フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

制作 : 小林弘人  小林弘人  高橋則明 
  • NHK出版
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レビュー : 806
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814048

感想・レビュー・書評

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  • 情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅の驚異的なペースでの低コスト化により、21世紀のビット経済(デジタル社会)ではコンテンツの流通にかかる限界費用が、ほとんど気にならないくらいに安くなっている。
    それゆえに、20世紀のフリー・ビジネスとは大きく性質を異にする「無料」を生かしたマーケティング戦略により巨額の富を生み出すビジネスが登場している。

    ここでは、無料経済を4つの類型に分けています。

    1.直接的内部相互補助
     無料または極端に安い値段の商品で客を呼び、利益を出せる魅力的な他のモノを売る。
     例)携帯電話の端末を無料にして通話料で稼ぐ。
       ドリンクは無料だがショーは有料。
       駐車場無料でショッピングモールに客を呼ぶ。

    2.三者間市場
     二者が無料で交換をすることで市場を形成し、第三者がそこに参加するために費用負担する。
     例)テレビ・ラジオの無料放送、広告主が媒体料を払う。
       クレジットカードの発行は無料、加盟店が手数料を支払う。
       子供は入場無料、大人は有料。

    3.フリーミアム
     一部の有料顧客が、他の多くの顧客の無料分を負担する。
     例)無料のウェブサービスで付加サービスを利用するためには有料。
       基本ソフトウェアは無料、機能拡張版は有料。
       広告付きは無料、広告を取り払うには有料。

    4.非貨幣市場
     金銭以外の評判や関心が動機となり成立する贈与経済。
     例)ウィキペディアの編集。
     知らないうちに無償の労働力を提供している。
     例)検索するたびにグーグルのアルゴリズム向上に貢献している。
     限界費用ゼロの世界での不正コピーの受け容れ。
     例)ミュージシャンが無料で楽曲配信し、ライブで収入を得る。

    1.と2.は、20世紀のアトム(=実物)経済でも存在したのに対し、3.と4.は21世紀のビット経済であればこそ急激に拡大している。
    特に、3.のフリーミアムという概念が新しい。
    そこでは無料ユーザーが圧倒的多数であり、それを全体の1〜2割くらいしかいない有料ユーザーが支えている。
    それが可能になるのは、デジタル化により莫大な数の母集団を低コストで集めることができる(そのための手段が「無料」)ようになったから。
    母集団の数が膨大な一方、ユーザーを集めるコストは低いので、割合が低くても有料ユーザー分で全体の費用を賄い、かつ利益を出すことができる、というわけです。

    このあたりは非常にわかりやすい。
    頭の整理という点で、非常に有用でした。

    一方で、ちょっとショッキングなくらいに刺激的な見方を教えられた点もあります。

    著者によれば、フリーへの考え方は(現在の)30歳を境にした上の世代と下の世代で全く異なる。
    20世紀型のアトム経済で育った30歳以上の世代は、モノやサービスにはコストがかかっているのでムダにすることは悪徳だという感覚がある。
    それに対して、小さいころからビット経済に慣れ親しんだ30歳以下の世代は、デジタル世界では製造・物流コストが無視してよいほど小さいことが感覚的に分かっており、デジタルなモノやサービスをムダにしたりタダでコピーして楽しんだりすることに抵抗がない。

    それから、海賊版について。
    中国やブラジルでは音楽ソフトやブランド品の海賊版が横行している。
    先進国に暮らしている人間の感覚からすると許し難いように思えるが、中国人やブラジル人もニセモノとホンモノの価値の違いはちゃんと分かっている。
    それを利用して、あえて海賊版を許容してプロモーション手段としてファンを増やし、ホンモノで儲けるビジネスモデルが生まれている、といいます。

    そんなこと自信をもって言っちゃっていいのかな、と何となくドキドキしちゃうあたり、自分も「旧世代」であることの証明かもしれません…

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  • 気付きのポイント

    ・情報発信者の価値は上がる
    ・信用をお金に変える
    ・スーパーの商品の1/4はトウモロコシ
    ・Wikiの歴史、集合知
    ・根本的にビジネスモデルを考え直す
    ・プロとアマの垣根は低くなる
    ・読書会は無貨幣価値の提供
    ・お金にできなかったものをお金に換える仕組み

  •  「ロングテール理論の名付け親」として知られる著者による、話題のベストセラーである。

     邦訳版の副題をみると、なんだか安手のビジネス書のようだ。
     じっさい、ビジネス書としての側面もあり、巻末付録として「フリーを利用した50のビジネスモデル」なるリストも載っている。本書のテーマを一行で表すなら、「フリーの周辺でお金を稼ぐことがビジネスの未来になる」ということなのだ。

     だが、本書はけっしてたんなるビジネス書ではない。
     むしろ、比肩すべきはアルビン・トフラーの『富の未来』のような本だ。ネットの普及による経済の激変がもたらす“文明の大転換”を論じた壮大な文明論であり、「ビット経済(オンライン世界の経済)」の特性を縦横に論じた斬新な経済学の書なのである。

     ハイクオリティーなサービスを無料で提供し、にもかかわらず巨額の収益を上げているグーグルに代表される、“無料が生み出す富”。その現在・過去・未来を、著者は余すところなく解き明かす。

     もっと短くてもよかった気がするが(たとえば、SF小説などを題材に「ポスト稀少世界」を考察した第15章など、章自体なくてもよい)、十分一読に値する、知的刺激に富む好著。

