シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814543

感想・レビュー・書評

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  • これからの社会がどうなっていくか,そのひとつの姿を描いた一冊。確かに,そうなっていくだろうという気になる。いま見ているこのメディアマーカーもそのひとつと言えるだろう。
    その反面,まだハイパー消費社会を前提にしているフシがあり,本格的なコラボ消費になったときにどうなるのかのイメージがわかない。例えば,シェアするものの元本は,生産量が減少するのでそれに反比例して高くなってしまうだろう。このあたりは続編か別の識者の見解に期待したい。

  • 「つながり消費」の成功例と、その構造をビジネスモデルの観点で理解するために読んだ。

    購入者は、売り手都合でまとめられたモノ(パッケージ)が欲しいのではなく、それによってもたらされるニーズや体験がほしいのだ。
    例えば、CDやDVDが欲しいのでなく、それに収められているコンテンツを楽しむ体験がしたい。
    さらにそれが他のユーザと共有することで、ひとりで楽しむ以上の満足が得られるならば、それは形を変えていくんだろう。

    という話。

  • イントロのみ
    p24から

  • ウェブの進化で「マス⇒ソーシャルマーケティング」の図式がどんどん鮮明になる。
    古来の日本にあった「結」「講」などのいわゆるソーシャルネットワークが世界規模で起こっているのか。
    距離の溝は埋められないので小口物流は増加するのでは

    ・子供服交換サイト「スレッドアップ」立ち上げから8日間で12000点・多くのものを買い、それらを維持する余裕のある人が必ずしも人生に満足しているとは限らない
    ・イルカを見習え
    ・14ヶ月の赤ちゃんは大人がドアを開けようとしても両手が塞がっているのをみると、すぐに助けようとする
    プロダクトサービスシステム
     =コインランドリーやカーシェア
     =所有から利用にシフト
    ・再配分市場
     =リデュース、リサイクル、リユース、リペアに続く5つめのR
     =リディストリビュート
    ・これまでのどの世代よりも、はるかにモノにこだわらずに自分たちのニーズを満たし自分を表現するようになってきた。
    ・図書館を一般市民に開放したのはスコットランド系アメリカ人のアンドリューカーネギー。教育と情報が人生における成功の鍵
    ・「フリーサイクル」
    2007年ヤフーで三番目に多く検索された環境関連のキーワード。「地球温暖化」と「リサイクル」に次いで
    古いものを始末するのは新しいものを買うのと同じくらい気分がいい
    ・ソーシャルネットワーク
    =私があなたを助ければ、誰かが私を助けてくれる
    間接的互換性
    ・古きよき理想をモダンなドットコムのイメージや体験と組み合わせる必要がある

  • その後、シェアリング・エコノミーは益々加速してる。利用者的には資源などを気にするでもなく、経済的理由から、所有の意味・幸福感と費用を天秤にかけて金銭的メリットを取ることが増えてきたと感じる。

  • アメリカで進んでいる、様々なシェアサービスを俯瞰できる本。正直、アメリカでは、これほどシェアサービスが進んでいるとは思わなかった。個人の家の空き部屋、個人の車の空き時間貸し。アイデアだけと思っていたが、さすがアメリカ、すでにサービスとして実現して、しかもかなりの成功を得ているようだ。日本では、こういうサービスは聞かないが、なぜ実現していないのだろうか?

    以下注目点
    ・お金じゃ幸せが買えないってことが、身にしみて、いやもうホントに身体で分かっているんだ。何が大切で、何が大切じゃないかもね。まだたくさん買い物はするけど、必要のないものは買わないよ。

  • SHAREカンファレンス開幕ギリギリに読了。

    今、時代が動こうとしている。
    20世紀を大量消費社会とすれば、21世紀は協働消費社会ということになるのだろう。

  • 評判資本

  • 全力でおススメ

  • フリーに引き続き、今更感があるが、積読状態だったものを埃を払い、読破。これでもかとシェアに繋がるプラットフォームの紹介が夢とともに語られているが、この現象が起こってから約10年近くの時間が経っている今、そこまで浸透はしていないように思える。驚いたのは、今の中国で爆発的に普及しているシェアもどきの原型と言えるモデルがすでにこの時点で、ありとあらゆるモノやサービスで既に存在していたこと。今後、どこの国に行っても、一時的に利用したいものがあったら、現地でシェアできないか探してみる価値はあるかもしれない。

    P.31 紙コップとプラスチックゴミの歴史は、二つとも「意図せざる結果の法則」にあてはまる。それは、人間の行動は意図とは違う、予想もしなかった影響を生み出すことがあり、しばしばそちらの影響の方が、もともとの行動の意図よりも大きくなってしまうことだ。社会学者のロバート・K・マートンは、意図せざる結果をもたらす五つの要因を挙げている。無知、過ち、目先の利益、基本的価値観、そして自滅的予言だ。このうちの二つは、過剰消費と特に関連が深い。一つは無知(何もかもが予知できるわけがない)。もう一つは、今そこにある目先の利益だ。後者についてとーマンは、人々はある行動(あるいは製品)について、意図したとおりの結果がえられることを望むあまり、未来の意図せざる結果にあえて目をつぶる事例をいくつも挙げている。

