西田幾多郎 <絶対無>とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140093368

感想・レビュー・書評

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  • 〈わたし〉の起源と有無をめぐって。主語ではなく述語としての〈わたし〉。哲学書らしい哲学書だ。西田は紛れもなく哲学者だった。

    本文に時折出てくる注がなにより興味深かった。

    ・p24。哲学の難解な表現の多くは、通常の言語では表現できないほど自明なことを表現している。
    ・p69。哲学は科学と違って非民主的な営みで、凡人は天才の並外れた技芸の前にただひれ伏すしかない。ここで、天才とは普通の人が即座にわかってしまうことがなぜかどうしても分からず、しかも信じがたいほど諦めが悪く、執拗にその理路を問い続ける化け物のこと。
    ・p83。私は主体ではなく場所であり、しかも絶対無の場所である。

  • 純粋経験―思う、ゆえに、思いあり:
    1長いトンネルを抜けると―主客未分の経験
    無私の視点
    日本語的把握と英語的把握
    2知即行―真理と意志は合致する
    意志はどう捉えられるか 知識.倫理.宗教―主客の合一としての
    3デカルトVS.西田幾多郎
    観念論的要素を取り去れば
    「われ思う、ゆえに、われあり」の第一の二義性
    「われ思う、ゆえに、われあり」の第二の二義性
    西田はデカルトの何を拒否したのか

    場所―「絶対無」はどこにあるのか(言1語哲学者としての西田:
    確信犯ウィトゲンシュタインとの対決
    2自覚―「私を知る」とはどういうことか
    「英国に居て完全なる英国の地図を」
    私に於いて私を知る
    3場所としての私
    「私」は主格ではありえない!/
    私は存在しないことによつて存在する
    4場所的論理―「がある」と「である」
    真の個物とは何かー超越的主語面と超越的述語面
    場所の自己限定のプロセス
    5絶対無
    無の場所としての意識
    自覚において布は無化され、言語において無は有化される

    私と汝―私は殺されることによって生まれる:
    1思想の体系化
    2田辺元の西田批判
    種の理論と場所の論理
    「西田先生の教を仰ぐ」
    西田と田辺の対立の意味
    3存在する私への死
    私と汝は絶対に他なるものである
    汝は神のごとく私の底から働く
    私は主格となり、一個の自我となる

  • 読んでるときは幾多郎がわかった気になったのだ。

  • 2016/9/11読了。

  • とにかく言っていることに根拠がない。言葉遊びにしか思えない。そうした解釈があり得るのはわかるし、著者の中でそれが整合しているのもわかる。しかしそれがわたしたちにとってどういう意味があるのか全然わからない。自己満足なのか?
    カントだってヘーゲルだってフッサールだってベルクソンだって、ソクラテスだってプラトンだってアリストテレスだって、自己満足のために哲学はしていない。これは何なのだ?

  •  西田幾多郎を読んだことがないので、入門書として優れているのかどうかは判断できない。しかし、著者自身がこの本は西田思想の紹介書ではなく西田の思想に沿って自身が思索した結果だと言い切っているので、入門書としての価値云々は問題にならないのだろう。
     本書の大半は、西洋思想との対比で西田をどのように位置づけられるかを論じている。デカルトの二義性を出発点に、あり得たもう一つの方向として西田があるという結論は、非常に整理されているが、あまりにきれいに収まりすぎている感もある。しかし、自身でも西田を読んでみたいという気持ちになったという点では、よい入門書なのであろうと思う。

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著者プロフィール

1951年生まれ. 専攻, 哲学・倫理学. 慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位所得. 現在, 日本大学文理学部教授.
著作に, 『〈私〉の存在の比類なさ』(勁草書房, のち講談社学術文庫),『転校生とブラックジャック──独在性をめぐるセミナー』(岩波書店, のち岩波現代文庫), 『倫理とは何か──猫のインサイトの挑戦』(産業図書, のちちくま学芸文庫), 『私・今・そして神──開闢の哲学』(講談社現代新書), 『西田幾多郎──〈絶対無〉とは何か』(NHK出版), 『なぜ意識は実在しないのか』(岩波書店), 『ウィトゲンシュタインの誤診──『青色本』を掘り崩す』(ナカニシヤ出版), 『哲学の密かな闘い』『哲学の賑やかな呟き』(ぷねうま舎), 『存在と時間──哲学探究1』(文藝春秋), 『世界の独在論的存在構造──哲学探究2』(春秋社)ほかがある.

「2022年 『独自成類的人間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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