子ども兵の戦争

  • 日本放送出版協会 (2006年6月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784140811160

感想・レビュー・書評

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  • 子どもたちの声やエピソードには興味があったが、筆者が提示する解決策はきれいごとが多い気がした。
    政治的社会的基盤がゆらいでいるまさに無法状態のところに、法律だの善意だのと言ったところで、通用するわけがない。
    子どもを使う人たちも、銃を売る人たちも、その土地から採れる金属を当てにする人たちも、みんな欲にまみれている。
    その末端の犠牲になっているのが子どもたちだ。
    そもそも、平和の土台がないところに、どんな理屈をつきつけても、通じるわけがない。

  •  冷戦構造の終結により、強国のテコ入れがなくなったため、破たん国家が増えた。
     その内部では政治的な理由でなく、利権争いが激化しており、内戦は長引いている。
     イデオロギーのない彼らは、それまでは「非戦闘員」として扱われていた子供に目を付けた。そして、安価で優秀な「子ども兵」を兵力としていった。

     子ども兵は、誘拐か”徴集”で集められる。
     ”徴集”とはいえ、実際は貧困や家庭内暴力で家庭の中に居場所がなく結果、そうなる子供も多い。
     最初はもちろん抵抗する子供がほとんどだが、暴力や性的虐待を繰り返して抵抗力を奪う。一方で、無抵抗な人間の手足を切り取る、あるいは殺させる。その犠牲者は彼らの親や親戚である場合もある。そのような残虐な行為に加担させる。
     一度、そのようにして、組織から離れられなくすると、洗脳のためのイデオロギー不要、で報酬不要、低コストなうえ、優秀で、残虐な兵隊となる。
     また、冷戦構造の終結により、カラシニコフ銃をはじめとする、安価で軽量で殺傷力が高く、子どもでも扱える小火器もあふれている。
     そして、子ども兵を使うことにより対戦側(大人の青年で構成された部隊)は「子どもを撃つ」という倫理観からジレンマに陥り、士気も低下しやすい。
     道徳的な問題をのぞけば、あるいはそれゆえに子どもを使うことのメリットははるかに多い。

     もし、その子が生き延びて、何らかの保護的な機関に保護されたとしても、身体的な傷や精神的な傷をいやし、社会に復帰するには相当な時間がかかる。

  • 10年前に発刊されたので今はまた、国際情勢が変わっていると思うが、
    シリアや、南スーダン等、内紛が終わっておらず、少年兵が減っていることを願うけど未だにたくさんいるんだろうな。
    自衛隊の派兵もこども兵に対する心構えを持って行ったのかな?自衛隊員に自殺者が50 人以上出たのは現在詳細はわからないけどPTSDによるものがあったと推測できる。

  • NGO
    アムネスティ・インターナショナル
    HUMAN RIGHT WATCH
    SAVE THE CHILDREN SWEDEN
    イエズス会 フェジーサービス
    クエーカー国連事務所
    INTERNATIONAL FEDERATION TAIL DE OM

  • 世界の子ども兵の状況について、俯瞰した立場から、子ども兵の立場から、戦場で子ども兵と出会った兵士の立場から、元子ども兵の立場から、紹介されています。

    経済的、社会的な事情から子どもたちが兵士になっていく様子を読んでいくと、胸が痛くなります。

    戦争は、子どもをも兵士にする。
    人殺しにする。
    兵士にならなきゃ、殺されるから。
    殺さなきゃ、殺されるから。
    そして、人を殺してしまったことによって、ますます戻れなくなっていく。

    戦争は嫌だ、という思いを強くしました。
    今だからこそ改めて、戦争、反対です。

  •  軽くて操作・手入れの簡単なライフル,カラシニコフが,ローティーンの少年少女を戦争に巻き込んだ。
     安価,従順,勇敢(無謀),敵が反撃をためらう,優秀な兵士になる。20世紀の戦争も悲惨だが21世紀の戦争も悲惨だ…。

  • 手段としての戦争ではなく目的と化してしまった戦争。
    崩壊する戦争観の中で子どもはもっとも安上がりで利用し易い道具。
    冷戦構造の崩壊と共に後ろ盾を失くしたたくさんの国々で
    憎しみと恐怖、欲が銃弾となり戦場を飛び交う。
    闘っている意味さえ知らないまま死んでゆく子どもたち。
    子ども兵が多少死んだとしても何も悔やむことはない。
    だって誘拐すればいくらでも代えはきくんだから。
    それに世界は見てみぬふりをするんだから 知らないんだから。

