- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140093528
作品紹介・あらすじ
「郊外に一戸建てを持つ」のがゴールという、団塊世代のライフスタイルは終わりを迎えた。郊外はいま、施設の老朽化や住民の高齢化など、日本社会の抱える問題が集中的に現れる場となっている。だからこそ、日本の再生を郊外から考えなければならない。評論家・三浦展と建築家・藤村龍至のもと、世代と領域を超えて論者が集い、日本社会の未来を探る。
感想・レビュー・書評
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郊外をテーマとした論考集.千葉海浜ニュータウンの団地再生を取り上げた鈴木雅之氏「建物・人・お金を再起動させる仕事」はとても興味深かった.
・小さな要素の繋がりの偶発的なちょっとした「きっかけ」を丁寧に紡ぎ,繋がりを誘発し,循環させることが「創造的なまち」づくりを持続的に,そしてイノベーティブにすることになる.
・NPOを通して様々なプロジェクトを動かす時に,ユニークな要因が予期せず発生し,関連し合ってさらに大きな活動に姿を変えることがある.
・一歩踏み出すと新たな担い手やキーパーソンに巡り合う事もある.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
郊外=都会と田舎の間に生まれた場所であり、今後急激に高齢化が進み、消滅する可能性のあるエリアについて語った本。戦後から高度成長期にかけては、都市部に流入する労働者の住処を提供し、バブル期以降は再開発の波と老朽化の狭間でエリア間の格差が広がっている。
父親は往復数時間をかけて都心の会社に通勤し、母親は専業主婦として家庭と育児を担当する。この郊外で醸成された理想的な家族モデルは、主に3つの段階を踏んでいる。
戦後から高度成長期の「夢の時代」においては、都心部は第二次産業を中心とする湾岸開発が進められ、煤と煙で汚染された工場地帯に通勤する労働者のために郊外に団地がつくられた。郊外は地方から出てきた若い夫婦が戦争の記憶から逃れて自分たちの暮らしを築く場所であった。
ポスト高度成長期からバブル期の「理想の時代」においては、日本社会は物質的に急速に豊かになっていく。会社員は出世をして郊外にマイホームを建て、マイカーで出かけるのが理想的な家族モデルとされ、鉄道沿線を中心にニュータウンの名で宅地造成が進められていった。
バブル崩壊後から現在に至る「虚構の時代」では、これまでの経済成長一辺倒の社会とそれに伴うライフスタイルの矛盾が噴出していく。子どもたちが独立するとニュータウンには高齢者が残り、熟年離婚や孤立死といったこれまでの家族モデルに内包していた現象が明らかになった。
これら郊外における時代変遷とは、つまり団塊世代のライフスタイルの変化と重なる。郷土愛を持たない郊外に、資産価値のなくなった一軒家を抱え、これからどうすればよいかを模索する高齢者と呼ぶにはまだ若い世代。まさしく郊外のニュータウンが置かれた立場である。
現状の郊外における課題整理と時代背景を学ぶ上では参考になった。一方で現状分析のままではあまりにも救いがないために、続編として郊外において萌芽しつつある地域コミュニティやソーシャルビジネスの実例を取り上げられると、面白い内容になると思った。 -
まちのたたみ方を考える、というのは新鮮だった。協働というのも、ソフトランディングの一助として考えるならわるくない。つまり、地域全体がその衰退を傍観者として眺めるのではなく、その衰退をゆるやかにすべく、ひととひととの、ひとと地域との繋がりを濃くしていくことにより、運動の一部となること、没入することが大切だと思った。
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郊外型都市の今後についてを、様々な分野で活躍している人が語ったもの。
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2013.05.15 少子高齢化社会の郊外の問題が詰まっていて、勉強になる。建築家的、都市開発的なアプローチが中心となっているが面白い。
社会学者の上野千鶴子さんの突っ込みはさすがです。スゴい。