迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

  • 日本放送出版協会 (2007年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784140812563

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

遺伝子や人間の進化についての深い洞察が詰まった本書は、難解さを感じさせつつも、読者を引き込む魅力にあふれています。血中の鉄分やウイルスとの関係、さらには遺伝子の柔軟性についての考察が展開され、科学的な...

感想・レビュー・書評

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  • おそらく原文が良く,翻訳も良いため,どんどん引き込まれ,読み進む.訳者あとがきでわかったが、共著者はクリントン大統領のスピーチライターだそうで,人心をつかむのは得意中の得意のようだ.多少用語の使い方に難があるが(誤訳?),それがあったとしても末梢のことで,面白さが勝っている.点と点をつなぎ,遺伝子の歴史をデータを駆使しながら紐解いていく様は,その推論が事実か否かの証明は困難であることを差し引いても痛快.理系じゃない人にも楽しめる内容だと思う.

  • 図書館で予約していて、半年くらい待ってようやく読めました。

    これから健康に過ごすために知っておきたいこと
    をテーマに読んでみた。
    =====
    ①鉄分の摂取について
    不足する→貧血や息切れ
    多すぎる→ヘモクロマートシスという病の可能性も。
    人間にとって必須成分であるが、細菌や病原菌にとっても鉄は必須成分。過剰に鉄を投与することで、細菌の手助けをすることにもなる。

    ②太陽光の影響について
    コレステロールは、太陽光(紫外線:UVB)にあたるとビタミンDを作り出す。
    サングラスは、体のバランスをおかしくし、余計に紫外線を吸収する恐れも。
    ※目から入った日光は視神経を通じて、ホルモンバランスをとる。

    紫外線は葉酸(ビタミンB9)を破壊する。
    黒人のほうが紫外線を吸収しにくい。白人は吸収しやすい。
    日光から葉酸を守るための進化。

    ③動物を媒介にした感染
    動物のふんにいる細菌を手で触ることに、人間の体内に入る。
    ねこのふんにいるトキソプラズマは、統合失調症の可能性が指摘されている。
    人間に感染しないと思われていたものも、突然変異により進化する。

    ④遺伝子は進化する
    生殖可能な年齢まで残ったものが強い。
    強い遺伝子のみが残る→進化。

    ⑤親から引き継ぐもの
    エピジェネティクス(後成遺伝学)…
    妊娠初期の食生活が胎児に影響する。
    もともとオフになっていた遺伝子のスイッチをオンにするイメージ。
    もともと持っていた遺伝子をオフにして「発現」させない
    成分があることがわかった。
    ※DNAのメチル化

    母親自身が妊娠に気づいていない妊娠初期が重要。
    ジャンクフードは、高カロリーなのに栄養成分がなく悪い。
    栄養分が乏しい体験をした胎児は、節約型の代謝になる。

    一生分の卵子は生まれた時にすでに作られ持っている。
    すでに母親の影響を受けているということ。祖母の影響も受ける。
    ※メチル化をおこす可能性があるので、妊娠期の薬は慎重に。

    いい時代には男児が多く、つらい時代には女児が多く生まれる傾向がある。

    水中出産にはメリットがある。
    人類はかつて水中生活をしていたという、人類の起源「アクア説」に基づく。

    =====
    私はこれまで、「進化」というものを正しく理解していなかった
    ということにこの本を読んで気づいた。
    淘汰され、生き残ったものが強い。
    この繰り返しが我々の世界を形作った。

    遺伝子と進化についての理解が深まったことにより、
    子供が生まれることの神秘と責任感が増すとともに、
    これからの人生を細菌や病気とどう付き合うか、折り合いをつけていくか、
    考え方の参考になった。

  • 進化について、久々にめっちゃくちゃ面白い本に出会いました。
    多くの病気が遺伝的な要素を持っているけれど、じゃあなんでそんな遺伝子を持った人たちが生き残ったの?と。
    鉄分、糖尿病、アルコール分解能力に高血圧、みんないろんな「体質」を持っていて、自分と異なる体質を羨ましく思ったりもするけれど、そもそもなんでそんなに違いが出るんでしょう、と。

    人類はいままで多くの困難にさらされ、多くの病気に罹り、多くの死者を出してきた。その中で生き残った人たちは、当時は「特殊」な遺伝子プールを持った人たちで、「たまたま」生き残ったために、スタンダードに成り上がった。
    一個体の寿命が長い人類という種の比較的少ない世代交代サイクルの中でこれだけ進化論がうまく適合されることは正直驚きます。
    奴隷貿易と高血圧など、地球・生物の歴史で見たらごく最近の話がすでに遺伝子プールに影響しているんですね。