    ふぁっくですね

  •  「戦争請負会社」のピーター・シンガーが現代の戦争の暗部、子ども兵士についてその全容をまとめあげる。

     この本は今まで私が読んできた本の中で最も読み進めるのが難しい本だった。それほどにこの本に書かれている内容は目を覆いたくなる。
     世界中に30万人いる子ども兵達はほとんどが無理やり軍に組み込まれ、残虐行為の加害者と被害者になり、麻薬にまみれ最前線で捨て駒の様に使われ、死ぬか心身に重症を負っている。子ども兵達を使うことで安く兵力を動員でき、結果として戦争が長引き、さらに多くの子ども兵を出すことになってしまっている。
     何より驚くのはこの子ども兵というものがつい最近までほとんどなかったのに、ここ20年で爆発的に増えている点だ。地域紛争は泥沼化し、理念から利益を争う様になっている。
     地域紛争を止めに入る国連や先進国の軍隊は子ども兵と対峙することを覚悟しなければならない。この本では具体的に子ども兵と対峙した時どうするべきか、子ども兵をなくす為にどうするべきかについてもまとめられている。
     
     よく「人類は戦争を克服できない、仕方ないことだ」という声を聞かれるが、現代に近づけば近づくほど戦争が残虐化している点を見逃してはならない。
     現代の戦争の姿とその対策を描いた大作。前著「戦争請負会社」、最新作「ロボット兵士の戦争」と合わせて読みたい。

  • 小火器の発達と流通で子供でも十分に扱えるようになった結果、子供を使うことで受ける批難を、早く徴収できる染めるのが容易などのメリットが上回った結果子供兵の使用が世界的広がっている。現代の戦争がとことんコストを意識したものになっていることを思い知らされる。より積極的に子ども兵を使用する側を批難すること、終戦後の子ども兵を再び徴収されないように対策を行うことが必要だが特に後者に人員が足りていない。

  • 子ども兵士についての情報が満載で驚いた。
    シンガー氏自身の意見も含め、とても説得力のある論文。
    私はこの本からすべての子ども兵士の知識を受け取ったと言っても過言ではないと思う。

    『戦場には子ども達の出る幕はないと、昔から信じられていた。それをもう一度実現するには、悪事を働こうとする人びとの意思にに、善を成そうとする意思をもって対抗するだけでいい。』

    最後のこの言葉に、思わずうなずいた。
    それくらい、論文内容に納得させられていたのだ。


    図書館で借りて一度読み終えたけれど、買うことにしました。
    手元にあるだけで、資料としても使えます。

    星5つどころか星10つでも足りないくらい。
    とにかく、素晴らしいの一言に尽きる。

  •  子ども兵士、あるいは少年兵の問題は、ある意味で現在のグローバルな課題であると言って差し支えないだろう。
     シンガーの書物は、この問題に深く切り込み、その問題が如何なる実態なのか、読む事を躊躇してしまう個別的な事例紹介と国際機関の調査に基づく様々な数字の提示に基づき明らかにする。
     正直、この本は、とりあえず四の五の言わず、政治信条に関わらず、読むべきであると思う。

  •  ホテルルワンダでジャーナリストが語ったようにテレビの向こうの現実を見ては可哀想に、誰か何とかしてやれよ。と言い放ち何事も無かったかのように血の滴るステーキをほうばるしかない対岸の火事を見つめさせられる本。

    ――指揮官は言った。彼女はミスをした。殺さなきゃならない。目を閉じて撃ったけど、当たらなくてだからもう一度撃った。
     指揮官は言ったわ。よくやった。泣きはしたが、よくやった。こんな事はこの先いくらでもある。次は泣くなよ。
     A 17歳

    割と世界には単純な数多くの、左手に血に濡れた武器を持って、右手では握りこぶしを作って、さもそれが当たり前のように笑いながら平然と歩き寄って来る悪が多いのだと改めて思い知らされる。
     金を受け取った受け取ってない。で揉めている人間の事が小悪人に見えてしょうがなくなるくらいの世界を形作る現実の一つがここにある。現代の戦争で起きている現象について知る事が出来る良作。オススメオススメ

  • 未読

  • 子ども兵について知りたいならこの一冊では。以下自分がまとめた内容である。淡々とした事実の羅列ではなく少年兵の気持ちをや言葉を部分部分に挿入することによってリアルさもプラスされている。

    死亡率の変遷:第一次世界大戦では民間人の死亡率は10%に過ぎなかったのだが、第二次世界大戦では50%に上昇し、近年のアフリカの内戦においては92%という圧倒的な数字になった。昔は民間人は狙わないという日本人の武士道や西欧人の騎士道精神があったが、今では忘れ去られている。

