国のない男

  • 日本放送出版協会 (2007年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784140812518

みんなの感想まとめ

この作品は、アメリカ文学の後継者としての魅力を持ち、エッジの効いたユーモアと痛烈な批判が特徴です。著者は、政治や社会の不条理を鋭く捉えつつ、読者を楽しませるための巧みな言い回しを駆使しています。特に、...

感想・レビュー・書評

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  • 82歳で書いたエッセイで、最後の作品。とりとめなく書かれているけれど、基本的な姿勢はとてもうなずける。

    「「進化」なんてくそくらえ、…人間というのは、何かの間違いなのだ。われわれは、この銀河系で唯一の生命あふれるすばらしい惑星をぼろぼろにしてしまった。」
    「われわれは全員、化石燃料中毒なのだ。そして現在、ドラッグを絶たれる寸前の中毒患者のように、わらわれの指導者たちは暴力的犯罪を犯している。」
    「電子化されたって、いいことなんか、何もない。…われわれはダンシング・アニマルなのだ。起きて、外に出て、何かするというのはすばらしいことではないか。」

  • アメリカ政府、戦争、競争など、世の中の不条理に対する皮肉、ユーモアはモヤモヤしているときにスッキリさせてくれるし、なるほどな、と納得させてくれる説得力がある。しかし、それだけではなく、温かさがある。ホッとさせてくれる優しさ、情味が根っこにある。国のない男をたまにふと開きたくなるのは、その温かさに触れたいとほんとうの自分が訴えているからなのかもしれない。

  • この本で2025年を締めることになるだろうと思っていたのだが、
    思いも寄らず引き込まれてしまい、するすると読了してしまった。

    ヴォネガット最後の作品エッセイ。
    ジョージ・ブッシュ政権への批判、当時の世相への嫌悪感、人類への愛情と絶望が、ユーモアたっぷりにシニカルに書かれている。
    今ならチェックが入りそうな差別が結構出てくるのだが、それは当時は気にされなかった(被差別者を慮るような時代ではなかった)のと、当時の彼の読者層が被差別とは無縁の階級であった(人種的・性別的・経済的・文化的に)ということなのかもしれない。

    ***************
    「唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。ユーモアには人の心を楽にする力がある。アスピリンのようなものだ。百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっとうれしいと思う。」

    「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」

    「幸せなときは幸せなんだと気づいて欲しい。叫ぶなり呟くなり、考えるなりしてほしい」

  • Tumblrで目にした引用が心に残っていたので購入。結局好きな箇所はみんな引用投稿で目にした文章ばかりだった。
    とはいえ、面白くて(82歳とは思えない軽妙な文章。翻訳の金原瑞人氏のおかげ?それからブラックユーモアを交えた自国批判なども)、温かな本だった。ヴォネガットの愛情を感じる。
    ヴォネガットの本はまだ「スローターハウス5」と「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」の2冊しか読んでいないけど、これからももっと読んでいこう。

    (心狭いこと言うけど、帯の推薦文に有名人を連れてくるのはあまり好きではない。特に、嫌いな人が推薦文だったので、折角の素敵な装丁なのに!と思ってしまった。心狭いけど。)

  • ユーモアたっぷりのおじいちゃんが書いた愛のある文章だと思った。そして、現代に生きる人たちへの謝罪でもある。産業革命、戦争と続き人類はここ100年あまりで地球を痛めつけてきた。そのツケを払わされる若者へのメッセージ。ちゃんと受け取りましたよ。最後の帯でもう彼はこの世に居ない事が分かったのですが、こんな面白い歳の取り方をしたいものだなぁと思わされました。彼の著作を読んでみようかしら。

  •  とんでもねえジジイだ。
     どうとんでもねえかを説明するには、本文引いたほうが早い。

    --
     アメリカが人間的で理性的になる可能性はまったくない。なぜなら、権力がわれわれを堕落させているからだ。
    --
     じつは、誰も認めようとしないが、われわれは全員、化石燃料中毒者なのだ。
    --
     外国人がわれわれを愛してくれるのはジャズのおかげだ。外国人がわれわれを憎むのは、われわれがいわゆる自由と正義を押しつけようとしているからではない。われわれが憎まれているのは、われわれの傲慢さゆえなのだ。
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     作者、去年の4月に亡くなったそうである。
     いいときにおっ死んだ。

