢のシーンは一部イラストによる話となっている。途中からどんな仕組みがわかるものの、ちょっとイラストパートは、説明が足りない感じがした。
話は、人間の嫌な感じが出てくるところから、シンプルなオチで笑わせたりするのが、ありふれてるかもしれないが、よかった。けっこうイラッとした展開からのオチだからと思う。
後半の感染症のところは、現在の状況に重なり、特に周囲の感じやそう言った情報を得たときの心理描写が本当にそうなっている面があると思わせる。近所で発生したようだ情報が家族間で流れるところを含め、情報の伝播の感じが、身の回りでもあったのと同じで、ちょっと怖い。物語中にもあった新型インフルエンザの時の状況を参考にしていると思うが、やはり実際そうなってしまったところが多いと思った。
その点は、1章の異物混入の話でのマスコミやネット展開も含め、人の考え方や行動というところで、この物語が語りたかったことなのかと思う。 -
コロナ禍で読む後半1/4の展開に唖然…
ホラーではないけど、その部分は背筋がゾクゾクしちゃいます!
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製菓会社のお客様係に勤める岸。
自社製品に異物が混入している!というクレーム電話から、すべてが始まった…
夢と現実がリンクしている?
夢で勝てれば現実でも幸運が、逆に負ければ不運が迫る?
これは夢の話か、それとも…
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すこし読むと挟みこまれる、アメリカンコミックのような絵。
なんじゃこれは??とおもっていたら、夢世界を絵にしたものだったようです。
淡々と、でもブラックユーモアのある文章で読みやすいのですが、お客様係への苦情、岸の妻は妊娠中、芸能人のヒジリ、お菓子、夢、政治家などなど、バラバラにしか見えないものばかりなので、それらが何に向かおうとしているのかまったくわからないまま読み進めるのが、最初のうちはすこしつらかったです。
しかし後半1/4の展開に戦慄…!
この話、いつ書かれたもの?!と出版年をマジマジと見てしまいました…
全然ホラーではないのに、さらっと書かれた368ページの内容は本当に怖かった…
コロナ禍で読まなければ、こんなに怖くなかっただろうに…恐るべし。
前半の歩みが遅めなので、焦らされて離脱する場合もあるかもしれませんが、その場合は368ページあたりと、出版年だけでもみて、ぜひゾクゾクとしていただければと思います。
感想を読ませて頂いて、本棚登録しちゃいました、面白そうですね。
私、ハシビロコウのレジャーシート愛用してます。
感想を読ませて頂いて、本棚登録しちゃいました、面白そうですね。
私、ハシビロコウのレジャーシート愛用してます。
コメントありがとうございます。
レジャーシート!
ハシビロコウグッズ、色々あるんですね。こんなにメジャーな鳥だったなんて知り...
コメントありがとうございます。
レジャーシート!
ハシビロコウグッズ、色々あるんですね。こんなにメジャーな鳥だったなんて知りませんでした。