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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784140162118
感想・レビュー・書評
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銀行とは銀をはからひせむ部屋か銀行といふその名うるはし
葛原妙子
能で、亡霊が現れる場所はどこか。多くが名所旧跡で、和歌では「歌枕」として知られる土地でもある。その土地自体が聖性を喚起する、いわばパワースポットだ。
そのような歌枕は、現代ではどのような位置づけにあるのだろう。梅内美華子がテレビテキスト「NHK短歌」で連載していた「現代歌枕」が、この度単行本となったが、私たちの生活空間に根ざした場所が歌枕として解説されている。
たとえば、コンビニエンスストア、スタジアム、水族館、エレベーターなど。さらには永田町や、現代史を象徴する沖縄、チェルノブイリなども。それぞれを歌った現代短歌が引用され、アンソロジーとしても鮮度が高い。
さて、意外なところでは、「銀行」。
銀行は心臓なれば赤黒き血を送りつつ街角に建つ
栗木京子
なるほど銀行は「心臓」部。法定通貨の日本銀行券を流通させ、収める場所である。無理のない自然な拍動を保ってほしいものだが、「赤黒き血」は、ときに偏った流れもしてしまいそうだ。
縄文期一万年はつづきしと聴きたるのちに銀行へ行く
大滝和子
過去には、貨幣という価値観のない長い時代があった。そんなころの人間に思いを馳せつつ、経済的生活を生きる私たち。
カネに左右される現実にいると、ふと、葛原妙子の掲出歌のような美の発想に心ひかれてしまう。歌には、美しい純銀の物語をつむぐ力が、ある。
(2013年4月21日掲載)詳細をみるコメント0件をすべて表示
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