    子供兵:18歳未満の軍隊もしくは武装グループの一員となって激しい戦争もしくは支援業務に従事している子供のこと

    近代以前では、そのような場所でも子供は兵士になり得なかった。それは道義的にも実用的にもである。近代以前の武器は子供には扱えなかったのである。

    現在世界中で子供兵の使用は意図的かつ組織的に使用されており、今日の紛争の中で当たり前になっている。子供兵を使用しないことではなく使用することが新たな規範になっており、多くの条約や法律はなおざりにされている。国際的な規範に対するこうした意図的な違反には複雑に入りくんだ原因がある。(1)グローバル化、紛争、病気による、社会の崩壊や開発の挫折より大きな世界規模の紛争と不安定を招くばかりか、世代間の断絶にもつながって、新兵予備軍を生み出している。(2)小火器の技術的な進歩によって子供の参加が可能になったこと。(3)従来より残虐で違法な紛争が増えてきた。
     強制的に集められる子供兵の多くはなんらかのリスクグループに含まれており、ストリートチルドレン、農村部の貧困層、難民、その他のほかに行くあてのない人たち。自ら志願した子供たちも同じグループの子供たちが多く、貧困やプロパガンダや疎外感に駆り立てられている。多くの子供たちは想像を絶する貧しさに直面している上に、暴力が日常化されていて、先のことが予測できない状況にさらされている。それゆえ保護を求めるために、自分たちを保護してくれる、または秩序を感じる思想(内容は関係なく)を掲げる武装組織を探し出して仲間に加わる可能性が高く、自分が被害者だとわかった後には被害者意識に基づいて自己認識を形成する。そうした「被害者の動機づけ」から先制防衛や報復のために暴力行為に走り、それがさらに危険な状況に子供たちを落とし込み、暴力の連鎖が続いていく。
     冷戦終結によっておとづれた平和によって、小火器があまりの余ってしまい、廃棄処分するより世界の市場にで回すほうが安上がりだった。東西ドイツの統一により、東側にあった大量に消化器は競売にかけられて、民間人に格安で売られた。さらに武器商人や密輸入者の手に渡った。しかし旧ソ連圏ではその兵器産業は生き残りに必死でここ20年は製造のペースが落ちておらず、世界中どこでも簡単に安く手に入る。こうして小型武器が拡散されたことにより、多くに社会は軍事化され、子どもたちは今まで以上に戦争に引きずり込まれるようになった。子供達は学校よりも銃に親しみがあるとアフガニスタンの指揮官は嘆いている。兵器の拡散は紛争を引き起こしやすく大量殺戮にも発展しやすい。内戦に歯止めがかからず、不満も簡単に爆発してしまう。それゆえ今まで土地を支配してきた長老ではなく、なんの思想ももたない若者が銃で支配をおこない、そこには責任が生じず、暴力の度合いは増している。今日の世界各地の紛争では、政治や宗教的大義とはなく、鉱物資源や麻薬などの利権確保のために行われている。冷戦が終結し、支援がなくなると、むしろ自分たちで経済を支える必要が出てきて、独自の資金源を見つけるために、紛争は悪化した。主都よりもダイヤモンド鉱山を奪取したがる傾向にある。
     子供を兵士にする魅力は、安価で利用しやすいだけでなく、コストをメリットがうわまわっている点である。道徳的な非難以外に子供兵を使用するデメリットはない。財政や社会的基盤が脆弱な国家は国内の秩序を保つことが難しい。しかしその理由は冷戦終結により超大国から支援が失われ、国家が破たんしてしまったことに他ならない。軍閥はひどく個人化してしまい、略奪だけが目当ての組織も増えた。また民間人に支持されていなくても子供兵を使用することによって簡単に規模を大きくすることができるので、以前は小規模な過激派であったのに、大幅な勢力をもつようになった。(例:ウガンダの紙の抵抗軍LRA)
    大人は兵士になる際に報酬を求めるが、子どもはめったにほしがらない。従来は子供という理由で徴兵されなかったが、近年はその理由で徴兵されるようになってきた。司令官達は子供たちを使い捨てとしか思っていないので、暴力や残虐性が増す。少女達は強制的に妻にさせられることによって妊娠し、組織の目的のために、生んだり中絶したりする。勝手に養子に出されたりもするが、適齢期になると子供兵として徴収される。また子供が生まれることにより組織とのむすびつきが強くなり、逆に組織から逃げ出せなくなる。
     リベリアではテイラーが保護の名目で子供たちを集めたが、兵士にして、その多勢によって王国を手に入れた。

