本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (32ページ) / ISBN・EAN: 9784140361252
みんなの感想まとめ
宇宙と地球の美しさをテーマにしたこの作品は、ファンタジーと現実が巧みに融合した物語です。お月さまが地球を訪れ、宇宙飛行士と共にその美しさを語り合う様子が描かれ、読者は心を癒される瞬間を体験します。特に...
感想・レビュー・書評
-
いつもの図書館の特設コーナーより、月の絵本特集。
青山七恵さんの小説は読んだことないが、本書のお話にはすっと入り込める親しみやすさがありながら、共感できる部分もあった、それは月を女性に擬人化したことによって、もしも月に人間のような感情が宿ったとしたら、いつも私たちに優しくて温かい光を投げかけてくれるけれど、彼女自身は一人で地球の周りを延々と回り続けているだけで、誰ともコミュニケーションすることができない、そんな物寂しさが浮かび上がるようで、忽ち切なさが募る。
そして、本書のお月さまは、地球に住む人達から「きれいね」「きれいだね」と言われることに嬉しさを覚える反面、彼女が「地球ってきれいね」と呼びかけても誰も答えてくれないことに寂しさを感じており、そんなことを物語の冒頭から読み手が知ることで、これはいったいどんな展開になるのだろうと気になってしまう。
そんな中、実は過去に一度だけ答えてくれた人がいるそうで、それが月に初めて着陸した宇宙飛行士であることには、実際に起こった史実をファンタジーと上手いこと絡めた、なんとも夢のある展開であり、更に彼女が何よりも嬉しかったことが、彼がきれいな旗を飾ってくれたことよりも、地球のお話をたくさん聞かせてくれたことよりも、チョコレートがたっぷりかかったつやつやのドーナッツを、お土産に持ってきてくれたことであったことには、まさに女性そのものの素朴な幸せが表れているようで、ほのぼのとした気分になりながらも、それを思い出すことで今の寂しさを紛らわせようとするお月さまの心境を慮ると、なんとも複雑だ。
そんな思いを抱く中、地球から時折宇宙に向かって飛んでくるロケットを見たお月さまは、私もロケットみたいに地球を旅して、あの宇宙飛行士さんにドーナッツのお礼を言いに行けばいいんだと思い付き、更には地球への好奇心も加わったことで、意気揚々とその体を小さくして地球へと飛んでいく。
その後の展開は、まさか月がこんなところにとは誰も思わない面白さがある中、やはり見た目では分からなくとも、月だけが持つであろう特別な存在感を、絵からも感じ取ることができる描写に優れたのが、刀根里衣さんだと思う。
刀根さんの絵は、表紙を見るとものすごく真摯に月そのものの美しさを描いている反面、その周りには可愛らしくデフォルメした、まるでファンシーグッズにでもなりそうな手描き風の絵柄が散りばめられているのが特徴的で、要するに現実には存在しない木々や花なども本編の中で描いているのだけれども、時折、その組み合わせに心を持っていかれそうになる程の美しい絵に出会うことがあり、好き嫌いの差は大きいものの、その分余計に深く印象に残るため、ずっと見ていたくなる魅力がある。
例えば、月と夜空の色合いの様々な描写には、それぞれの場面毎のお月さまの心境を写し取ったような意図も感じられて、最初の見開きの紺色に近い夜空に浮かぶのは、表紙の「わたしはここよ」と云わんばかりの濃い黄色に比べて、やや薄らとしたほのかな色合いをした月を様々な色が円状に囲んでいる様子に、絵としての美しさはあるものの、どこか儚さを感じさせる、それは上記した嬉しさと寂しさが同居した複雑さを表しているのだと思われた。
また、中盤の月の浮かばない漆黒とも呼べるような夜空は、何か星の光だけではちょっと物足りないものを感じながら、その時のお月さま自身の悲しみや喪失感をも映し出している中、寄せては打ち返す波の青がワンポイントとして胸に突き刺さる。