    P.48 一八世紀のフランス人作家、ドニ・ディドロ は、「古いナイトガウンを手放す悲哀」というエッセイの中で、友人から送られた美しい真紅のナイトガウンによって家が変わったことを綴っている。ディドロ はこの贈り物がたいそう気に入って、いつから使っているか覚えて居ないほど長年愛用していた古いガウンを手放した。だがその喜びもつかの間、自分の持ち物や家の中が新しいガウンに比べてみすぼらしく見えはじめた。彼は馴染んで使いフルした書斎の家具を、ひとつ、またひとつと買い替えた。たたおえば、古い椅子を、モロッコ製の革張りのアームチェアに。がたのきた古い机は?それも手放そう。彼は高価なライティングテーブルを買い入れた。長年壁に飾られていたお気に入りのタペストリーでさえ、新しいガウンの優雅さにひけをとらない新品の高価な壁掛けに変わった。「私は古いナイトガウンの絶対的支配者だった」とディドロ は記している。「それなのに、新しいナイトガウンの奴隷になってしまった」

    P.67 アダム・スミス、そしてのちにミルトン・フリードマンの二人は、自己利益の追求が社会全体の利益につながると信じた。第二章では、この新年がわずか数世代の間に、技術的な創意工夫というどちらかといえば健全な話から、ブランドや製品やサービスをとおした自己のアイデンティティのあくなき追求へと形を変え、ついにはとどまるところを知らない究極の消費主義のシステムになってゆく過程を振り返った。一九五〇年代、つまりハイパー消費主義の幕が上がる頃には、人々はまず何より第一に、消費者として自分を意識し、市民としての意識は二の次になっていた。お互いに助け合うより企業に頼る方が身のためだと思うようになったのだ。集団やコミュニティの価値観よりも、消費者としての自立や、「何をおいてもまず私」という心理が先だった。

    P.68 ハーヴァード大学で公共政策を研究するロバート・D・パットナム教授は、社会資本を「協調的な行動を即して社会の効率を上げる信頼、規律、そしてネットワーク」と定義し、社会資本のコンセプトを広めた人物だ。

    P.69 アイルランド出身の偉大な政治家、哲学者ーそして今なら未来預言者と呼ぶ人もいるかも知れないーのエドマン・バークは、一七五七年にはすでに先を読んで居た。「人間の本質的な欠陥は、とどまるところを知らないことだ。そこそこでは満足できず、貪欲にもとめるあまりすべてを失ってしまう・・」今どうにかしなければならないのは、この「貪欲に求めすぎること」だ。アダム・スミスは、バークが「経済について自分とまったく同じ考えをもつただ一人の人物」だと評した。二人とも、競争をとおしてよりより社会をつくりたいと思っていたが、そこで個人の利益と社会全体の利益をバランスよく追求することになっていた。

    P.162 フリーサイクルは、だれでも、何でも、たとえば半分使った塗料の缶でも、古いソファやカーペットでも、水槽でも引き取り手を探せる、ヴァーチャルな遊歩道だ。「世の中にいらないものなんてない。使えるものが、ただ間違った場所にあるだけ」という考えが基本にある。

    P.234 トンキンワイズはシドニー大学の哲学博士で、おそらくバックグラウンドから、彼はデザインを一つのばらばらな「モノ化」ではなく、システムとして考える。「モノ化」とは、製品をゼロからつくりだして、それを消費者の手に届けることだーそれはデザインという職業がこの世に生まれた時からあった基本的な慣習だ。また「モノ化」とはものの生産の背後にある、複雑な社会や生物のプロセスから目をそらすことでもある。

    P.267 政府は経済成長を優先し、環境問題には消極的だった。その強く呼びかけるキャンペーンは、消費者を遠ざけるだけだと思われた。「あまり押し付けがましいと、自分自身を敵に回し、人々をそれまで以上にかたくなにさせて望ましくない行動に走らせることになる」とポリットは言った。
    (イギリスで家庭用洗濯機が普及し始め、コインランドリーが利用されていた頃と比べ、水の使用量等が大幅に増えた時の環境党党首・ジョナサン・ポリットの言葉)

    P.275 GDPという単純化された指標は、ますます見向きされなくなっている。GDP崇拝への反論は、人は生産量だけで評価できないというものだ。GDPの考案者、ロシア系のアメリカ人経済学者の故サイモン・クズネッツでさえ、GDPのモデルには重大な欠陥があると知っていた。「国の豊かさは、およその収入で測れるものではない」と、一九三四年に彼は言っている。

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著者プロフィール

作家、ソーシャルイノベーター。『シェア』(2010)で提唱した「共有型経済」は、タイムズ誌による「世界を変える10のアイデア」に選ばれた。2013年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダー」にも選出。ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、WIREDなどで寄稿編集者を務めるほか、インターネットとテクノロジーを通したシェアリングエコノミーの可能性やビジネス・社会における変化についてコンサルタントや講演などを行っている。またオックスフォード大学サイード・ビジネススクールで「協働型経済」コースを教えている。

「2018年 『TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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