     
     「14歳で軍に入った。なぜって父さんや母さんをとりかえす、っていうかあんなことが二度と引き起こされないようにするにはそれ以外にないって説得されたから。軍に入って父さんと母さんを殺したやつらを殺すしかないって。でも自分も誰かの親を殺して、復讐の悪循環を招いていた。子供が子供を殺す。とても嫌だった。」 I 14歳
     幼い子供は誘拐されずにすむ。しかしそれだけでは終わらない。見せしめに殺すなど、ほかの目的で利用される。国家などは首都をきれいにする、という理由からストリートチルドレンを借り集めて、実は子供兵として利用している。
     子供兵を徴収する目的として、地元の民間人を威嚇する、ということがある。しかも兵士たちはすでに一線を越えているために、レイプや略奪に手を染めやすい。
     「反体制派のやつが目や家族を捕まえに来た時は現実に思えなかった。彼らは荷物を運べって言って、その通りにしたけど、妹は痛がって病気だから休みたいって言った。知らなかったんだ。休みたいって言ったら彼らが別のことを僕たちにするってことを。しばらくその場に座っていると、両親は僕の目の前で殺され、オジサンは両手を切られて、妹は僕が見ている前で、スペア・ノー・ソウル(冷酷無情)と呼ばれる指揮官にレイプされた。そうして仲間にならないと殺すって若い男の子たちに言ったんだ。あいつらをこの手で殺してやりたかった。だけど、僕が持っていなくてあいつらが持っているものがあった。銃だ。両親はいないし、妹はレイプされて、僕は爪先を切り落とされた」 R 年齢不詳
     明確な法則はないが、普通は貧しい子供ほど紛争に巻き込まれていく。両親がいなかったり、片親であったり、学校に行けず、電気も水道も知らず、牛の後を追って糞を売る、ほかの選択肢は武装組織に入ることだけである。少なくとも食料があるからだ。同じ理由で自分では養えない子どもたちを親たちは武装勢力に渡してしまう。家族は賃金を受け取れるし、貧しい家族は、子どもが奪ってきた略奪品に家計を助けられる。またスリランカでは、子どもを亡くした親たちは偉大な英雄の家族として特別待遇を受け、税金を免除され就職で優遇されあらゆる公共の場で特別扱いを受ける世俗的習慣がある。親の暴力から逃げ出して志願兵になった少女兵もいる。家族が皆殺しにされた子供は自分だけが生きていることに自責の念を感じてしまい、それゆえ怒りと復讐心に駆り立てられ武装組織に参加するが、参加することによってそういう境遇にほかの子供たちがならないという気高い信念がある。しかしその行為がほかの子供たちを同じ悪循環に入れてしまっている当ことに気付くのは後になってからのことである。
     「父さんも母さんも兄弟も敵に殺された。僕は怒った。復讐するしかなかったんだ。銃さえあれば復讐できる。倒産母さん兄弟の敵を討てる。だから兵士になったんだ。みんなが殺された日、敵は突然襲ってきて、村を襲い、家を跡形もなく燃やしつくして、裸のまま食べ物もなくつらい目にあった。それで決心したんだ。軍にはいったほうがましだって。」 M 16歳    部族に似た社会構造では、人類学でいう恥の文化というものがあって、名誉を保ち、恥を避けることが、ほかのあらゆる主義主張よりも強い。敵を討たないということはなんの存在意義もないこと、と同義であり、アフガニスタンの子供たちは、親を殺した連中たちに復讐するまで一人前の男になれないと言っている。   「戦っている間は楽しかった。殺すのも破壊するのも。人を殺した。おおぜい。若いやつも、年よりも、誰でも。最初はおばあさん。遠くから撃った。すごく頭にきてたから、撃った。あいつらの家族がぼくの家族を殺したんだ。」  M 年齢不詳  紛争グループは子供たちが自己認識を確立できていないところにつけこんで、魅力的、もしくは栄誉とみなされる役割を提供する。(兵士、英雄、リーダー、保護者)このことは無力であったり、犠牲者であった子供たちに社会的な苦境から抜け出すことを助ける。笑われることなく英雄と思われることは子供たちにとって非常に重要だ。
     米国の援助で賄われているアフガニスタンの教科書では「カラシニコフ銃の弾丸は秒速800メートルで飛びます。聖戦士が3200メートル先にいるロシア人の頭部を狙う場合、弾丸がロシア人の額に命中するまでに何秒かかりますか。」