    新しく、興味深い発見に満ちており、同時に「僕らはいつか壊れる、だから今の健康に感謝すると同時に、次の世代に引き継ぐ準備しといてね」という明るいメッセージが素敵。読んでください。

  •  進化とは本来、自分の生存と種の保存に役立つ遺伝形質を好むはずなのに、なぜこれほど多くの「病気をもたらす遺伝子」が多くの人に受け継がれ、広まってきたのか……という謎を進化論から説明する、ユニークな論考。
     著者自身が「ヘモクロマトーシス」という遺伝性の病気の持ち主。放っておくと体の中に鉄が蓄積して、肝臓やすい臓にダメージを受け、ついには死に至る。この遺伝子は西ヨーロッパ人の30%以上が保有しているという。
     なぜこんな遺伝子が、これほどまでに広まっているのか……。〈40年後にかならず死ぬとわかっている薬をあなたが飲むとしたら、その理由はなんだろう? 答えはひとつ。それはあなたが“明日”死ぬのを止めてくれる薬だからだ〉 じつは、ヘモクロマトーシスの人は、伝染病に強い白血球の持ち主でもあった。14世紀のヨーロッパで人口の3割を死に至らしめたペスト禍を生き延びた人たちに、この遺伝子の持ち主が多かったのは必然だった。
     このほか、糖尿病をもたらす遺伝子は「氷河期を生き延びるためだった」説や、肌の色がビタミンD生産と紫外線の害のバランスで決定されてきたという話、ヨーロッパ人がアジア人に比べてアルコールを分解する酵素をいっぱい持っているのはなぜか……みたいな話もおもしろい。統合失調症の原因が、もしかしたらトキソプラズマ(ネコに寄生したときだけ症状を起こすとされている脳内寄生虫だが、人間にも寄生する)が影響を及ぼしているのかもしれない、という話はネコを飼うのが少し恐ろしくなるね。
     人間がいかに「いきあたりばったりに進化してきた」かということ、そしてその進化が現在の環境とミスマッチなせいで多くの病気がもたらされているということが平易な文章で要領よく書かれている。大学時代の生物の講義で「鎌状赤血球」の話を聞いたことを思い出す。あれは赤血球が変形しているせいで悪性の貧血にかかるのと引き替えに、マラリアに強くなるという話だった。この本を読んで、鎌状赤血球のような事例が「特殊事情」ではないこと、むしろ世界中のあちこちで無数に行われてきた結果、いまの人類ができあがっていることが理解できた。
     本書のすべてが「正しい」かどうかは異論あると思うけれど、読み物としてはすっごくおもしろい。

  •  私達が常に悩む「受け継がれていく病気」(高血圧であること、血糖値がもともと高いetc.)などは、迷惑なものである。しかし、そのような進化は、自然淘汰されてもおかしくないはず。そもそも、何故このような遺伝子が後世まで続いていくのか?それには、過去に我々の祖先が受けた遺伝子の「進化」が関係しているのである・・

     ということで、非常に面白い進化論。「進化とは発展的なもので我々をよくするものである」という常識を一掃してくれる、深化とは何か、そして大きなスパンでの生命論を伝えてくれる、非常に科学的ウィットにとんだ本。

  • GUEST 062/漫画家・内田春菊:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2012/08/post133490.html

  • 進化というと、良い方向に変わる、進むことを想像する。
    しかし、周りを見れば難病に苦しむ人は世界中にいる。

    本書では、我々が苦しめられる病気の中には
    人間が進化した結果、存在するものもある
    という事が書かれてあります。
    私はなるほどなぁと本当に楽しく読めました。
    「今」だけを見ると必要の無い症状も
    「過去」には必要だった。
    ロマンがあるわぁ。

    理系文系問わず、楽しく読める内容だと思いました。

  • 生きるために進化した話。
    読み物としておもしろい。

  • ぐんぐん読ませる楽しい科学「風」読み物。あくまで「風」です。
    本書をそのまま受け売りすると、スケプなヤツとかメッドな人から憐憫の眼差しを注がれてしまいます。
    相手を選び面白さを伝えたほうがいいです。

    脳みそトリビア本に売れ筋を奪われたとはいえ、遺伝子様のご威光、いまだ健在。
    環境適応と進化は一緒くた、獲得形質は遺伝子(しかもDNAに!)刷り込まれ、あの難病もこの容姿もDNAに組み込めば、ぜーんぶ説明がついちゃうのさ!…なんだそうです。…まあ、楽しくて前向きな科学「風」読み物には、違いないです。

