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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784140803318
感想・レビュー・書評
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■ソフィー、という少女が突然現れた哲学の先生=アルベルトから、哲学の授業を受ける。この著書における、特徴としては、いわゆる、マトリョーシカ人形のような構造になっている、という点であろう。まず、ソフィーは読者の代弁者である。つまりアルベルト(=先生)から、哲学を学ぶという一番最小の仕組みがあり、次いで、ソフィーとアルベルトのやりとりを本として読むヒルデが第二の読者である。ということでヒルデが第二の代弁者となる。とはいえ、実はこれさらにもう一つ構造があって、そのやりとりをさらに上位から眺めている読者。
簡単に書けば以下のようになる。
・ソフィー:アルベルトから手紙をもらい、アルベルトと直接話している。
・ヒルデ:ソフィーとアルベルトのやりとりを文章で追いながら、自らあれこれ考えている。
・読者:ソフィーとヒルデを文章で追っている。
小説の構造としては非常に珍しくないのだが、この著書ではバークリが重大なカギを握らされている。上巻最後で紹介されたバークリはイギリス経験主義の最終形として紹介される。
※ここで簡単にイギリス経験主義について触れておくと、ソクラテスやプラトンの頃から、「理性」か「感覚」かという流れがあった。理性というのは人間の中に絶対的に正しいものがあり、外界と触れ行く中でそれを探していくとする。プラトンのイデアがある意味で一言でこの理性を一言で言い表しうるだろう。この理性派=大陸合理主義と表現し、反対に人間は白紙である。ここから、様々な感覚を通して経験を経ていくとするのが経験主義である。非常に簡潔に説明してしまっているが。
バークリはこの流れで紹介され、しかし、その感覚=経験すら実は確たるものではないのではないか?という懐疑をもたらしている。では、この感覚は誰のものか?というところで神のもの。ここで神を出してくるあたりが卑怯とも言えるのだが、つまり、我々の思考は実は誰かのものなのではないか?という懐疑は捨てられないといことなのである。ソフィーとアルベルトは彼らは自分で思いついたように思考しているが実は彼らは、ヒルデの父=少佐の操り人形でしかない。あるいは、荘子のように実は自分は蝶で、人間になった夢をみているのではないか?とも言える。そもそも、地球を一つの生命体として考えれば、我々は地球という一つの生命体のただの部品の一つ一つになってしまう。これを区分けする。例えば、一つの建物を一つの生命体としてしまえば、その建物のの内部にいる、人間は一つの生命体といった枠組みで括ることも、まあ不可能ではない。という、ユニークな視点を提供してくれるあたりがこの著書には面白味がある。後、哲学の解説書にしては文化にまで触れているあたりが乙かもしれない。
■批判点として挙げられるのは、ソフィーが優秀な生徒ではないのに優秀な生徒であるかのように描写されている点。彼女は同年代の少年少女にしては明らかに呑み込みがよく記憶力なども優れている。しかし、「優秀な哲学の生徒」ではない。彼女は聞いたことをほぼ鵜呑みにしている。自分なりの哲学観の兆しをまるで見せてくれない。彼女を追いかける側=読者として彼女にまるで脅威を抱かない。ヒルデに関しては問題外。
ここで一応、読者に対応する作者も連ねておく。
・ソフィー⇔アルベルト
・ヒルデ⇔ヒルデの父=少佐
・我々⇔ヨースタイン
といった形に、著者も三段構造になっているのだけれど、アルベルトはそれなりに面白味のある人物造形がされているが、少佐自体はかなり浅ましい安っぽいキャラクターになってしまっている。途中からこの本の構造自体が安っぽいものと化しかけてきているので、その観点から行くと結局ヨースタインまで安っぽくなってしまっているという連鎖がある。辛うじてアルベルトで保っているが、アルベルト自体も彼の独自の哲学観を繰り出しているかと言えば、実際には、この本における構造一本だけなのである。とりあえず、下巻を読み終えたところでもう一度感想を書きたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フェミニズムを意識している。主人公がソフィーという女性であるという設定が功を奏している。
物語形式だが、哲学の歴史、概念に関する説明は本格的。
ヒュームとブッダの類似性に驚く。ヒュームの複合概念、予断の考え方が興味深い。倫理的な物を含めて行動を決めるのは「感情」だという意見も。 -
本学OPACはこちらから↓
https://nuhm-lib.opac.jp/opac/Holding_list?rgtn=017871 -
哲学者の考えを俯瞰し物語形式で進んでいく、中学生くらいからでも読めそうな入門書的作品。
俺ちゃんなんかは、何かしら行き詰まった時に、考え方のヒントを貰うためによく哲学書を読んだりするけれど、ちょっと対極のスタンスなので苦戦。
少し考えて、ある程度答えが出たらすぐ切り上げるタチだしw
上巻は主にプラトンやソクラテス、近くてもデカルトあたりまでで、比較的思想が頭に入ってる学者が多いので難しさは感じなかった。 -
縦横無尽にソフィー(女子)が哲人たちに会いにいく。
そんな楽しい本です⭐️ -