     軍事作戦のリスクや過酷さにかまわず兵士にとどまる持続的動機づけ、教化を行う。それには三つの種類があり、体罰に基づく威圧の動機づけ、物質的報酬の約束に基づく報酬の動機づけ。栄誉や仲間に認められるといった心理的報酬に基づく規範の動機づけ。政府軍であれ反体制派であれ、恐怖や残忍さといった心理的操作を利用して子供たちを徹底的に服従させようとすることが一般的であり、そのため訓練などでは大人と同じ扱いを受ける。子供たちを兵士にすること自体が法律や道徳的規範に触れているので、司令官達はやりたいうほうだいである。きまぐれな暴力をふるわれたりもするので、保護を求めて、子供たちはますます指導者に依存する。また家族を失ったり心に傷をおったり、精神面で弱くなっていて、抑えがきかなくなっているときに教化は行われている。自分たち以外は悪いやつで子を殺さなければいけないと絶えず教えられ、しんだ人の映像などもみさせられるが、それを敵のせいにして、殺すことを正当化させて、暴力に慣れさせて、子どもたちが暴力に取りつかれるようにする。他には毎日指導者を父親と呼ばせて忠誠を誓わせるやる方もある。子供たちが手を染めることになる反社会的行為の影響を中和させるために、子どもたちはあだ名で呼ばれることが多い。ダティ・ベース(汚い入浴)やブラッド・ネバー・ドライ(乾くことのない血)、など子供っぽいものからぞっとするようなものもあり、名前を変えることによって、自分の暴力や犯罪に責任を感じないというだけでなくそれまでの自分と決別を示すようになる。     「魔法みたいなものさ。僕は人を殺したけど、だからってどうってことない。ぼくが天国に行けることに変わりはないんだ。」  バッド・ペイ・バッド(悪には悪を) 年齢不詳    体に武装グループの名前を彫られて、逃げられないようにする。しかしこうしたあらゆる方法を上回る方法があり、誘拐してきた子供をすぐに儀式的な殺人に加担させる。戦争捕虜や殺されるために誘拐された子供たち、隣人、親をたいてい公開で殺させる。人の命は軽いものだと教え込むのだ。    「村には帰りたくない。ぼくが村中を焼き払ってしまったから。みんなが僕をどんな目に合わせるのかわからない。だけどきっと痛めつけるはずだ。受け入れてもらえるとは思えない。」  I  16歳    兵士だった子供はたいてい人を殺した瞬間から自分は永遠に変わってしまったと言う。周りから恐れられるために組織に依存するしかなくなる。  「2度目の方が簡単さ。どうでもよくなるんだ」  L 15歳   (113、117Pは資料に利用可)   子供は大人と違って自分がしたことがどんな結果を生むかを理解できない。そのため大人よりも大胆に戦闘に参加する。アルコールやコカイン、火薬などで子供たちを興奮させ、命の重みをかるくして、どんなことでもできるようにする。「子供たちは非常に有益な戦闘員になる。あまり質問をしない。指示に従い、たいてい戦争に行くことのリスクを理解しておらず、また評価することもできない。被害者や目撃者がよく口にするのは大人よりも子供のほうが戦慄を感じる、ということだ。子供は命の重みを全く分かっていないから。子供は何でもやった。怖いもの知らずで、麻薬をやっていると、戦うことを楽しいと考えていた。」
     こどもは無垢だとみなされるので、都合のいい隠れ蓑になる。道路で子供たちが遊んでいるために車が止まったら、その時に攻撃されるとか、倒れている子供を助けようとしたらその子供が爆弾を持っていたとかいう出来事がある。降伏するふりをして奇襲攻撃をかける。
     誘拐された当初、子どもは自分を被害者だと思うが、しばらくすると、組織の教科にやられて、組織と自分を結び付けるようになる。戦闘の中で芽生える友情のために、仲間を見捨てることができずに組織を抜けられなくなることもあります。部隊は新たな兄弟になる。しかし子供が逃げられない一番の理由は恐怖である。子供の仲間や大人が常に監視しているし、密告しないと逆に暴力を受けるから子供も密告しようとする。誘拐される子供の40%は少女だが、逃げだした子供では10%のみが少女である。妊娠などが少女を組織に縛ってしまうのである。しかし逃げれたとしても、家は焼かれ、家族は殺されている。生きていても残虐な子供とみなされ、地元の地域には混ざりにくい。「ひとりがにげようとしたけど、つかまった。彼は両手を縛られ、一緒に誘拐された友人が彼を棒で殺せと命じられた。ぼくは棒に触った。同じ村の子だった。殺すのを嫌だって言ったら、あいつら、ぼくを殺すっていった。銃を向けられて殺すしかなかった。その子が僕に訊くんだ。「なぜこんなことを?」って。殺した後で、ぼくたちはその子の血を腕に塗らされた。めまいがした。気持ち悪かった。こうすれば死を恐れなくなる、そして逃げようとしなくなるって言われた。」  S 15歳
     反体制組織ほど死刑を利用する傾向にあり、法律に縛られない。数を維持し、教化を強めるために、技師化された処刑を行う。たいていは子供に子供を殺させる。しかも子供が処刑をより身近に感じるために手に持つタイプの武器で行われる。被害者の血を腕や顔に塗ったり、逃げた子供を木に縛り付けて、ほかの子供たちの前で生きたまま火をつける。死体をバラバラにして子供たちに運ばせるケースもある。 「逃げようとしたけど、自分の村からは遠かった。自分がどこにいるのかわからなかった。同じ部隊の子供と仲良くなった。どうやって逃げたらいいか、彼が教えてくれたんだ。ぼくたちは夜に出発した。一晩中歩き続けた。組織から逃げるためにブッシュで2日間過ごした。だけど村に着いたら、村のみんなは僕を捕まえた。ぼくが反体制組織の人間だから、殺そうとしたんだ。だけど、おばさんがぼくに気づいて助けてくれた。」  D 16歳


