渋谷の考現学

  • 日本放送出版協会 (2007年3月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784140811900

みんなの感想まとめ

一つの街を深く掘り下げることで、思いがけない発見が待っていることを教えてくれる作品です。渋谷の多様な歴史や地形、文化的背景を探求する中で、普段見過ごしがちな街の魅力が浮かび上がります。高級住宅地とクラ...

感想・レビュー・書評

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  • 渋谷は、再開発真っ最中。地下も地上も工事中で、出来上がるとどんな渋谷になるのか、気になる。




    今回の本は2007年に発行された古本だが、渋谷の様々な顔を見ることができる。




    よく言われるのは東京には昔と今の顔がある。浅草のような場所もあれば、丸の内や新宿のような場所がある。




    渋谷と言っても109のような若い女性をターゲットにした店もあれば、東急百貨店渋谷店のような店もある。




    高級住宅地というと東京では成城が有名だが、渋谷にも松濤(しょうとう)という筆者が「渋谷の奥座敷」と呼ぶ場所もある。




    松濤は、もともと紀州徳川家下屋敷があった。1872年に下屋敷一帯は肥前鍋島家に払い下げられた。




    鍋島家は茶園を造り「松濤園」と名付けた。松濤とは、茶の湯の釜がたぎる音を「松風」と「潮騒」(濤は「波」のこと)に例えた雅名。




    ここから1928年に町の名前も松濤町になり、現在の渋谷区松濤になった。




    そんな由来があったとは知らなかったので勉強になった。入試に出るかどうか知らんけど。




    渋谷は坂が多いことで有名だ。「ブラタモリ」などの番組や書籍で取り上げている。




    そんな渋谷の「COACH」とロフトに挟まれた、公園通りに通じる短い通りの名前が「間(ま)坂」だ。




    この由来は1989年にロフトが一般公募して付けた。ビルビルの間にあること、そしてまさかという語感が採用の理由になったそうだ。




    そんなまさかな理由で命名されたとは面白いなあ。




    地下街というと八重洲地下街や大阪キタのWhity(ホワイティ)などが浮かんでくる。どちらも広く店がたくさんある。




    渋谷にも地下街はある。その名は「しぶちか」だ。




    もとをたどると戦後の混乱期に店を出した露店が立ち並ぶ闇市だ。




    1950年、GHQが露店禁止令を公布して、闇市を排除しようとした。行き場所のなくなった店で古書店を開きながら世話人をしていた並木貞人氏が東京都と渋谷区、東急電鉄に働きかけて、地下街構想を推進してできたの「しぶちか」だった。




    最初に都知事から地下街建設の許可を得ると、今度は東急のドン、五島慶太社長に掛け合って、地下街の所有権と共同事業を引き換えに建設予算約4億円を引き出したというから相当エネルギッシュな方だな。





    今読んでも渋谷の知らなかった一面を知ることができて興味深い。

  •  一つの街を掘り下げようと思えばいくらでもできそうな気がする。このシリーズでいろいろな街を考現してもらいたいものだ。

     人はなじみの場所に発見を望むことはまずない。当たり前な街を当たり前にただただ惰性に行動しているだけ、いろいろな考察をしながら街を歩けば新たな何かを見いだせるのではないかという淡い期待を持ちたい。

     著者は幸せ者だこの感覚を仕事として手に入れているのだから。

  • 11月13日読了。若者の街として圧倒的な存在感を示す渋谷の様々な面を、その歴史・来歴・地形・乗り入れる鉄道などの観点から解き明かそうとする本。高級住宅地「松涛」のすぐ近くには連れ込み宿街からクラブ文化の発信地となった円山町があり「百軒店」には戦前の闇市の面影が残り、しぶちかのレイアウトには暗渠化した渋谷川の地形による影響があり、川が流れ込む窪地であり「宮益坂」「道玄坂」など坂が多い街でもあるなど、成る程渋谷はいきなり今の形で生れ落ちたのではなく、形を変えながら過去の遺産を引き継ぎながら今に作り変えられてきたのだなあということが分かる。渋谷の「ハレ」の賑やかさは私にとっては苦手ではあったが、少し観点を変えてみると実に面白い街であるし、だからこそ人々をひきつけ続ける街でもあるのか。渋谷から鉄道一本で小田原、バス一本で出雲まで行ってしまうなど企画はゆるく脱線気味だが、そこもまた面白い。

  • 意外とライト。なまじ深くできそうなだけに、考現学入口といったところ?

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著者プロフィール

1953年埼玉県生まれ。早稲田大学教育学研究科修了。高知大学教授を経て、現在、文教大学文学部教授。宮沢賢治学会・日本近代文学会・早稲田大学国語教育学会会員。

「2022年 『宮沢賢治文学における地学的想像力Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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