- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140814635
感想・レビュー・書評
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戦略的な視点を持ったリーダーがおらず、部門ごとの利害で動いた末に戦争へと歩んでしまった。現在の日本も同様だな〜。ため息。
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「なぜ戦争に向かったのか」いう質問は、2種類の解釈ができる。
ひとつは「なぜ勝てそうもない戦争に向かったのか」。もうひとつは「なぜ戦争という手段を選んだのか」。2つの問は似ているようで全く違う。答えも全然違う。
本書は「なぜ勝てそうもない戦争に向かったのか」について答えようとしている。無謀な戦争を大日本帝国の判断ミス、決断ミスと捉えて、その原因を突き止めようとする。それはそれで面白い。外交的孤立、ジャーナリズムの迎合、決断するリーダーを持たない統治機構、といった「戦犯」が分析される。もっとも最後の一つは間違いだとぼくは思う。決断するリーダーがいたナチスだって似たような経緯をたどっているのだから。
だが、「なぜ勝てそうもない戦争に向かったのか」という問いかけは、戦争の是非を語らない。問題は戦争をしたことではなく、戦争に負けたことだからだ。もしあの戦争に勝っていたら、本書は「日本人はなぜ戦争に勝てたのか」というタイトルだっただろう。
だが、戦争に疑問を持つ人の多くは、「なぜ勝てそうもない戦争を」ではなく「なぜ戦争を」こそが知りたい。なぜ大日本帝国は、わざわざ海を渡って近所の国に攻めこまなければならなかったのか。なぜ何百万の人々を殺し、また殺されなければならなかったのか。自分が生きてきた数十年の長さを思い、その数百万倍の失われた人生と可能性を考えるとき、あれは仕方ないことだったのだと片付けるのは難しい。
ぼくも知りたいのだ。なぜ? -
[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
この本を読むことで戦前の日本が無謀な戦争へと突入してしまった理由の一端を知ることができるだろう。この本で書かれている内容は政府も陸軍も対米戦争を望んではいなかったということが分かる。ただ、政府も陸軍もそれぞれの思惑が存在し、さらに各組織内でも意見の対立が存在し、国家としての統一した方針を決められなかったということなのだろう。
また、日本人によくある相手を気遣って、間接的な方法で物事を進めたことが強行的に事態を進めようとする人々を止めることができなかったということだろう。
戦前の様子は余りに知られなさすぎていると私は考える。戦前の行いを反省するのであれば積極的に戦前のことを知り、学ぶことが同じ過ちを防ぐことになると私は思いたい。 -
180407 中央図書館
色々な現代史、組織論の専門家がみっちりと日本陸軍の軌跡を分析している。 -
第1章外交では、「変化する世界情勢に対応できなかった日本の外交」について、第2章陸軍では、「巨大化した陸軍が暴走に至ったメカニズム」について記されているが、内容的に非常に難しかった、と言うのが正直な感想である。日本が戦争へ向かっていった理由を知りたかったのであるが、そう簡単に理解できることじゃないようだ。
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同名のNHKスペシャル前半2本、「外交敗戦 孤立への道」、「巨大組織“陸軍”暴走のメカニズム」を一冊にまとめたもの。外交戦略の失敗と陸軍の暴走を解き明かす。
誰もが「ここまで行ったら踏みとどまろう」と思いつつも、後ろから他の誰かに押されて停止線を越えていく様はまさしく集団自殺。総理が2-3人殺される、昭和上皇押し込めまで行く覚悟があったら止まったんだろうか?まぁ、それでも破局したとしか思えない集団狂気のありさまが冷静な検証の中で浮かび上がります。 -
Nスぺで見た陸軍暴走のメカニズムを改めて確認したくて手にとった。
教科書では一言で片付かれる「軍部の暴走」という単語の意味がようやく分かる。軍隊が政治から離れて意志し行動を起こすことは、ある人から見ればメカニズムとして想像し易いものなのかもしれない。何も戦前戦中の軍籍に居た人だけでなく、組織の中で組織の意思決定に携わる人にとっては想像に難くないだろう。
しかし教科書の内で一単語で済ませる所を、はっきりと文章にしているのにはとても価値があると思う。
何も知らなければ、単に「軍隊」≒「暴走」≒「悪」と短絡的に捉えてしまうかもしれない「軍部の暴走」。組織と人の関係にとって何が本当の悪であるのか、見つめ直したい。