  • 図書館に無し

  • 面白い!
    科学関連の本をこんなに一気読みしたのは初めてかもしれない。
    使われている比喩や譬えが卓抜。それだけでも引き込まれる。もちろんそれだけではない。たとえば糖尿病にかかるシステムは歴史的、地理的、環境的な影響を受けた遺伝子レベルの話だということが、実に分かりやすく、納得できる形で書かれている。
    この本を読み進めていくことは、へえそうなんだ! という発見の連続であることを意味する。

    私は文学部出身の完全文系人間だけれど、とても楽しく読めました。逆に言うと、専門的な正誤の問題についてはまったく分かりません。間違ったことを教えられ喜んでいるのかもしれない。
    でもこの手の本に、そうした専門的な不確かさはある程度許容されるべきでしょう(もちろんトンデモ本は困るけれど)。こうした本を読んで遺伝子って面白い! 進化について学んでみたい! 生命についてもっと考えたい! と思わせたら、それが最も大切なことなように思います。誤りは自分が学んでいく中で正せばいいんじゃないかな。そんな気がします。

  • 迷惑な進化
    ―病気の遺伝子はどこから来たのか

    竹蔵は結構進化の話に昔から興味があって、いろいろな本を読んではいましたが、最近ずいぶんと長い間ご無沙汰していました。
    この本、特に後半を読んで進化に関してDNAの調査によってここまでびっくりすることが判ってきたのか!と久しぶりに血が騒いでしましました。
    前半は、病気と進化のお話です。ヘマクロマトーシスという鉄分を体内にため込んでしまう体質はペストに対応するために遺伝子が淘汰されたことに起因することや、氷河期を乗り切るために優位だったのが糖尿病の遺伝子だったことなどが、論理的にそしてユーモアを交えて説明されていきます。
    後半からはもっと面白くなって来て、動物の遺伝子は過去にたくさんのウィルスの遺伝子を取り込んで来たらしいという話にますはフムフムとうなずいてしまいました。そして、母親がジャンクフードを食べていると子供も栄養が少ない(カロリーは多いけど)環境に備える遺伝子のスイッチがONとなってしまって、太りやすい体質になるという話でヘーとまたまたびっくり。そして、エピジェネティクスと呼ばれる後天的にどのようにある部分の遺伝子のスイッチが入ったり切れたりするのか?を研究する分野が急速に進みつつあることや、老化の仕組みの解明や遺伝病の治療など、様々な先端医療のお話も書かれています。
    竹蔵が昔から「突然変異を繰り返していって進化して来たと言われているけど、確率的にありえなくない?」という疑問に対して、ウィルスの滅茶苦茶速い進化のスピードと、その遺伝子がジャンピング遺伝子として組み込まれて環境要因によって活性化するという説明によって、それこそ目から鱗が落ちるように答えてくれたことにただただびっくりしてしまいました。
    はてさて、遺伝子の研究と応用はどこまで進んでいくのやら?と少し心配になってしまいますが、それはさておき、ここまでいろいろな学説を分かり易い例をひきながら本にまとめるという離れ業はやはり”クリントン大統領のスピーチライター”だった著者の一人の力量恐るべしといった所でしょうか。。。
    進化や遺伝子の分野に興味がある方は、必読です。

    竹蔵

  • 逐一比喩表現が丁寧なうえにウィットに富んでいるので非常に読みやすい。

  • ふむ

  • 副題に「病気の遺伝子はどこから来たのか」とあるように、適者生存として進化してきた生物としての人類が、糖尿病や皮膚がんなど、現代社会で「病気」として遺伝子資産をもてあましている様子が明快に説明される。    -20100819

  • これまで5回くらい読み終わった本。
    副題の通り、病気の遺伝子がどこから来たのかを読み解いていく本。
    遺伝子の本だが、難しい医学本ではなく、小説としても非常に面白い。

    健康に少しでも興味がある人には是非おすすめしたい。

  • 体内にと鉄分が富む集団ほどペストの害を受けた。
    ヘモクロマトーシスの人は、マクロファージに鉄がないため、鉄分過剰でも、ペストの害を受けない。

  • 遺伝についての新しい知識をわかりやすく書いている。良書。日本語タイトルはミスリーディング。
    特に、エピジェニックの話は、新しい知識が多かった。

  • 「スミスの本棚」内田春菊さん推薦本。
    病気の遺伝子がこれほど多くの人に受け継がれているのはなぜか?を端緒とした遺伝と進化の本。
    ユニークな事例や異端の説が数多く紹介されていて、読み物としておもしろい。生物学の知識がなくても十分に楽しめた。

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著者プロフィール

翻訳家。訳書に『植物はそこまで知っている』、『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』、『感染地図』、『あなたの体は9割が細菌』、『ヒトはなぜ「がん」になるのか』、『遺伝子医療革命』など多数。

「2022年 『山火事と地球の進化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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