そして、それとは打って変わって終盤の夜空には、まるでお月さま自身の晴れ晴れとした様子がそのまま描かれたような、幸せに裏打ちされた優しさと温かさを伴った光であることが、その照らされている木々の穏やかな青のグラデーションにも美しく表れている中、お月さまの色合いが彼女自身を象徴する色だけで構成されていることも、私からしたらとても嬉しく感じられて、ああモヤモヤが晴れて自信を得ることができたんだなということが、最初の見開きと比較すると一目瞭然であることに、やはりプロの絵描きさんというのは心の変化をしっかりと絵で表すことができるのだということに、改めて驚かされる。
そんな月だけが持つ特別さは、お月さまの地球での旅に於ける絵にも鮮やかに輝いていて、一見、ただ穏やかに光っているように思われるのだけれども、それが刀根さんの絵にかかると、お月さまが花や貝殻の中に入っていても、象さんの首飾りになっていても、砂漠を走る車のタイヤになっていても、目が離せない不思議な存在感を放っていて、ここでも目に優しい穏やかな青のグラデーションを効果的に挟みながら、それぞれの場面を上手く一枚絵に纏め上げた、その完成度の高さが印象深い。
地球にやって来たお月さまは、最初こそいろんなところを旅して、『地球ってヘンテコだけど、ほんとうにおもしろいところね!』と楽しんでいたけれど、あの宇宙飛行士さんに中々会えないまま長い時間が過ぎ去り、地球の人々も彼女のことなど忘れてしまったのではないかと感じていたけれど、本当にそうだったのだろうか?
ただ、仮に私がお月さまだとすると、そうした諦観めいたものを感じてしまうかもなと思ってしまう、そうした点に本書は私たちの人生とも重ね合わせているのだと思われて、時には信じたくても、信じることを諦めたくなることが人生にはある。しかし、そこで諦めずにもう少し前を見て歩いて行けば景色が変わるのかもしれない、そんなことを教えてくれているような気がする。
また、それは人間がどれだけお月さまを必要としているかの裏返しでもあり、星とは違った不思議な癒しを与えてくれるお月さまの魅力は、本書のように、もしも空に月が無かったらという形で考えるきっかけを与えてくれながらも、そのファンタジーの世界では、お月さまと人間がコミュニケーションを取ることができる、そんなことを想像しながら夜空を見上げれば、新たな月の魅力に気付くことができるのかもしれない、そんな月と人との距離を縮めてくれた本書は、ほぼ同年代コンビである青山さんと刀根さんだからこそ為し得たのかもしれない、女性から見た観点をふんだんに取り入れた斬新な絵本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お月さまが地球へ
地球ってキレイだねと語り合った宇宙飛行士に会いに・・・
今は、どんな風に地球を見ているかしら?
お月さまをみる機会が増えました。
これもブク友さんの影響です。
-
〈 青山七恵と刀根里衣、同時代を生きるふたりの女性作家が織りなすファンタジーの世界
大切なひとに教えてもらった わたしがわたしらしく輝ける場所 〉
たださんの丁寧な書評
私は深く考えることもなく絵の美しさに入り込む
子どもたちに「月」をテーマに読みきかせ
ファンタジーと科学の現実
ほー、これはそこをうまくつなげてるなあと
子どもたちに伝わるといいな
≪ あの月も ひとりぼっちで かがやくよ ≫-
はまだかよこさん、こんばんは(*'▽'*)
私の名前を出していただき、恐縮です。
レビューに書かれてあった通り、刀根さんの絵の美しさと、青...はまだかよこさん、こんばんは(*'▽'*)
私の名前を出していただき、恐縮です。
レビューに書かれてあった通り、刀根さんの絵の美しさと、青山さんのファンタジーと科学の融合した物語が、見事に噛み合っていながら、自分の存在が誰かの心の中にいつまでも残り続けることの嬉しさを、率直に感じさせてくれる絵本だと思います。
そういえば、月を擬人化した絵本ですと、この前のスズキコージさんもそうでしたね。
それぞれに月に対する見方の違いが興味深いですし、また子どもたちは子どもたちで異なる見方をしそうで、そうした楽しみが読み聞かせにはありますよね。2024/10/02 -
たださんへ
あれっ?