     子供の兵士を用いれば紛争グループは速やかに戦場に復帰できるため、武装解除や動員解除の取り決めが長続きしなくなる。スリランカやシエラレオネでは再三和平プロセスが崩壊している。というのも子供兵は戦争を始りやすく、終わりにくくしているのだ。従来は指揮官と部下の関係の中では、報酬や取引の必要性があった。しかし子供兵を用いることによって、何の見返りなしに子供は働くので、ダイヤモンドの鉱山を勝ち取る戦いに何の見返りなく戦ってくれる。そのために組織でも地域社会の繁栄や協力を意識しなくなるので、善政をおこなう意志が薄れて、より略奪的、破壊的になる。攻撃を受けている社会も行動計画や政治的要求がない場合もあり、交渉の余地がない。誰一人反体制派が何を求めているかわからないのである。従来は民衆の支持がなければ組織は拡大できなかったが、子ども兵のおかげで、簡単に拡大できるようになった。昔は上官の命令に反して性的虐待を行っていたが、今は略奪上、教化上の必要性から組織が具体的に行っている。一種の褒賞としてもレイプは行われる。「町を攻撃するとレイプをした。女の子が大勢いればレイプをした。このぼくまでだ。あのころ、僕は12歳。相手は15歳くらいだった。全員が女を抱けって指揮官に言われた。そうしないと殺すって。」  D 16歳   人間は家畜と同じように殺される。赤ちゃんは空中に放り投げられる。子宮の中から赤ん坊を引きずり出される。
     子供の兵士というものはひとりでに増殖していく。戦争のたびに心に傷を負い、希望も技能も持たない新しい集団が生れ、次なる暴力の予備軍になる。無理もない、子どもたちは銃のない暮らしを知らないのだ。子供兵士の存在は元来朗報だった隣国の和平協定を、自国が直接戦争に巻き込まれる悪魔の知らせにしている。満足に読み書きさえできない子供達はそのまま大人になる。そんな子供や大人は戦争が終われば生活できなくなる。そのために隣国に流れ込み、戦争の手助けをするようになる。生きるために戦争に参加するようになる。さらに子供は成長しきっていないために心に受ける傷も大人より深い。特別なリハビリなしで子供たちは日常生活に戻らなければならない。戦闘で子供は心だけでなく、聴覚の喪失、失明、四肢を失う、など様々さ社会復帰への枷を負う。しかし医療施設など存在しない。ストレスや栄養不良など、さらに麻薬依存症、子ども一生兵士としての過去をぬぐい去れない。さらに武装組織での様々な性的虐待により、ウガンダでは女子の70−80%が一種以上の性感染症にかかっており、男子は60%である。同様にシエラレオネのレイプ経験者の70−90%が性感染症にかかっており、HIVには50%が感染していた。しかし性感染症は一生の恥辱ととるので検査を受けない子供も多く、実際にはたくさんの子供が感染しているようである。ナイトコミューター、誘拐という危険を回避するために毎日休まずに町に子供たちはやってきて保護を求める。誘拐されたり、身近な人を殺されたり、そしてそれを強要されてしてしまったり、日常的に暴力にさらされることにより、子どもは他人の痛みに鈍感になり、思いやりをなくす。そのような状態の子供たちの規範は周りの暴力的な大人たちによって左右されるようになり、暴力的な規範が子供たちの中で誕生する。暴力が中心に据えられ、それが人間性確立の発達期に起こると、一生尾を引く問題にもなりえる。
     子供たちを使うのはコストが低いというメリットもあるが、戦略上の利点も多い。子供達は政府の情報機関に記録、前科がないために、簡単にスパイにすることができ、テレビに子供までが戦っている、とアピールしたり、子どもをころしてはいけないという規範の軍隊と戦う時に、おとりや隠れ蓑に使う。貧困や絶望しか知らない子どもにとって、宗教的な理由で、テロに加わることは魅力的である。殉教すれば天国で72人の美しい乙女と結婚でき、70人の親せきを天国に導ける。これは家族の支持を取り付ける役割も果たす。パレスチナでは殉教者基金というもがあり、殉教者のいる家は多大な影響を受ける。ほかにいい方法がない場合、自爆テロに参加しない子どもは自分のことを考えるわがままな子供と思われたりもする。そうして選択肢の限られ、この絶望から家族を救うには殉教しかないと悟った子供は殉教に。殉じる家族を思う子供たちには大変よく効くのである。教育機関も殉教を進めている。殉教は大々的に扱われ、まるで結婚したかのように扱われ、新聞に載る。祝いの客も来て、しんだ子供が好きだったデザートなどもふるまわれる。こうした楽しそうな光景や名をあげれるのではないか、という期待はほかの子供や家族の心を揺さぶる。殉教者の親は死んだことを誇りに思い、わが子を差し出すことをためらうものなら、些細ないじめから新聞による非難まではかりしれない。殉教する子供は死ぬ前に遺言をテープに残す。これは死ぬことを後戻りできなくする。なぜなら公共の恥になってしまうからだ。最後の晩餐は指揮官とともにするという栄誉を与えられる。