哲学の本というよりも、哲学史の本といった方がいい。偉大な先人たちの紹介以上のものは無いけども、物語として面白い。
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読書会の課題本として読みました。十数年前のベストセラー小説、というイメージしかなかったのですが、哲学の本だったのですね。ずっとスルーしていました。哲学にちょっとでも興味のある人には、必読の書だと思います。本書のすごいところは、本当にわかりやすいところです。哲学書は、どんなにわかりやすいものでも、途中から用語や説明がさっぱり意味がわからなくなる、というイメージがあります。(最初から???、というのも結構あるように思います)そういうのに比べると、この本は異常にわかりやすいです。古代ギリシア以前から始まり、本書上巻では近代(ロック・ヒューム・バークリー)まで扱っていますが、「西洋史で聞き覚えのあるあの人は、こういうことを言っていたんだ」ということがよくわかりました。平易でわかりやすく、また小説としても読んでいて面白い本です。星5つ。
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西洋哲学史のおさらい。
三千年を解くすべをもたない者は
闇の中、未熟なままに
その日その日を生きる
というゲーテの言葉が印象的。 -
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哲学の歴史をわかりやすく、一つの物語として書いてある。哲学入門書には最適。中学生の時に初めて読んで、社会人になって改めて読み直した。
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前半は事前の課題手紙に対してソフィーが考え、それに関する内容の手紙形式。
後半は会話形式。
何度か読む必要がありそう。 -
倫理の先生に勧められて。
アリストテレスの女性に対する考えは教科書なんかにのってないので興味深かったです。 -
古典の思想から自然科学、宗教、哲学について、14歳の少女に語りかけながら説く西洋哲学の書。西洋思想史を卒論テーマとして研究していた私には非常に面白く、新たな発見もあり、また物語としての構成も巧く、とても面白い。1991年の出版以降、日本でもベストセラーになったが、当時のブームは何だったのだろう。自分探しブーム、とも言われているが、哲学を学ぶ事は、考える事の方法や角度を学ぶことで、答えはない。当時の読者は、この本に何を求めて何を得たのだろうかと、とても興味がある。私にとって哲学とは生きる事であり、毎日の生活の中にある事、人生を充実させるために必要なものである事をあらためて感じた。
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既読
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【世界の著名な哲学者のことば】
・後世の人々は我々を記憶してくれるであろうか。我々の天分によるとは言わない。そう言ってしまっては傲慢すぎる。我々勤勉・熱意・名誉を重んじる心によると言おう。(プラニウス)
・貧しいことは恥ではない。だが、貧しさに安住することは恥である。(ペリクレス)
・政治には、火に対するように臨む。火傷をするからあまり近づいてもいけないし、凍えるから遠く離れてもならない。(アンティステネス)
・覚醒状態と夢をたしかに区別する特徴など無い。人生の全てが夢でないと、どうして確信できるだろうか。(デカルト)
・神の存在を仮定することは、道徳にとって欠かせない。(カント)
・実存は本質に先立つ。(サルトル)
・神がいることに賭けたまえ。(パスカル)
・死に向かって自由であることのみが、現存在に端的な目的を与える。(ハイデカー)
・快楽の計算 「道徳及び立法の原理序論」(ベンサム)
1.快楽の強さ
2.持続性
3.確実性
4.遠近性 すぐ楽しめるか
5.多産性 バラエティ
6.純粋性
7.範囲 -
哲学についての概要書。そろそろ特定の個人や、テーマにフォーカスした哲学書も読みたい。
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(下)に続く。
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10年以上前に購入して、挫折したのをまたぞろ引っ張り出してきました(汗(テツガク的な数学とか科学に後押しされて) なぜ挫折したのかというと、ぶっちゃけ【知らんおっさんが十四歳の女子に哲学の手ほどきをする】ていうシチュに耐えられず……orz(吐血 アルベルトは行動だけみてると完全に不審者というかストーカーなので(※これは哲学入門書です)、もう生理的に受付無かったんですよね……(しみじみ。
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14歳の少女を通して哲学が学べる一冊です。
しかし、上巻は本当に哲学びっしり!という感じ。
哲学書、というよりも小説としてならもう少し飽きない工夫がほしい。「アルベルト」から送られてくる手紙が綴られているだけで展開らしい展開はゼロに近いですね(内容は学校で教わったことと大して変わらないし)
哲学を学びたい!と意欲満々の方ならうってつけの入門書だと思います。
ヨースタイン・ゴルデルの作品
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