現代歌枕 歌が生まれる場所

  • NHK出版 (2013年2月20日発売)
4.00
  • (0)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 20
感想 : 1
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784140162118

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 銀行とは銀をはからひせむ部屋か銀行といふその名うるはし
      葛原妙子

     能で、亡霊が現れる場所はどこか。多くが名所旧跡で、和歌では「歌枕」として知られる土地でもある。その土地自体が聖性を喚起する、いわばパワースポットだ。
     そのような歌枕は、現代ではどのような位置づけにあるのだろう。梅内美華子がテレビテキスト「NHK短歌」で連載していた「現代歌枕」が、この度単行本となったが、私たちの生活空間に根ざした場所が歌枕として解説されている。
     たとえば、コンビニエンスストア、スタジアム、水族館、エレベーターなど。さらには永田町や、現代史を象徴する沖縄、チェルノブイリなども。それぞれを歌った現代短歌が引用され、アンソロジーとしても鮮度が高い。
     さて、意外なところでは、「銀行」。

      銀行は心臓なれば赤黒き血を送りつつ街角に建つ 
        栗木京子

     なるほど銀行は「心臓」部。法定通貨の日本銀行券を流通させ、収める場所である。無理のない自然な拍動を保ってほしいものだが、「赤黒き血」は、ときに偏った流れもしてしまいそうだ。

      縄文期一万年はつづきしと聴きたるのちに銀行へ行く
        大滝和子

     過去には、貨幣という価値観のない長い時代があった。そんなころの人間に思いを馳せつつ、経済的生活を生きる私たち。
     カネに左右される現実にいると、ふと、葛原妙子の掲出歌のような美の発想に心ひかれてしまう。歌には、美しい純銀の物語をつむぐ力が、ある。

    (2013年4月21日掲載)

全1件中 1 - 1件を表示

梅内美華子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×