     印象的な一節をいくつか引用する。

    《今日、市場に参入するもっとも破壊的な方法は、既存のビジネスモデルの経済的意味を消滅させることだ。つまり、既存ビジネスが収益源としている商品をタダにするのだ。すると、その市場の顧客はいっせいにその新規参入者のところへ押しかけるので、そこで別のモノを売りつければよい。》

    《フリーと競走するには、潤沢なものを素通りしてその近くで稀少なものを見つけることだ。ソフトウェアが無料なら、サポートを売る。電話が無料なら、遠くの労働力と能力をその無料電話を使って届ける(インドへのアウトソーシングがこのモデルだ)。もしも自分のスキルがソフトウェアによってコモディティ化したならば(旅行代理店、株式仲買人、不動産屋がその例だ)、まだコモディティ化していない上流にのぼって行って、人間が直接かかわる必要のある、より複雑な問題解決に挑めばいい。》

    《フリーは魔法の弾丸ではない。無料で差し出すだけでは金持ちにはなれない。フリーによって得た評判や注目を、どのように金銭に変えるかを創造的に考えなければならない。》

  •  Free(ただ)を武器とする企業がなぜ成功するのか、たとえば、無料の検索サイトgoogleがなぜ大儲けできるのか、無料の百科事典ウィキペディアの運営方法、無料ダウンロード、無料雑誌、無料試供品のからくり等について述べたもの。内容は、納得できるし、よくまとめられていると思うが、著者のようにFreeが成功の鍵になるかは未だ疑問に思う。Freeにまつわるサービスを駆使して成功した企業に学ぶことに視点をおいて読むべきなのだろう。

  • IT関係の仕事に従事していて読書習慣がある人は全て読んでいるんじゃないかというくらい周囲でもベストセラー。

    たしかに本書で述べられているような"フリー―〈無料〉"という戦略は避けて通れないものになってきている。


    参考書として「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」の併読も推奨。

  • 書いてある事例は比較的平易でわかりやすいのだが、全体を通して読むと、何が書いてあったのか考え込んでしまった。この本を読むと、19世紀からフリーを導入することにより成功した事例が存在していることが分かる。そして、現在ネットの普及に伴って、より激しく変化・進化を遂げている最中であり、Googleなどの限られた例を除いて成功している企業も少なく、まだ評価や分析が十分になされていないことから、成功事例を羅列したという趣きがある。読みながら取ったメモに、「フリーの意義は、間口を広く低くすることにより、これまで知られていなかった潜在的ニーズ(ロングテールに属する顧客層等)を掘り起こすということか?」とあるが、常識の枠に縛られている気がする。

    ところで、この本では、知的財産は'物事がフリーになろうとする動きを押しとどめる方向に作用する'と本質を喝破している。「ビジネスにおいては企業は知的財産権法を利用して、人為的にアイデア不足を生みだすことでお金を儲ける。それが特許や著作権や企業秘密だ。つまり、アイデアは多くの人に伝わるのが自然だが、その流れをしばらくせき止めて利益を上げようとしているのだ。(中略)だが、最後には特許が切れて、秘密は外に出る。アイデアを永久に止めておくことはできない。(111ページ)」となると、特許屋の仕事って・・。フリーになろうとするアイデアを堰き止めて、エネルギー差を人為的に作り出そうとするダムのような仕事だろうか、などと考え込んでしまった。ただ、このあたりは自然に逆らうことなので、うまくやらないと面倒なことになる。ブラジルで欧米の医薬品メーカーが持っているHIVウィルスの薬の特許に対して、国が強制実施権の発動をほのめかせて、薬価を大幅に値引きさせた事例も書かれていた。いずれにしてもパラダイムシフトを考える上で大変参考になる面白い本だと言える。

  • 350ページのハードカバー単行本。
    通勤電車で読むにはちょっと辛いので、海外出張の機内で一気読み。
    明快な論理と説得力十分の書きっぷりに舌を巻いた。

    本書を手に取るまでは、今の時流にのったあまり良くない意味での”ノリノリ”の一冊だろうという勝手な印象をもっていたが、実はフリーという形態を活かしたビジ
    ネスの歴史は長いということを丁寧に書いているところから始まる。
    ここでまず好感度アップ。

    そこから、テクノロジー(情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の限界費用がどんどん下がっているネットと、フリーの関係へと展開する。
    説得力十分でお見事。

    途中引用する様々な例え話や、フレーズも興味深いものばかり。
    米や小麦と違って、育てやすくタンパク質が豊富なトウモロコシを主食とする文化は、近隣の部族を頻繁に攻撃していたという「トウモロコシ経済」を例にした説明は至極明快。
    さらに、その明快な例え話の中に「無料の本当の魅力は恐れと結びついている」なんていうフレーズが出てくるなど、読者のハートをがっちりつかむ術にも長けて
    いる。この著者は本当に筆が立つ。

    このフリーを活かして成功している企業の一つにグーグルがあるが、ヘタなグーグル本を読むより本書を読む方がグーグルのすごさがよく分かる。特に「注目経済」と「評判経済」から成る「非貨幣経済」について触れた第12章が象徴的。

    それにしても、こういう本はやっぱりアメリカ発なんだな。

  • フリーにしたことで利益を得られた事例を集め、紹介している。ちょっと古い本と思っていたが、日本人にとっては新しい本かも。最近始まったと思っていたサービスがあたりまえのように解説読み終わったで出てくる。最後に、シェアまで同梱されていたとはびっくりした。電子書籍のフリー版を読了。

  • なぜ多くの人に読まれたのか分からない。
    それまで誰も口にしたことがないことを本にまとめてくれたから、皆あたまの中にあったモヤモヤが解消されたのかな。

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