ソフィーの世界 下: 哲学者からの不思議な手紙

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140803325

作品紹介・あらすじ

差出人の名もない手紙がきっかけで、不思議な哲学講座を受けることになったソフィー。だが、十五歳の誕生日の前日、ソフィーは自分の存在の秘密に気づいてしまった。存在するとはどういうことか?ソフィーの世界はどこにあるのか?そしてなぞの少女ヒルデはいったいどこに?哲学ミステリーはいよいよクライマックスを迎える…。

感想・レビュー・書評

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  • 下巻からいきなり語り手が変わる。ソフィーとアルベルトはヒルデの誕生日のためにヒルデの父が作り上げたただのアトラクションだった…。自分たちが誰かの創作物にすぎないと知ったソフィーたちは、その世界からの脱出を計画する。 ヒルデがソフィーたちに気持ちを寄せるのを見て、やさしい女の子でよかったと思った。でも、あの終わり方はソフィーがかわいそうすぎる…もっと幸せになれなかったものなのか。
    そして哲学ガーデンパーティでいきなり痴女になるヨールンに引いた。

  • 下巻が若干ポストモダンしていて(今までの話は物語内物語だったのか!?みたいな展開)ちょっと唸る俺ちゃんw

    物語を読みたいのか、それとも哲学書として読みたいのかというところでどっちつかずな己が葛藤して、どうしても集中力を欠く。
    結論として、俺ちゃんはマルチタスクがてんでダメ。
    本は悪くないんだ、きっと。

  • 2016.10.6
    ブックオフで度々見かけ、勝手な第一印象でどうせ内容の薄い大した本ではないとタカをくくっていたのだが、気が向いて購入、読んでみて、驚いた。今年度読んだ本の中では今の所一番面白く、かつ有意義な本であった。哲学史とミステリー小説の合体という特徴を持ちながら、哲学史としては哲学者の難解な概念がわかりやすく、ミステリーとしてはあっと驚かずにはいられない内容を持つという、なんとも不思議で面白い小説だった。普通こういう、二兎を追う者は一兎をも得ず的な試みは、どちらかの試みが中途半端に終わるように思えるが、この作者は見事に二兎を追って二兎とも得ている。脱帽である。
    また特に私が感動したのはミステリーの内容がスピノザやバークリーなど、神という概念を前提とした世界観をわかりやすく読者に追体験させる構造になっている点である。私は日本人で、宗教にはあまり縁がなく生きてきた人間なので、絶対者の存在、この世の創設者の存在という考え方にあまり馴染みがない。むしろ哲学史としての全体を通した時、ロックやヒュームなどの経験主義などの方がしっくり来る。なので、神という存在を前提とした世界観というものを経験したこともない以上、どうしても想像でしか考えることができず、その想像も拙いものであったので、そういうことを言う哲学者を倦厭していたのだが、このミステリーによってその世界観が少しわかったような気がする。ああなるほど、こういう気持ちで、こういう世界を彼らは見ていたのか、と。まず哲学史としての内容の濃さ、ミステリーとしての内容の面白さ、加えて哲学をミステリーの形式で、論理でなく感情として伝えるという、文学と哲学の合体。作者は天才である。
    哲学に興味が有る人には是非お勧めしたいし、ある程度かじってはいるという人も、哲学者を歴史的に、系列的に整列して捉えることができるので、お勧めしたい。分厚く、長いが、それにひるまずに読んでいただけると、きっと素晴らしい読後感を得られるように思える。ただ、やはりあのミステリーのような世界解釈は、私自身では持ちたくないなと思った。事実そうであるかどうかと、私がどのような世界に生きているかと信じることは、違う。

  • 下巻の方が読みやすかった。

  • ■上巻によって、バークリを用いて、ソフィーの世界は全ては少佐と言う神によって物語られているに過ぎない、といった形でまとめらていたのだが、下巻では少佐=神ということを前提にして物語が綴られていく。本書では直接増えられていなかったが、「超越」といった概念が本書の終章では与えられるべきではないか?