コメント書いたつもりが消えてました
あれっ
いつも深く読み取られ丁寧な書評に「おー、なるほど」と
私はう...たださんへ
あれっ?
コメント書いたつもりが消えてました
あれっ
いつも深く読み取られ丁寧な書評に「おー、なるほど」と
私はうわべだけですねー
でも、本が好き
絵本が好き
これからもよろしくお願いいたします2024/10/05 -
はまだかよこさん、こんにちは。
電子媒体ですから、そういうこともありますよね。
私も時折、送信エラーが出たので入力し直して再び送ったら、先...はまだかよこさん、こんにちは。
電子媒体ですから、そういうこともありますよね。
私も時折、送信エラーが出たので入力し直して再び送ったら、先のコメントが送信されていた等、色々と起こりますので(^_^;)2024/10/05
-
-
一緒に地球を眺めて「綺麗だね」と言いあって、ドーナッツをくれた宇宙飛行士さんにお礼を言いに降りてきたお月さま。会えてよかったね。
夜空と月の色が美しくて、癒されます。 -
お月様が地球に冒険に来るお話。
幻想的な絵が素敵! -
お月様の気持ちになれる絵本。
お月様いつもありがとうと思える絵本。 -
青や光の色使いがとても綺麗
-
10歳6ヶ月の娘
7歳6ヶ月の息子に読み聞かせ
刀根さんの絵が
幻想的で美しく
おはなしにぴったり。
娘の名前に 月 がついているので
お月さまの絵本には
ついつい反応しちゃう。
お月さまっていいよねえ。
きれいだよねえ。
そしてお月さまがずっと一人で
眺めていてくれた地球も美しい。 -
深く深く心に沁み渡るような群青の夜の色、淡い星の輝き、目の覚めるような眩しいお月様の黄色…スッと絵本の中に入っていけるような浮遊感がある絵も、誰かが恋しくなるようなじんわりするストーリーもため息が出るほど素敵。読み聞かせで声に出して読むとさらに良さが倍増する。
チョコレートのドーナッツでお月見も洒落ててオツだなぁ。
2歳10ヶ月の息子にはちょっと長めでまだ理解が難しかったと思うけど、一緒に眺めて聞いてくれてありがとう。 -
お話より、とにかく絵が好きです
-
優しくて切なくてえぐいほど色づかいが綺麗。
-
読者セラピーの本で「自分が誰からも必要とされていないと感じるとき」に読みたい本としてあげられていたので手に取る。絵はいい。とくに表紙。きれいだし幻想的だし。だけど、お話はあまり好きじゃないかな。
-
3歳10ヶ月の娘へ。
読み聞かせてあげる本と自分で読む本、2種類揃えてます。 -
お話はかわいく,絵は少し幻想的で素敵.でも雰囲気があってない.
-
青山七恵ととねさとえがタッグを組んだ作品。利根さんの絵はあたたかみがあって好きです。
-
請求記号:E||91||Wa
資料ID:W0187562 -
まんまるなお月さまを見てきれいと言ってくれる人はいるけれど、地球をきれいだと共感してくれる人はいない。
かつて、月にやってきて、旗を立てたり、ドーナツをくれた宇宙飛行士を除いて。
寂しくなったお月さまはちょっと旅に出ることにする。
ボールのなったり、明かりになったり。
最後、かつての宇宙飛行士がおじいさんになって孫と話しているところに遭遇する。
月が空から消えてみんな不安になっているのを知って、かつての宇宙飛行士とも会えて、空へ帰っていくのだった。
ドーナツをあげたというか、月にドーナツを持って行った話は本当なのかな。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
青山七恵の作品
本棚登録 :
感想 :