     プロの兵士たちは戦場で新しい恐怖におびえている。それは子供兵の存在である。自分の子供と同じ年の子供を彼らは殺したくはないのである。 「彼らを見るたびに息子を思い出す。ほんとに小さいんだ。ここにいると、運命を神の手にゆだねるときがあるよ。」 コンゴ民主共和国に駐在する国連平和維持軍の兵士  子供であろうと大人であろうと、銃の殺傷能力は変わらない。そのために子供であっても手加減することは命取りになる。子供は時に大人よりも残虐性を発揮する。「彼らは兵士をとらえ、裸にして引き回し、睾丸を切り取って本人の目の前でフライにし、頭のてっぺんから足の先まで切り裂いたあげく、頭部を切断して杭に刺す。」戦争捕虜の処刑や、民間人に紛れ込む、兵士の見せかけなどに注意しなければならない。子供と戦うには非致死性の武器を使うべきであり、永続的な害ではなく、一時的なダメージを与えるべきである。低周波で方向感覚を狂わす音響兵器。神経を刺激して、皮膚が焼けているように感じさせるマイクロ波兵器。標的を一時的に動けなくする神経阻害物質。活動停止状態を誘発する鎮痛剤。強い嘔吐と吐き気を誘引する悪臭化学兵器。標的を動けなくする粘着性のスライム。これは現場の司令官の選択の幅を広げて、生存率を上昇させるだけでなく、大人の兵士が子供を殺す罪悪感を取り除いたり、強制的に戦わさせられている子供を殺さずに済むという点でも大変心強い武器である。

    子供兵士への対処法をめぐるガイドライン
    1、情報活動、敵の部隊の具体的な構成に注目すること。
    2、部隊を守る 子供がみんな脅威というわけではないが、大人なみに監視する必要があるかもしれない。
    3、交戦、状況の力学を意識して活動すること。
    (a)可能であれば発砲による衝撃効果をねらう。
    (b)逃げ道を与えて敵を方向づける。
    (c)指導者の支配が重心となっているので、できるだけまず大人だけをねらう。
    4、後遺症、紛争後、部隊は特別な治療法を必要とする場合がある。(警官が発砲後に受けるものに近い)
    5、悪循環を断つ 配備された部隊は武装解除や構成の取り組みを支援すべきである。
     子供兵には十分なカウンセリングなどが必要となってくるが、現地の人たちにした残虐行為を考えれば、彼らを守る必要も出てくる。復讐に燃えた暴徒に殺されたこともあり、こういうことは和平プロセスをつぶしてしまうかもしれない。しかしケアを必要とするのは子供だけではなく、子どもと戦った大人たちも、である。