     アメリカにもこういうジジイがいて、そしてこういう本が売れている。それだけでも日本人としては安心した。御託並べるよりも読んだが早いや。短いし。

  • カート・ヴォネガットの遺作。邦題は「国のない男」。入籍して、ちょっとして、で、読み始めたのだけど、読み終わって、作者プロフィールをよく見たら、ヴォネガットは11月11日生まれで吃驚した、という。アメリカを悲観しながら、たぶん、それでも、ヴォネガットはアメリカを信じていたんだろうな、と思う。(12/6/3)

  • ニヒリストの遺作。
    太田光のお勧めだから読んでみたが、ニヤリとするような内容である。化石燃料中毒だとか、ブッシュ・チェイニー・パウエルをコキ下ろしたり。
    こんな人がいなくなると、アメリカはいよいよアウトか?

  •  読んで良かった。各章の結文で、都度、ニヤッと口角があがる。おもしろい。
     で、面白いだけでなくって、ちょっとホロッとくる文章も散見したりするし、
     泣いたし。著者の憤りを交えた指摘も、頷きながら得心する。何というか、
     何というか、偉人だなぁと思った。化石燃料中毒。私は軽症ですよ。だって、
     自転車っ子ですから。

  • 怒りも憤りもユーモアとアイロニーに包んで...。

  • カート・ヴォネガットの自伝みたいな感じ?
    前からヴォネガットの本は読んでみたかったが、読めず。
    自分が働いている本屋で平積みになっているのをたまたま見つけた。
    アメリカ批判、文明批判、人間観、音楽観等が、ユーモアを交えて独特なタッチで表現されていて、痛快!!
    どんどん読み進めてしまい、一日で読んでしまった!

  • まずは、彼の作品を手にとってみようと思う

  • 皮肉っぽくて、ユーモラスで、知的で優しい。

  • アメリカの作家、カート・ヴォネガットの、自伝的要素も見て取れるようなエッセイ。
    昨日図書館で偶然手にとって、即座に借りることを決めた。爆笑の嵐である。ユーモア、というか頓知が効いているというか。そして人間としての「まともさ」を感じさせる、社会批判に考え込む。これを知性と呼ぶのだな、と思わせられる。インテリなどではない、注意深く生きるそのセンスにもとづくもののような。
    84歳で逝去した著者の、82歳頃に書かれていた最後の作品ということらしい。
    全部読むのが楽しみなような、もったいないような。

  • 他の主要作品を読み、彼の思想をある程度理解した上で読むと、より良かったのだと思う。
    エッセンスだけを取り出したような作品。
    (2011.7)

  • 未来に残すのはユーモアだけでいい。

  • 「夏は暑く、冬は寒い。地球は丸く、水も人間も豊富だ。ジョー、ここでの寿命はたかだか百年くらいじゃないか。わたしが知っている決まりはたったひとつだ。ジョー、人にやさしくしろ!」
    と、言ってやりたい相手の1人や2人。や、3人や4人。いるね、いるいる。

  • 皮肉にも「ニヒリスト」と言われつづけた作者だけれども。それは違う。

  • 遺作。82歳にしてこれ程のユーモアと独創性!脱帽。

  • 2009年4月29日、1回目読了
    2010年5月21日、2回目読了

    再読しました。
    やっぱり彼はわたしがこうありたいと思う大人そのもので、アメリカ批判・現代文明批判・社会主義的なところ、すべてに共感するし、何よりその絶え間ないジョークが好きでたまりません。
    アイロニックで、ちょっとシリアスで、でもすごくあったかくてやさしい、人に対する愛が根底に溢れるすてきなユーモアたち。
    こんな風に生きたい。こんな人でありたい。
    あと1年と少しだけ長生きしてくれれば、ブッシュではないアメリカを彼が見れたのに…と思うとすごく残念です。

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著者プロフィール

1922-2007年。インディアナ州インディアナポリス生まれ。現代アメリカ文学を代表する作家。代表作に『タイタンの妖女』『母なる夜』『猫のゆりかご』『スローターハウス5』『チャンピオンたちの朝食』他。

「2018年 『人みな眠りて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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