フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

制作 : 小林弘人  小林弘人  高橋則明 
  • NHK出版
3.87
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本棚登録 : 8470
レビュー : 807
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814048

作品紹介・あらすじ

なぜ、一番人気のあるコンテンツを有料にしてはいけないのか?なぜ、ビット経済では95パーセントをタダにしてもビジネスが可能なのか?あなたがどの業界にいようとも、"無料"との競争が待っている。それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得るこのフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • ある日、旦那に「ポートフォリオサイトはtumblrでいいんじゃない?無料だし、クオリティの高いテンプレートもたくさんあるし。」と持ちかけたことがあった。すかさずあった返答は「無料?なんで無料なの?」。その後も「どこがやっているのか」「どこで収益をあげているのか」といった純粋な疑問をいくつかぶつけられたが、自分はそんなこと考えるまでもなく使おうとしていた。


    ■ フリーが当たり前すぎる20代

    プロローグにもあるように、フリー(無料)については、年代が上にいくにつれて懐疑的になり、若い人ほど疑うこともなくホイホイ使うものだと思う。しかし、続けて「無料の周りに世界規模の経済がつくれるというアイデアは、彼ら(20代のグーグル世代)にとっては自明すぎる事実であって、わざわざ書くまでもないことなのだ。」とあるが、これはそうでもないと思う。少なくとも自分はそうだった。無料であることが当たり前すぎて、無意識に使うあまり、そこでどんな経済効果が生まれているのかについては意外と超・鈍感だったりする。LINEやFacebook、あるいはtwitter、google、youtube...これらを使っている20代で、自分が「経済効果をもたらしている」なんて思いながら使っている人なんて稀なんじゃないだろうか。

    そういう点でも、フリーがどんな力を持っているのか、そこでどれだけのお金が動いているのかを知る、とても面白い本だった。


    ■ 他人の手によってフリー(無料で自由)になっていく世の中で

    youtubeで人気のアーティストのMVを、公式チャンネルから綺麗な画質で楽しめることも当たり前になってきた。情報がすぐさま、他人の手によってフリー(無料で自由)になっていく世の中で、クリエイター自らが作品をフリーにする。ちょっと前までは考えられなかったことだけど、気持ちのよい太刀打ちの仕方だなと思う。

    本書の中でも、成功したフリーの事例がいくつか挙げられている。古くはレシピを無料にしゼラチンを売った「ジェロ」の話や、カミソリの替え刃で儲けた「キング・ジレット」の話。その他、現代での新しい「フリー成功事例」と法則がまとめてある。

    シェアやいいね!が当たり前の今、ものを作る人達の側が、生み出した作品をどう扱うかが問われている。これから先、何か新しいことを始めようと思ったとき、たくさんの人に見てもらいたい作品ができたとき、出方を考えるためにこの本を開いてもいいかもしれない。


    ■ ブラよろの事例もあるわけですし、

    ちなみに、経済の本なんて普段滅多に読まない私ですが、おもしろい実例がたくさん挙げられているので、苦なく読めた。フリーに対しては、日本ではこんなすごい事例もあるし、やはり人ごとじゃない気持ちがあったのだとも思う。

    「単行本80万部のヒットと同等」
    ブラよろ2次利用フリー化効果で月650万円の利益、佐藤さん明かす
    | ITmedia ニュース
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1304/22/news128.html

    「ブラよろ」二次利用フリー化から半年でいくら儲かったか?
    | 少年 佐藤秀峰
    http://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga/ar204961



    知り合いのライターさんに勧められて読んだけど、すごく実になった一冊。鉄板通り、続けて「MEDIA MAKERS」を読みます。

  • さっき読み終わりました。
    乱文失礼致します。

    すごい、興味深いこと書いてありました。テクノロジーは、限界費用をゼロに限りなく
    近づける力を持っていることは、前から知っていましたが……
    改めて、ロングテールの提唱者から言われると、うーん(シミジミ)

    ビジネスと絡めた話は、日記で改めて書こうかとは思いますが、
    広告業界の方は必読では…そうじゃない方も、是非


    まだ、ビットの世界も成熟しきっていないですね。中身を見る限り。
    有名なコンテンツを作っているアメリカの企業も、マネタイズ出来ていない企業も
    多数
    有名な、フェイスブックや、ツイッターのコンテンツも、広告収入に苦しんでいる事実も。
    ユーチューブだって、知名度の割には、儲かっていない
    テクノロジーが進みすぎて、価格が下がりきってしまった今、ネットのコンテンツだけで、収入を見込むことは非常に難しいだろう。(成功している企業もいくつかあるが・・・)

    実際に、無料ネットコンテンツから、どのように収益化しているかの事例も丁寧に 紹介されている。

    フリーの歴史や、発展の仕方まで、広告・マーケティングの観点から細かく書かれて いる売れるわけだ !!