    →ソフィーとアルベルトは、ソフィーの世界=本=少佐によってつくられた世界を超越した。サルトル的に言うならば、自分を認識することが対自、ありのままでいることが即自。ソフィーの世界、という書籍の中で与えられた登場人物としてそのことを特に意識せずに終わっている人物たちは即自として彼らの役割を終え、ソフィーとアルベルトは自らを意識し、ついには自らの殻を打ち破り、本の外部の世界へと現れた。しかし、ここで論理的に矛盾が生じる。彼らの言葉は少佐によって書かれているのに、少佐の裏をかくと言うことがありえるわけがないのだ。少佐がアルベルトに、「裏をかく」と言わせているのに、少佐はその裏をかくという内容にまるで疑問を持っていないこと自体が不可思議なのである。あるいは、その裏をかくという内容を把握していないことが。


    ■恐らく、著者=ヨースタインは、ここでフロイトの無意識を用いるのだろう。ソフィーと、アルベルトは少佐の無意識になったのである。あるいは彼らは少佐の無意識から救い上げられ意識化=顕在化された存在であるが、それゆえに彼らはもともとは少佐の無意識であった。だから少佐の無意識をつくことは可能であった、とでも論を展開させたいのだろうか?もっと言ってしまえば、ソフィーやアルベルトは少佐の無意識をある種偶像化させたものでしかなく、全ては少佐が広い意味で言えば少佐自身が計画したことであった、しかし、意識的にそのことを少佐は自覚していない、とでも?


    →だとすれば、ソフィーとアルベルトが少佐を離れて存在していることがおかしい。無意識が意識からも無意識からも離れて自立的に行動するとはそれこそ意味不明である、あるいはそれが可能だとでも?


    ■著者のしたかったことは、物語を作っている少佐よりもなお上位にある存在に実は少佐は気づいていない。だが、それなら、君たち読者よりもなお上位にいる人物に実は君たちは気づいていないのかもしれない。だが、君たちが君たちよりも上位の存在に物語られているにすぎないとしても、全ては始まりが一になる、というのが最後のビッグバンで語りたいことなのだろうか?


    →哲学とミステリーを混ぜる、というのは非常に面白い試みではあるのだが、この仕掛け自体はミステリー的には禁じ手である。とはいえ、一旦空想として思い浮かべた事象は意思を以てどこかで活動している、という考えは奇抜ではないけれど面白くはある。アイデアは面白いのだけれど、全ては少佐がつくった世界でしかなく少佐が一人遊びをしているに過ぎない、というあたりがどうにも途中からこの書籍を白けさせる気がする。難しいね。

  • 下巻の出だしに面食らいました。まさか、こんな展開とは・・・、という大転換でした。上巻がギリシア〜中世・近代までだったのに対し、下巻は近現代の哲学にフォーカスしています。カントとかヘーゲルについては、名前はよく見かけるけど、よくわからないものの代名詞のような感じでしたが、初めて取っ掛かりを得たような気がします。また、物語の中の物語という重層構造をとっており、不思議な気持ちにさせてくれます。まさに「自己言及パラドックス」に対面したときのような気分です。物語としても面白く、哲学書としても破格に理解しやすい良書です。単なる良書を越えた超良書!

  • 西洋哲学史のおさらい。
    数多のロマン主義的イロニーが炸裂。

    構造主義以降の現代思想については取り上げてくれないのが残念。ポストモダンまでやって欲しかった。

  • 哲学の入門書としても、ミステリー(!?)小説としても良本。
    哲学をより理解するためにも、物語の謎解きのためにも、再読必須。
    ガイド本も読みたい。

  • 哲学の歴史をわかりやすく、一つの物語として書いてある。哲学入門書には最適。中学生の時に初めて読んで、社会人になって改めて読み直した。

  • 既読

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