     子供兵の問題を考える上で重要なことは、今子供である子供と共に昔子供であった大人もケアしなければならない。心に傷を負い、しかもずっと銃を手に戦ってきたために、自立して生きるノウハウがないのだ。「武装解除したから、家族のところに戻るんだ。新しい生活を始めるため、そして近所の人たちに、同じ地域の人たちに、許してもらうために。」  M 14歳    「今は両親と暮らしている。戦ってた事を話した。最初は、話した時は、両親はぼくをこわがった。自分たちにも同じことをするんじゃないかって。だけど、言ったんだ、無理やり戦わさせられてたって。もう二度としないって。自分がしたことをずっと考えている。忘れるなんて無理だ。今は悲しくてたまらない。みんなに、もう二度としないって言い続けている。」  L 12歳
     子供たちを自立させるには、子どもたちが自信を取り戻すことが大事である。それは外国の援助も必要かもしれないが、その地域での地域ぐるみでの支援が必要となってくる。重要なのは心理的な支援であり、子どもが立ち直れ、かつ子供を地域が受け入れるようにすることである。


  • 安全保障理事会にて、子ども兵のagendaのときにリサーチに使った本。

    つくづく、どっかの国の国益のために被害者とならざるを得ない子ども達がいるって事を実感。

    夏休み中に再度読み返す。

  • 地域紛争を勉強したこともあった自分にとって、学術的に研究された文献とは違った生々しく残酷な現実が、かなりのボリュームで描かれている部分は勉強にはなった。その内容は日本人にとっては、馴染みの薄い問題を底辺まで知ることの出来る告発の本と言っても良いと思う。

    でも、この本は読む人を選ぶ。子ども兵という日本に生きている限りは絶対に出会うことのないであろう人々についてインタビューを通じてその残酷と苦悩を取り上げた本は重すぎる本だと思う。なので、あまり一般的に読まれると言うよりも、大学のゼミなどでこの分野の研究をしている人には役立つものがあるだろう。

    感想文を書くためにはある程度内容を書かなくてはいけないかもしれないが、文字として書き起こすことさえ憚られる内容だ。身体的成長、精神的自律が備わらない子どもが、戦場と言う風景や規律や倫理のない単なる暴走集団でしかないグループにいかにして組み込まれざるをえなくなるのか。その部分を読むだけでも吐き気にも似た感覚を覚える。人間が人間に対して、しかも未来のある子どもにすることじゃない。絶望的な感覚と、状況を変えるエナジーにもなりえる怒りが同居する不思議な感覚を持った。

    この本が、「少年兵」という男性的イメージを想起させる単語ではなくて、シンガー氏自身が少女がゲリラや武装勢力に強制的に略奪や拉致を通じて組み込まれた結果、少女兵の人数が増えていることを踏まえて、「子ども兵」という単語を使った点は、誤解や先入観を払拭する意味での貢献度は高かったのではないかと思う。でも、子ども兵を根絶するための対策は書かれているものの、それほど目を引くものではない。もしかしたらこの問題を解決するには効率性を追求する類のものではなくて、着実に泥臭くやっていく方法でしか人間が人間らしい生活を取り戻すことはできないのかもしれないが…。

    しかし、著者や研究所が実施したインタビューを中心にした構成になっている一方で、どこの国で行われたインタビューかなのかさえもわからないので、明解になっておくべき部分がそうなっていないので、学術文献として引用に使うことは出来ないと思う。確かに子ども兵であった、もしくは今も子ども兵である人々が特定されないためには伏せられるべき部分あるだろうけれども、参考文献くらいは掲載されておいても良かったのではないか?と思う。その意味での使いづらさと一般の人へのお勧めしづらさなどを踏まえて、星3つにしておきます。

  • こんな悲惨なことってないと思う。大人が兵器として子供を使って良いはずがない。読んでいて怒りを感じずにはいられなかった。多くの人に読んで欲しい。

  • 世界にはこんな現実もあります。

    改めてそういったことをつきつけられる本。
    世界に存在する子ども兵の現状やその問題を解決するにはどうしたらいいだろうか、という作者独自の視点(といってもかなり分析されているし、的確)を紹介しています。
    翻訳ですが、文章構成が区画整理されていてわかりやすいので読みにくくはありません。

    是非ご一読あれ。

  • 読みにくかった。
    だが、内容は凄まじい。一読をお勧めする。

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著者プロフィール

翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業。 訳書に、P・W・シンガー&エマーソン・T・ブルッキング『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』、エドワード・O・ウィルソン『ヒトの社会の起源は動物たちが知っている』(NHK出版)、スコット・カーニ―『サバイバルボディー 人類の失われた身体能力を取り戻す』(白水社)、トマス・レヴェンソン『幻の惑星ヴァルカン アインシュタインはいかにして惑星を破壊したのか』、『愛しのオクトパス 海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』(亜紀書房)などがある。

「2022年 『遺伝学者、レイシストに反論する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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