    久々に読み応えがある本に出会いました!

  • IT関係の仕事に従事していて読書習慣がある人は全て読んでいるんじゃないかというくらい周囲でもベストセラー。

    たしかに本書で述べられているような"フリー―〈無料〉"という戦略は避けて通れないものになってきている。


    参考書として「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」の併読も推奨。

  • 書いてある事例は比較的平易でわかりやすいのだが、全体を通して読むと、何が書いてあったのか考え込んでしまった。この本を読むと、19世紀からフリーを導入することにより成功した事例が存在していることが分かる。そして、現在ネットの普及に伴って、より激しく変化・進化を遂げている最中であり、Googleなどの限られた例を除いて成功している企業も少なく、まだ評価や分析が十分になされていないことから、成功事例を羅列したという趣きがある。読みながら取ったメモに、「フリーの意義は、間口を広く低くすることにより、これまで知られていなかった潜在的ニーズ(ロングテールに属する顧客層等)を掘り起こすということか?」とあるが、常識の枠に縛られている気がする。

    ところで、この本では、知的財産は'物事がフリーになろうとする動きを押しとどめる方向に作用する'と本質を喝破している。「ビジネスにおいては企業は知的財産権法を利用して、人為的にアイデア不足を生みだすことでお金を儲ける。それが特許や著作権や企業秘密だ。つまり、アイデアは多くの人に伝わるのが自然だが、その流れをしばらくせき止めて利益を上げようとしているのだ。(中略)だが、最後には特許が切れて、秘密は外に出る。アイデアを永久に止めておくことはできない。(111ページ)」となると、特許屋の仕事って・・。フリーになろうとするアイデアを堰き止めて、エネルギー差を人為的に作り出そうとするダムのような仕事だろうか、などと考え込んでしまった。ただ、このあたりは自然に逆らうことなので、うまくやらないと面倒なことになる。ブラジルで欧米の医薬品メーカーが持っているHIVウィルスの薬の特許に対して、国が強制実施権の発動をほのめかせて、薬価を大幅に値引きさせた事例も書かれていた。いずれにしてもパラダイムシフトを考える上で大変参考になる面白い本だと言える。

  • 350ページのハードカバー単行本。
    通勤電車で読むにはちょっと辛いので、海外出張の機内で一気読み。
    明快な論理と説得力十分の書きっぷりに舌を巻いた。

    本書を手に取るまでは、今の時流にのったあまり良くない意味での”ノリノリ”の一冊だろうという勝手な印象をもっていたが、実はフリーという形態を活かしたビジ
    ネスの歴史は長いということを丁寧に書いているところから始まる。
    ここでまず好感度アップ。

    そこから、テクノロジー(情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の限界費用がどんどん下がっているネットと、フリーの関係へと展開する。
    説得力十分でお見事。

    途中引用する様々な例え話や、フレーズも興味深いものばかり。
    米や小麦と違って、育てやすくタンパク質が豊富なトウモロコシを主食とする文化は、近隣の部族を頻繁に攻撃していたという「トウモロコシ経済」を例にした説明は至極明快。
    さらに、その明快な例え話の中に「無料の本当の魅力は恐れと結びついている」なんていうフレーズが出てくるなど、読者のハートをがっちりつかむ術にも長けて
    いる。この著者は本当に筆が立つ。

    このフリーを活かして成功している企業の一つにグーグルがあるが、ヘタなグーグル本を読むより本書を読む方がグーグルのすごさがよく分かる。特に「注目経済」と「評判経済」から成る「非貨幣経済」について触れた第12章が象徴的。

    それにしても、こういう本はやっぱりアメリカ発なんだな。

  • ===引用ここから==
    二一世紀の無料(フリー)は二〇世紀のそれとは違う。アトム(原子)からビット(情報)に移行するどこかで、私たちが理解していたはずの現象も変質したのだ。「フリー」は言葉の意味そのままに「無料で自由」であることとなった。
    ===引用ここまで===

    「アトム(原子)からビット(情報)に移行」。このくだりが大好きなのです。

    本著では、IT技術の飛躍的な革新により、モノの価値を図る概念の変化が起きた結果、経済活動(”稀少な資源をめぐる選択“と呼べる)の在り方を変える必要性を説きます。

    巻末付録では、フリービジネスを以下の3つに大別し、50個の例を挙げています。

    フリーその1。直接的内部相互補助(例えば、製品は無料・サービスは有料。その逆も然り。サンプル配布、駐車無料など)
    フリーその2。三者間市場あるいは市場の“二面性”(ある顧客グループが別の顧客グループの費用を補う)
    フリーその3。フリーミアム(一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する)

    また「無料のルール」として、以下10個の原則にまとめています。

    1. デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
    2. アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
    3. フリーは止まらない
    4. フリーからもお金儲けはできる
    5. 市場を再評価する
    6. ゼロにする
    7. 遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
    8. ムダを受け入れよう
    9. フリーは別のものの価値を高める
    10. 稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう

    顧客からお金や時間を確保するために、古典的な広告収入やキックバック、無料サンプル、アイテム課金などあらゆるビジネススキームが開発され、我々の生活に浸透している事実を再認識しました。

    一つ一つのビジネスがどう成り立っているか図式化すると、なるほどこんな方法で儲けることができるのか、と驚くものが多くあります。柔軟で、目先のキャッシュにとらわれない思考が求められますね。豊富な資源によりリスクが低下されている現実を再認識し、まず挑戦してみて早めに失敗してみることが重要ですね。

  • 音楽の世界では不正コピーが蔓延しています。楽曲がPCにより複製可能であり、データ配信により無尽蔵に配信できる以上(合法違法を問わず)、いつかはタダ同然になる日が来るでしょう。

    そんな時、アーティストたちはどのようにして収入を上げるのか?「コンサートを開いたり、企業のプロモータにになって稼ぐ」そうです。 つまり、その人がその瞬間にしか表現できないものについてのみ収入とするわけです。

    また、不正コピーには、自分を不特定多数の人に知ってもらえるというメリットもあります。つまり、不正コピーは最高のマーケティング担当者にもなるわけです。
     
    本書も期間限定でしたが無料で配信されていました。ただし、著者から直接言本書に関する話を聞くためには、講演などに行って、「有料」で対応する必要があります。本書についての一番の語り手は著者であり、著者は唯一無二の存在であるから稀少価値が発生し、「お金を払ってでも直接話を聞きたい」となるわけです。「講演も配信にすればよい」との意見に対しては、「現地に行って同じ講演に来ている様々な人たちと生で意見交換ができるし、講演者に直接意見をぶつけることもできる」との主張により、その稀少性が一層増すように思います。

    知財も一種のサービス業です。「明細書の作成はシステマチックになり、人が介在すべき箇所はクレームのみになる」と誰か(プログラマー出身の弁理士さんだったと思います)おっしゃていました。そうなれば私の仕事は減りますが、それに伴い食い扶持も圧倒的に減少します。

    また、国外の代理人とコミュニケーションを取る際は国内の代理人を介して行っていますが、いずれそれもなくなるでしょう。企業側の人間が国外の知財法に関する知識を身に付け、英語等でのコミュニケーションを行えれば、国内代理人を通すメリットは薄まるからです。
     
    自分が他人に提供できる価値は何でしょうか。現状での解の一つは「知識」です。相手がわからないことを知識をフルに使って遂行する。無形資産を扱う身としては、これが全てと言ってもいいのではないでしょうか。

    もう一つのアイテムとして考えられるのが「人」です。情報の多様化によりニーズの多様化が劇的に進んでいます。そこで重要となるのが、各人にカスタマイズされたサービスです。画一的なものでなく、各人に適したサービスを提供することにより、自分の稀少価値が増し、「お金を払ってでもその人からサービスを受けたい」となるのではないでしょうか。

    大きな組織にいると「個別的なサービス」という意識が薄らぎがちです。しかし、「株式会社自分」くらいの意気込みで望むべきだと思いました。

  • 劇的に世の中を変えてきたWEBの世界を「タダ」というキーワードで切り取った本。著者はWIREDの有名な編集長だけあって、読み応えあります。
    クリス・アンダーソンの一連のシリーズは、日本語訳が出るたびに、同じテーマの和書がフォロワーのように発行されるので影響力の強さは感じていたのですが、著者の本を読むのはこれが初めて。
    現在進行形で発展しているフリーの世界を描くにあたり、歴史と背景の解説がとても丁寧で面白いこともすごいのですが、相当な批判が来ることも覚悟の上で発行されることに、アメリカ出版産業の底力を感じます。

  • ーFREEー

    ネットにはフリーで提供されるものが溢れている。
    しかし、それらの全てがお金を生み出さないわけではない。
    フリーはその周りにお金を生み出すシステム・あるいは生態系を作りだすことができる。
    何故あれは無料なんだろう?といった疑問や、発見を促してくれる本だった。
    自分は『MAKERS』の著者で『WIRED』編集長でもあるクリスアンダーソンの著書ということで読んだが、これから起業を目指す人にも一読の価値があるだろう。

  • 今更ながら読んどいた。

    2009年の本だから今読むと目新しさはないが、無料経済の仕組みがよくわかる一冊。

    身近でわかりやすいものだと、GoogleやFacebook、Lineのような無料サービスが成り立つ仕組み。

    うちの父親もそうだけど、世代によっては、無料サービスがどうしても信じられず、後で何か請求されるんじゃないか?とか思って敬遠してしまうらしい。

    逆に若い世代だと、無料が当たり前で、有料とかあり得ないと考えているらしい。

    そんな方々はこの本を読んでみると、なるほど(・∀・) となります。

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